表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【解放のゴーレム使い】~ロボはゴーレムに入りますか?~  作者: すぎモン/詩田門 文【聖ドラ改稿中】
第3章 獣人の国 ビサースト獣人国連邦編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/150

第31話 奴隷狩りのバレンティーノ~何だ? そのマシンゴーレムは?~

 時刻はすでに夕暮れ。


 エネスクス達がアジトの外へ飛び出した時、空は(たそ)(がれ)(いろ)に染まっていた。




 故郷を焼かれたあの日以来、エネスクス・ホーンドは夕焼けや朝焼けが嫌いになった。


 どうしてもオレンジ色の光が、炎に包まれた故郷を連想させてしまう。


 今回もあの時のように、何か良くないことが起こってしまうのでは?


 そう思うと、彼の身体は(なまり)みたいに重くなった。




「大丈夫? 顔色悪いわよ?」


 シロン・ブガッディが()づかって声を掛けてくれた。




(そうだ。僕が青くなっている場合じゃない。家族は失ったけど、彼女は守り通してみせる)




 エネスクスは「大丈夫だよ」と答えつつ、そっと(ふところ)の魔鉄球を握りしめた。




「すまねえ、リーダー。奴のゴーレム・トラックを、振り切れなかったようだ。近くまで連れて来ちまった」


「いや、ムスタング。よくぞ捕まらずに知らせてくれた。バレンティーノの接近を知らなければ、いずれ全員捕まっていただろう」


 申しわけなさそうに謝るムスタングを、クォヴレー・コーベットは(なぐさ)める。




「シューマッハさん。エネスクスのマシンゴーレムを、奴の目に触れさせたくない。隠せますか?」




 クォヴレーの提案に、無言で(うなず)くシューマッハ。


 エネスクスはてっきり、シューマッハが機体を操縦してどこかに隠しに行くものだと思っていたが――




「消えた!? シューマッハさん、今、一体何をしたんだい?」


「いつでもすぐに取り出せるから、心配しないでくれ。これは……【神の加護】ってところだな。この能力は、あんまり大っぴらにしたくないんだ。(きみ)らも口外しないでくれ」


 目の前で起こった出来事が信じられず、(がく)(ぜん)とするエネスクス、シロン、ロジャー・レインの3人。




 だがよく考えてみれば、こんな芸当ができる者が味方なのだ。


 (あく)(みょう)高いバレンティーノ相手でも、何とかなる。


 そう思えば、頼もしいことこの上ない。


 3人は、そう思い直す。




「……聞こえる! リースディア帝国軍、ゴーレム・トラックの音です! 3km(キロ)くらいの距離まで、来ています」


 (うさぎ)獣人であるシロンの耳は、優れた聴覚を持つ。


 遠く離れた位置を走るゴーレム車両の音を、正確に(とら)えていた。


「よし。ティーテさんとエネスクスは奴の背後に回って、狙撃ができるポジションを確保するんだ。俺が合図するまでは、撃たないでくれ。ロジャーとシロンはコンビで、岩陰から様子を(うかが)うんだ。ムスタングとシューマッハさんは、俺のそばで待機。奴と相対するぞ」


 クォヴレーはリーダーらしく、次々と指示を出していった。


 ティーテもエネスクスと同じく、飛び道具を使うらしい。


 バレンティーノと相対する3人以外は、素早く岩陰へと散っていった。




 そして約3分後、土煙を巻き上げながら帝国のゴーレム・トラックが出現する。


 銀色の車体に6つの車輪。


 後部には奴隷を運搬するための、コンテナが搭載されていた。


 シロンは「3kmくらいの距離」と言ったのに、到達が早い。


 相当なスピードが出る(あかし)だ。




 ゴーレム・トラックはクォヴレー達の姿を見つけると、20(メートル)程の距離を置いて停車した。


 数拍の間を置いて、運転席からゆっくりと人影が降りてくる。




 異様な(ふう)(てい)だった。




 全身を包むのは、真っ黒なマント。


 それもかなり擦り切れて、ボロボロになっている。


 体格は中肉中背といったところ。


 人間や獣人の男性だったらの話だが。


 顔面に着けている(しろ)(もの)が、種族や性別の判断を難しくしていた。


 金属製の黒い仮面。


 しかも目の部分から、妖しく(あか)い光を放っている。


 魔力的なものなのか機械的なものなのか、クォヴレーには判断がつかなかった。




 この異様な姿。


 そして獣人達を次々(さら)っていく悪行で、彼は有名なのだ。


 目の前にいるのは間違いなく、「奴隷狩りのバレンティーノ」。




『ククク……。先程逃がした馬獣人か。お友達を連れてきてくれるとは、感謝せねばならないな』




 バレンティーノが発した声は、機械的な合成音。


 拡声魔道器(スピーカー)の声よりはるかに人間味が無く、声による性別の判断すら困難だった。




「うるせえ! 仲間達を返しやがれ! みんなは、そのコンテナの中か?」


 ムスタングが()える。




 だがバレンティーノは両手の平を上に広げ、首を左右に振った。


『残念だが、彼らは私の仲間がすでに連れて行ってしまったよ。何、心配することはない。君達も私についてくれば、すぐ再会できる』


「【奴隷首輪(スレイヴチョーカー)】を着けた状態で、というわけか?」


 クォヴレーとムスタングは、「そんなのは御免こうむる」とばかりに剣をバレンティーノに向けた。




『やれやれ。私としては、手荒な真似をしたくないのだがね……』




 そう言ってバレンティーノは、左手に魔力を集め始めた。


 対象を電撃で麻痺させる魔法、【パラライズボルト】。


 だがバレンティーノの左手に集まる膨大な魔力は、クォヴレーが知る【パラライズボルト】のそれではない。


 放たれれば、3人いっぺんに麻痺させられてしまいそうな魔力だ。




「させるかよ!」




 魔法を撃たせてなるものかと、ムスタングは一気にバレンティーノとの間合いを詰めた。

 

 馬獣人ならではの、素晴らしい脚力だ。

 



 しかし――




「ギャアッ!」




 ムスタングは体中に青い雷光を(ほとばし)らせながら、(こん)(とう)してしまった。


 バレンティーノの【パラライズボルト】を食らったのだ。


 本当は一瞬で魔法を放てたのに、バレンティーノはわざとゆっくり術式を組んでいたのだ。




『ふむ。これで残りは5人……いや、まだ6人か……。気配の消し方が、やたら上手い奴が(ひそ)んでいるな?』


 手の平を自らの顔に向け、気配に集中している素振りのバレンティーノ。


 指の間から(のぞ)く紅い眼光と、(いびつ)な立ち姿にクォヴレーは()()されていた。




(ちっ! 隠れている連中、全員がバレている。なんて奴だ。だが、相手がバレンティーノ1人なら……)




 クォヴレーの希望は、打ち砕かれた。

 

 ゴーレム・トラック左側の扉が開き、もう1人の人影が姿を現したのだ。




 バレンティーノと同じような格好だが、マントの下の肉体はひと回り大きい。


 フードの下から一瞬覗いた目が、縦に2つ並んでいたように見えたのは見間違いだろうか。


 その人影は気絶したムスタングを軽々と担ぎ上げると、ゴーレム・トラックのコンテナに放り込んだ。


 人間離れした(りょ)(りょく)だ。


 「動きから察するに、こいつも強い」とクォヴレーは判断した。




(このままでは、ムスタングまで(さら)われてしまう。しかし今、狙撃の指示を出しても当たらないだろう。バレンティーノの背中は、デカい方がガッチリ固めている。あの目線の動きからして、ティーテさんとエネスクスの位置は完全に把握されてしまっているな)


 クォヴレーが(しょう)(そう)していると、隣に居るシューマッハが(ささや)きかけてきた。


「クォヴレー、このままではまずい。俺のGR-1を使うぞ」


「あまり人前で、マシンゴーレムを出したくはないですが……。やむを得ませんね、お願いします」


 シューマッハは(うなず)くと、自分の左手を側方にかざす。




 (とつ)(じょ)、何も無かった空間にマシンゴーレムが出現した。


 白磁のように美しい、白色の塗装。


 GR-1〈リースリッター〉だ。


 操縦席のハッチを開き、膝を着いた駐機姿勢だった。


 現れたGR-1は、帝国軍に一般配備されているものと頭部形状が若干違う。


 カメラの役割を果たす〈クリスタルアイ〉も、双眼式となっていた。


 他にも細かい部分で、多くの改造が施されたカスタム機だ。




『何だ? そのマシンゴーレムは? それに今、どこから出した?』




 バレンティーノの口調は平坦なので、動揺しているのかどうかはうかがい知れない。


 しかし、対応に迷いが生まれたのは確かなようだ。




「こいつは俺専用の特別機。どこから出したかは、企業秘密だ」


 そう言ってシューマッハは、白いGR-1の操縦席に滑り込んだ。


 素早く〈トライエレメントリアクター〉に、火を入れる。

 

 機体全体に魔力が循環し、二眼の〈クリスタルアイ〉に緑色の光が灯った。


 関節のロックが外れたGR-1は悠然と立ち上がり、バレンティーノへと向き直る。




『そうか。お前は【神の使徒】か……』


『バレンティーノ、なぜそれを知っている? お前は何者だ?』


 シューマッハは、機体のスピーカーで問いかける。


 だがバレンティーノは、質問に答えるつもりが無いようだった。


 相変わらずの平坦な口調で、質問とは全く関係の無いことを口にする。




『【神の使徒】までいるのに、6人も相手では()が悪い。お(いとま)させていただこう』






 バレンティーノが片手を頭上にかざすと、辺り(いっ)(たい)(まばゆ)い閃光が(ほとばし)った。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
本作に頂いた、イラストやファンアートの置き場
解ゴー FAギャラリー

他の作者さんが書いた異世界ロボットものとのコラボ作品
スーパーなろうロボット小説大戦~天涯のアルヴァリス×解放のゴーレム使い~

本作のラスボスが、生まれ変わって主人公になる異世界転生自動車レースもの
ユグドラシルが呼んでいる~転生レーサーのリスタート~

世界樹や戦女神リースディースなど、本作と若干のリンクがある作品
【聖女はドラゴンスレイヤー】~回復魔法が弱いので教会を追放されましたが、冒険者として成り上がりますのでお構いなく。巨竜を素手でボコれる程度には、腕力に自信がありましてよ? 魔王の番として溺愛されます~

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ