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【解放のゴーレム使い】~ロボはゴーレムに入りますか?~  作者: すぎモン/詩田門 文【聖ドラ改稿中】
第3章 獣人の国 ビサースト獣人国連邦編

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第30話 魂の牙~仲間に入れてもらえないかな?~

 どんよりとした曇り空の下、銀色のマシンゴーレムが荒野を駆けていく。




 エネスクス・ホーンドが帝国軍駐屯地から強奪した、GR-1〈リースリッター〉だ。


 背中のハードポイントには、マシンゴーレム用の魔剣〈リネアール〉と()(ほう)(じょう)がマウントされていた。




 操縦席の映像投影魔道機(ディスプレイ)に映し出される、枯れた草や()せ細った木々。


 操縦席(コックピット)のエネスクスは、(いん)うつな気分になる。


 天気を含め、自分達の未来を暗示しているような景色だ。




 気分を切り替えたくて、エネスクスは機体左手に乗っているシロン・ブガッディに視線を向けた。


 彼女を縛っていた鎖は、既にロジャーの工具によって切断されている。




「シロンが無事で、本当に良かった。だけど……」




 鎖から解放された手に残る、鎖の跡が痛々しい。


 エネスクスの胸には、再びリースディア帝国兵達への激しい怒りが湧き上がってきた。




『シロン。腕のケガ、回復魔法で治せないのか?』


 エネスクスは拡声魔道器(スピーカー)の音量を絞り、シロンとロジャーの耳を傷めないよう注意しながら呼びかけた。




『あっ! 忘れてたわ。気が動転してて……』




 回復魔法が得意なシロンは【リカバリーライト】の魔法を発動させ、鎖の跡を消し去った。


 ディスプレイ越しにその光景を見て、エネスクスは安堵する。


 「シロンの綺麗な手に、傷跡が残らなくて良かった」と。




『なあ、ロジャーのおっちゃん。この方角に走れって言ってたけど、もうかなりの距離を走ってるよ? なんかアテでもあるのかい?』


 エネスクスは不安に思い、今度は右手に乗っているロジャーに話しかけた。




『ああ。仲間達が、隠れとる場所(ポイント)がある。実はワイが駐屯地で大人しくしとったのは、計画通りなんや。はなからマシンゴーレムを奪って、仲間に届けるのが狙いでな。自分じゃ全然操縦できんかったのは、計算外やったけど。……このまま進めば、夕刻には着くで』




(仲間達……ね。どれくらいの規模のグループなのやら……。ま、上手く一緒にやれるといいな)


 エネスクスはまだ見ぬロジャーの仲間達に不安と期待を抱きながら、GR-1を走らせ続けた。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 荒地を走り続け、エネスクス達は平原から岩棚が目立つ地域に入る。


 そのまま進み続け、しばらく経った時のことだった。




『止まれ!』




 GR-1の外部集音魔道機(マイク)が、男の声を拾った。


 エネスクスはそれに従い、大人しく機体を停止させる。




『クォヴレー! ワイや! ロジャー・レインや!』




 しかし、相手は姿を現さない。


 エネスクスは機体頭部を動かし周囲を観察するが、カメラでは何も(とら)えられなかった。




『マシンゴーレムを操縦しているのは、誰だ!』


『安心せぇ! コイツは獣人で仲間……』




 そこまで聞いたところで、エネスクスはハッチを開放した。


 操縦席(コックピット)から出て、外気に姿を(さら)す。




「猿獣人? 猿獣人の戦闘力で、どうやって? ……いや。猿獣人は、頭のいい奴が多いからな。上手く立ち回ってくれたのか」




 (とつ)(じょ)、GR-1のすぐ近くに人影が現れた。


 恐るべきスピードと、気配の殺し方だ。


 現れたのは狼の獣人。

 年齢は20歳くらいに見える。


 ワイルドに刈り込まれたグレーの頭髪と、(せい)(かん)な顔立ち。

 髪と同じく、灰色の鋭い眼光。


 唇の隙間から覗く長めの犬歯が、獣人の中でもトップクラスの戦闘力を誇る狼獣人らしさを(かも)し出していた。


 その(いっ)(ぽう)、ピンと立った耳とふさふさの尻尾は可愛らしい。


 帝国の獣人コレクターが奴隷に欲しがりそうだと、エネスクスは心配になった。




 エネスクスがハッチから飛び降りると、狼獣人は握手を求めながら(あい)(さつ)をしてきた。




「俺は反帝国のゲリラ組織【魂の牙】のメンバー、クォヴレー・コーベットだ。このアジトでは、リーダーを務めさせてもらっている」


「エネスクス・ホーンドです。こっちの(うさぎ)獣人は、シロン・ブガッディ。2人ともコピン村に住んでいたんだ」


「エネスクス。シロン。ロジャーに協力してくれて、感謝する。マシンゴーレムを奪ってくるなんて、凄い成果だ」


「クォヴレーさん。感謝ついでに、仲間に入れてもらえないかな? 僕とシロンはもう、コピン村には帰れない……。派手に暴れちゃったからね」




 本当はエネスクスもシロンも、いちどコピン村に戻ってブガッディ夫妻を(とむら)いたかった。


 だがそれは、あまりにも無謀な行動だ。




「いいとも、歓迎する。人手が足りないんで、バリバリ働いてもらうぞ?」


 クォヴレーは(かい)(かつ)に笑うと、風のようにGR-1の肩へ駆け上がる。




 そしてエネスクスに、アジトへの道案内を開始した。




 先程まで天を覆っていた雲はいつの間にか晴れ、太陽の光がGR-1の装甲を照らしていた。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 【魂の牙】アジトは、洞窟の中にある。


 岩棚が重なり合い、陰になっている箇所にひっそりと隠されていた。


 いくつかの部屋があるようだが、エネスクス達が通されたのは1番奥にある会議室。


 床は土魔法で平らに慣らされており、歩きやすい。


 部屋の中央にはテーブル。

 周辺には、何脚かの椅子が置いてあった。




 そのうちの2脚には人間族らしき青年と、全身にローブを(まと)った怪しい人物が腰掛けている。


 青年の方は、真っ黒い髪と瞳をしていた。


 赤みや青みがかった黒髪は、そう珍しくない。

 だが彼のように真っ黒な髪は、この大陸のどんな種族にも存在しないといわれている。


 そして、そこそこ端整な顔立ち。


 クォヴレーがエネスクス達3人を紹介しているが、表情の変化に(とぼ)しい。


 何を考えているのかわからない、不気味さがあった。




 もう1人は、草色のローブと仮面で顔を隠した人物。


 体のラインからして、女性と思われる。


 体格を見るに、種族は人間か獣人のどちらかだろう。




「紹介しよう。ロジャーもしばらくアジトを離れていたから、初対面だな? 彼はシューマッハさん。国外から来た、我々の協力者だ」


「シューマッハと呼んでくれ。(わけ)あって本名は名乗れないが、君達への協力は惜しまないつもりだ」


「シューマッハさんは帝国から脱走してきたそうで、我々にマシンゴーレムを提供してくれる。それに、凄い魔法をお持ちだ」


「クォヴレー、そのことはあんまり大っぴらに広げないでくれ。……隣の彼女は、ティーテという。彼女も(ゆえ)あって素性を明かせないが、腕は確かだ。俺も彼女も無口だが、気にしないでくれ」




 シューマッハに紹介されたローブの女性――ティーテは、立ち上がるとぺこりと一礼。


 再び椅子に座った。




「他のメンバーは今、出払っている。……さてロジャー。駐屯地潜入からマシンゴーレムを奪って、脱出するまでの経緯を報告してくれ」


 クォヴレーに(うなが)され、ロジャーはこれまでの()()(ごと)を語り始めた。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






「……にわかには、信じ(がた)い戦果だな。初めてマシンゴーレムに乗った猿獣人の少年が、帝国のマシンゴーレム2機を撃破するなんて……。いや、すまん。猿獣人を下にみているわけではないんだ。戦闘よりも、商売や研究に向いている種族だと思っていたものでな」


 腕を組んで、(うな)るクォヴレー。


「僕自身も、そう思っていたよ。種族の相性か、僕個人の相性かはわからない。とにかくGR-1は、凄く操縦しやすかったんだ」




 そこで、意外な人物が口を挟む。




「あり得ない話じゃない。生身での強さとマシンゴーレムを操った時の強さは、比例する場合がほとんど。しかし(まれ)に、例外も存在する。帝国エースの(いっ)(かく)エマルツ・トーターは、マシンゴーレムから降りても優れた戦士だった。だが天才と呼ばれたアレックス・(セバスチャン)・マッサは、白兵戦では話にならなかったらしい」


 シューマッハの話に、クォヴレーも納得したようだ。




「ふむ、そうか……。では今回()(かく)できたGR-1は、エネスクスに操縦を任せよう。俺も操縦を覚えないといけないから、時々は貸してもらう。だが、メイン操縦者(パイロット)はエネスクス。整備担当は、もちろんロジャーだ」


「クォヴレーさん、私は回復魔法が得意です。救護担当を、任せてもらえないでしょうか?」


 シロンの申し出に、クォヴレーの表情が輝く。


「そいつは非常に助かる。回復魔法の使い手は、このアジトに居なかったからな。ロジャーの無事な帰還に、マシンゴーレムの鹵獲。有望な新人が2人も加入と、明るい知らせが目白押しだな。早く他のメンバーにも、報告したいものだ。……そろそろ戻ってくる時間なんだがな」




 クォヴレーが壁の時計に目をやった時、洞窟を駆ける(あわ)ただしい足音が響いてきた。




「リーダー! 大変だ!」


 会議室に飛び込んできた馬の獣人が、開口一番にそう叫んだ。


 走ることに関しては、獣人の中でも抜きん出た馬獣人。


 それがこんなにも、汗だくで息が上がっている。


 よほど急を要する事態になって、必死に走ってきたのだ。




「ムスタング! 何があったんや!?」


「ロジャー! 無事だったか! ……っと、今はそれどころじゃねえ! 奴隷狩りだ! 俺以外の7人は、みんな捕まっちまった……」




 そこでムスタングは一旦言葉を切り、重々しい口調で続ける。






「奴だ! ――『奴隷狩りのバレンティーノ』!」






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本作に頂いた、イラストやファンアートの置き場
解ゴー FAギャラリー

他の作者さんが書いた異世界ロボットものとのコラボ作品
スーパーなろうロボット小説大戦~天涯のアルヴァリス×解放のゴーレム使い~

本作のラスボスが、生まれ変わって主人公になる異世界転生自動車レースもの
ユグドラシルが呼んでいる~転生レーサーのリスタート~

世界樹や戦女神リースディースなど、本作と若干のリンクがある作品
【聖女はドラゴンスレイヤー】~回復魔法が弱いので教会を追放されましたが、冒険者として成り上がりますのでお構いなく。巨竜を素手でボコれる程度には、腕力に自信がありましてよ? 魔王の番として溺愛されます~

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