表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【解放のゴーレム使い】~ロボはゴーレムに入りますか?~  作者: すぎモン/詩田門 文【聖ドラ改稿中】
最終章 夢の国 リースディア帝国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

124/150

第113話 運び屋の【ゴーレム使い】~もっと楽ができたのに?~

『魔王様のプレゼントは、空間転移の魔道具。()(おう)(りょう)各階ボス部屋の前に、脱出用の魔法陣があっただろう? あれを小型にして、持ち運び可能にしたヤツだ』




 (やす)(かわ)(けん)()が明かした話に、(あら)()()()は少し安心した。


 あの魔法陣は、人間を1人か2人ずつぐらいしか転送できない。


 しかも小型というなら、人間1人ずつが限界だろう。




『それを使って、帝国内に誰か転送でもしたのか? ()(かく)を送り込んでも、簡単に暗殺されるようなニーサじゃない。何より俺がさせない! 歩兵部隊を山ほど送り込んでも、帝都の防衛についている200機の精鋭マシンゴーレム部隊に蹴散らされるだけだ』


『その通りだな。こっちもマシンゴーレムを持って来ないと、まず無理だ。山葉製空間転移の魔道具が、マシンゴーレムも通れるぐらい大きかったらな……。もっと楽ができたのに……』




 ――もっと楽ができたのに。




 その言葉の意味を(はん)(すう)し、瀬名の全身が(あわ)()つ。




 〈サンサーラ〉が異空間に飛ばされていた、空白の30分間。

 



(それだけの時間があれば、奴は……!)





 瀬名は(つば)()り合いを止め、機体を急上昇させた。


 〈タブリス〉が密着状態から、異空間射撃のマシンガンで狙っていたのだ。


 間合いを外すついでに、ぐんぐん高度を上げる〈サンサーラ〉。




「レオナ! 〈エーテリック()カウンター()カウンター()メジャー()〉(魔力的電子戦防護)、最大出力!」


「了解! ……いました! データベースに、(がい)(とう)()あり! 〈シラヌイ〉です!」




 メイン映像投影魔道機(ディスプレイ)の片隅に、ズームされた映像が別ウィンドゥで開く。


 〈タブリス〉と同じ漆黒の機体が、山岳地帯に隠れていた。


 【ゴーレム使い】が、以前乗っていた電子戦機。


 XMG-4〈シラヌイ〉だ。




「全然気付かなかった……。異空間に閉じ込められた時から、ECCMをカットしていたのが裏目に出たか……」


 ECCMを展開していれば、話は違った。


 〈シラヌイ〉の〈マルチプルディセプター〉による光学センサー()(まん)や、レーダー欺瞞を無効化できる。


 しかしECCMは、常時展開していれば結構な魔力を食う装置だ。


 〈タブリス〉に、〈シラヌイ〉のものほど高度な〈エーテリック()カウンター()メジャー()〉(魔力的電子妨害装置)は積まれていない。


 そう判断した瀬名とレオナは、ECCMをカット。


 ()(じょう)魔力をプラズマライフルの火力や、魔力変換装甲の防御力に回してしまっていたのだ。




ケンキさん(フリーダム1)、見つかっちゃったよ。〈エーテリックジャマー〉解除。離脱するね』


『通信妨害ご苦労、エネスクス(フリーダム7)。〈シラヌイ〉の乗り心地はどうだ?』


『やることが多くて、大変な機体だね。最新式〈擬似魂魄AI〉のサポートがあっても、全部使いこなすのは無理!』




 〈シラヌイ〉の操縦兵(パイロット)は、猿獣人の少年エネスクス・ホーンドだった。




『エネスクス! 逃がすと思うのか!?』




 〈サンサーラ〉の腰部両側に携えられたプラズマランチャー、〈リインカネイター〉。


 瀬名はその砲口を、離脱しようとしている〈シラヌイ〉の背中へと向ける。




 だが、〈タブリス〉のブレードが(いっ)(せん)


 発砲を妨害した。




 瀬名は〈サンサーラ〉を、木の葉のような軽やかさでロールさせる。


 〈タブリス〉のブレードは回避したが、〈シラヌイ〉への砲撃のタイミングは完全に(のが)してしまった。




『エネスクスには、手出しさせない。アンタは俺と、空のダンスといこうか』


『男とダンスなんて、ゴメンだね! (きみ)とエネスクスを片付けて、ニーサと踊るよ』


『いいや。悪いがニーサ帝は、ウチのじゃじゃ馬娘共と踊ってもらう』


『なっ!? 君は、まさか……?』


『30分も時間をもらっておいて、【ファクトリー】から出したのが〈シラヌイ〉1機だけのわけないだろう? パイロット達は空間転移装置で、この近くの洞窟に転移してきていた。俺が飛んでくるより、ずっと前からな』




 賢紀の言葉を裏付けるかのように、魔道無線機から通信が入る。


 それは緊迫した、ニーサ・ジテアール帝の声だった。




セナ(ディース2)! セナ(ディース2)! やられてしまったのか!? 応答してくれ!』


ニーサ(ディース1)! 俺は大丈夫だ! 通信を妨害されている間に、何があった? エリーゼ女王達が、そっちに行ったのか?』


『ああ、無事だったか。良かった……。現在敵マシンゴーレムの部隊が、帝都ルノール・テシアに向けて接近中だ。数は40!』




 圧倒的に戦力の劣るルータス軍による、帝都への強襲。


 そんな馬鹿げた作戦は、さすがにニーサも瀬名も想定していなかった。


 直接攻撃するにしても、〈シラヌイ〉による単機での潜入・破壊工作ぐらいのものだろうと踏んでいたのだ。




『ぶっちゃけ俺も、無茶苦茶だと思う。まあ発案者は、俺じゃないからな』


『そう? これぐらいで無茶苦茶なんて、甘いよ。新人使徒君たち』


 (やま)()(とき)()のダメ出しが飛んだ。


 神々の使徒としては、賢紀や瀬名より500年も先輩。


 (いくさ)に関するキャリアは、季子の(ほう)が何倍も長い。


 今回のような奇襲・奇策を行ったり受けたりという経験は、星の数ほどあった。




『たった40機で、帝都を強襲か。リースディア帝国軍を、甘く見るなよ? 簡単にやられるニーサや、「インペリアルパラディンズ」じゃない。帝都の防衛は、ニーサ達を信じて任せる。俺の役目は、安川……(きみ)を抑えることだ』


『できるかな? ……ギヤを1段上げるぞ』


『ふん。変速(シフト)ミスじゃないと、いいけどね』




 (せつ)()、大気が震えた。




 轟音を上げて加速した2機のマシンゴーレムは、(すい)(せい)となる。




 それぞれに紫と青の尾を引く(すい)(せい)は、重い鉛色の空を駆け巡った。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 雨の降りしきる、山岳地帯。


 泥の()(ぶき)を巻き上げながら、金属の巨人達は疾走する。


 その姿はさながら、獲物を追いかける肉食獣。


 機械的な輝きを放つ瞳が、薄暗い天気の中に残光の軌跡を(えが)く。


 部隊の先頭を走るのは、色鮮やかにペイントされた3機のマシンゴーレム。


 紫、赤、緑。


 非常に目立つ塗装だが、意味がある。


 それぞれ塗料に運動性向上や、耐熱性向上、静粛性向上などの効能がある特殊塗料なのだ。


 多少目立ってしまってでも、使うメリットがある。




 紫の機体はエリーゼ・エクシーズ女王の新しい愛機、RHR-1〈テルプシコーレ〉。


 先代の愛機〈サルタートリクス〉では1基だった背中の推力偏向(ベクタードスラスト)ノズルが、2基に増えている。


 リッチー・レインの研究所にあった放熱版のような謎ユニットが搭載され、機体4箇所から突き出ているのも特徴だ。




 暗めな赤色の機体は、GR-6FH〈イフリータ〉。


 駆るのは犬獣人メイド、アディ・アーレイト。


 先代〈フレアハウンド〉と違い、〈超魔導リニアホイール〉は省略(オミット)されてしまった本機。


 そのため滑走(グライディング)機動(マニューバ)ではなく、低空飛行しながらエリーゼ機を追っている。


 機体各部に仕込まれた小型大出力推進器(スラスター)により、低空・短時間ならば飛行が可能なのだ。


 


 エリーゼとアディより少し遅れて、エメラルドグリーンに塗装された機体が走っていた。


 長大な狙撃砲を肩に担いでいるのは、イースズ・フォウワードの新しい機体。


 XMG-3HEL〈ディアナ〉。


 強化された電磁加速砲(レールガン)の反動に耐えられるよう、腕部や脚部は〈サジタリィ〉よりも太いデザインになった。


 この機体も背中に、何やら怪しげなユニットを搭載している。





エリーゼ(フリーダム2)より、各機! みんな! ちゃんとついて来ているわね?』


エリーゼちゃん(フリーダム2)! あたしの機体、2人のより足遅かとよ。もう、10km(キロ)離されとる!』


『大丈夫よ! イースズ(フリーダム4)なら、そこからでも射程距離内でしょう?』


アディ(フリーダム3)より姫様()! あまり突出しないで下さい! 城塞都市ダスカンの時と、同じではありませんか!』


『同じようには、いかないわ。あの時の何倍も敵マシンゴーレムが配備されている。ポルティエの情報にあった、「インペリアルパラディンズ」もいる。おまけに敵パイロット達の腕もいい――もう迎撃に来た! 正面に、GR-3〈サミュレー〉が3機! 距離3000!』


『訂正するばい。2機』


 イースズ・フォウワードの通信からワンテンポ置いて、魔力・電波併用式レーダーから敵機の反応がひとつ消える。


 少し遅れてエリーゼ・エクシーズの耳に入る、GR-3の撃破音。


 さらに遅れて、ようやく後方からの発砲音が聞こえる。


 イースズの機体位置が遠く、電磁加速砲(レールガン)の弾が速過ぎるのだ。




『さらに訂正。あと1機ですわ』


 アディ・アーレイトのアサルトライフルが、さらに敵機の数を減らす。




「さあ、エリーゼちゃん! 最後の1機は、オイラ達でいただくよ!」


「OK、ヨルム! 距離300! ぶった斬……」




 エリーゼが獲物認定していた、敵GR-3。


 その側頭部が、吹き飛んだ。




『ウホッ! 姉御、見てくれました? 今の支援射撃。俺も結構、腕を上げたもんでしょう?』


 魔道無線から入ったのは、エリーゼの弟分ゴリの自信に満ちた声。


 ついでに映像通信も入っていた。


 彼のむさ苦しいドヤ顔とサムズアップする様子も見せつけられ、エリーゼとヨルムはイラっとした。




『見事よ、ゴリ(フリーダム8)……。成長したご褒美に、帰ったら「ゴリ専用地獄の訓練プログラム」を組んであげるわ』


『ウホッ!? なんで怒ってるんスか!? 地獄の訓練嫌だー! エネスクスの奴も、道連れにしてやるー!』


エリーゼちゃん(フリーダム2)ゴリくん()。じゃれあってる場合じゃなかよ。前菜(オードブル)は終わりたい。いよいよフルコースで、おもてなしがくるばい』


『ウホッ。俺、大食いには自信ありますけど……。食いきれますかね?』


『残したら、作った人達に申し訳ないでしょう?』




 エリーゼは、舌なめずりした。


 映像投影魔道機(ディスプレイ)に浮かぶ、数えるのも馬鹿らしくなるほどの光点を見つめながら。






『全機! 好き嫌いせずに、残さず食べるのよ!』






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
本作に頂いた、イラストやファンアートの置き場
解ゴー FAギャラリー

他の作者さんが書いた異世界ロボットものとのコラボ作品
スーパーなろうロボット小説大戦~天涯のアルヴァリス×解放のゴーレム使い~

本作のラスボスが、生まれ変わって主人公になる異世界転生自動車レースもの
ユグドラシルが呼んでいる~転生レーサーのリスタート~

世界樹や戦女神リースディースなど、本作と若干のリンクがある作品
【聖女はドラゴンスレイヤー】~回復魔法が弱いので教会を追放されましたが、冒険者として成り上がりますのでお構いなく。巨竜を素手でボコれる程度には、腕力に自信がありましてよ? 魔王の番として溺愛されます~

― 新着の感想 ―
[良い点] もう、ゴリが出てくるだけで笑えます。 元々の口調はこんなにゴリラっぽかったでしたっけ?(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ