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【解放のゴーレム使い】~ロボはゴーレムに入りますか?~  作者: すぎモン/詩田門 文【聖ドラ改稿中】
第6章 魔族の国 魔国ディトナ編

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閑話11 レヴィのアドバイス~どれの話ですか?~

 ()(おう)(りょう)の入り口。




 受付小屋の前では、2人の魔族が(たん)(そく)していた。


 受付嬢のキャデラと、ベテラン探索者のデミーオである。




「あの子達……。帰ってこないわね……」


「若い奴らが、帰ってこない……。探索者稼業やってて、1番気分が沈む時だ」


「私……もうこの仕事、辞めようかしら? 顔見知りの人達が、いつものように(あい)(さつ)して()(おう)(りょう)に入っていく。……なのにある日突然、帰ってこなくなる。それがこんなにもつらいなんて、就職する時は考えもしなかったわ」


「俺達が探索に潜っている時も、そんなに心配してくれているのかい?」




 軽口を叩いたデミーオに、キャデラはキッと怒りの視線を投げつけた。




「当たり前でしょう! デミーオさんが帰ってこなかったら、私……。私……」


「悪かったよ、キャデラ。まったく。魔王陵探索者というものは、因果な商売だな。俺達も生きていくのに充分な(がく)は稼いだし、そろそろ引退を考えるべきかな?」


「私も、転職しようかしら? でも、いい転職先あるかな?」


「引退した探索者のところに、永久就職っていうのはどうだ?」


「デミーオさん!? それ、本気!?」




 普段は青白いキャデラの(ほお)が、サッと赤く染まる。




「ああ、本気だよ。探索者以外の仕事をするにしても、毎日(きみ)に見送って欲しいんだ」




 周りに誰もいないのをいいことに、2人は互いに手を取り合い見つめ合った。




 せっかく盛り上がっていたキャデラとデミーオだったが、慌てて離れる。


 目の前にある脱出用転移魔法陣が、強い輝きを放ち始めたからだ。




 誰かが魔王陵から、出てくる。




「良かった! きっと、あの子達よ!」




 入場者名簿に名前があり、帰還していないのは4人だけ。


 ケンキ・ヤスカワ。


 エリーゼ・エクシーズ。


 アディ・アーレイト。


 イースズ・フォウワードのパーティだ。




「ん? ちょっと待て、キャデラ。脱出階数表示が、おかしくないか?」


「え!? ウソ!? 魔道具の故障じゃないの!?」




 長年受付嬢を勤めてきたキャデラが、初めて見る3桁の数字。




 『地下100階』。




 それは魔王陵を、最深部まで踏破したことを意味する。




 魔法陣を包む光のカーテンの中から、人影が出てきた。


 名簿に名前を書いたまま、戻ってきていなかった4人の若者達だ。


 誰ひとり欠けることなく、彼らは無事に帰ってきた。




 ――否。


 欠けるどころか、増えていた。




「んーっ。200年ぶりの外は、気持ちいいね。あ。こんにちは、私の子孫達……っていうわけでもないか。私のかつての国民達? いやいや、当時は君主制だったけど、私のモノ扱いは良くないよね」


「あわわわ……。本物なの!?」


「魔石と共に、魂は(いま)だこの世に存在していらっしゃると言い伝えられてはいたが……」




 ケンキ・ヤスカワ達のパーティと共に現れたのは、伝説となっている人物。


 (つや)やかな長い黒髪に、紫がかった黒鳥の翼。


 そして「返り血が目立たないから」という理由で、よく着用していたワインレッドのドレス。


 魔国ディトナの住民なら、誰でも知っている存在。




『魔王アクヤック・レイジョール様!』


「違ーーーーう!」




 かつて時空魔王としてこの地を支配していた(やま)()(とき)()は、怒りと悲しみの混じった絶叫を上げた。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






「なんてこと……。学校の教科書にも、アクヤックの名前で記載されているなんて……」


「ええ。俺も古い文献では、トキコ・ヤマハという名前も見かけたことがあるんですが……。(いっ)(ぱん)(てき)には、全く(しん)(とう)していません」


 デミーオの説明に、季子は顔を両手で覆った。


「首都は今も、魔法都市イムサなの? 安川君! 今すぐイムサ行政府に行って、教科書に載ってる私の名前を訂正させよう!」


「山葉、残念ながら却下だ。みんな疲れてるから、ここで1泊するぞ。イムサは帰りにまた寄るから、その滞在期間中に頑張れ」


「ヤスカワさん、また勝手にコテージ建てる気ですね? まあ、黙認しますけど。すぐにどかして、地面も戻せるってもう分かってるから」


 キャデラが言い終わる前に、(やす)(かわ)(けん)()は土魔法による整地を始めていた。


 あっという間に、立派なコテージが出現する。

 



 やれ「疲れた」だの「お腹が()いた」だの言いながら、若者達はコテージの中へ消えて行った。


 魔王陵最深部踏破という、歴史的快挙を成し遂げた者達には見えない。




「あ……。そう言えば魔王様の魂、ここからいなくなっちゃうのよね? これからもダンジョンって、正常に動くのかしら?」


「それは、望み薄だろうな……。やれやれ。これは否応なく、引退だな」






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 コテージ内で、夕食を取った(あと)


 エリーゼは季子の魔石を、自室に持ってきていた。


「ヤマハさんにだけ、話があるの」


 賢紀と季子本人に、そう断りを入れて。


 魂だけの存在になった季子は、自分の魔石からあまり遠くに離れることができないのだ。




「さて、エリーゼちゃん。お話って、何かな?」


「えっと、ヤマハさん……。その……。ケンキとは、これからどうするんですか?」


「そりゃあ、お互い好きだったって分かったんだもん。(いっ)(しょ)になるよ」


 当然でしょ? とでも言わんばかりの返答に、エリーゼの顔が凍りついた。


 凍りついた表情筋をむりやり動かして笑顔を作り、ぎこちない声で彼女は質問を続ける。




「前の旦那さんは、どうされたんですか? ティーゼお()()様の、お父さん」


「ティーゼは私の娘だけど、分身体みたいなもの。だから、父親はいないよ」




 エリーゼは、みるみる落ち込んでいった。


 最後の希望を込めて、もうひとつ質問を追加する。




(いっ)()()(さい)制について、どう思われますか? この世界では、さして珍しくはないのですが……」


「絶対認めないよ。私も安川君も、日本人。(いっ)()(いっ)(さい)制で、重婚は罪になる国で生まれ育ったの。もし浮気したら、相手の子はマリアちゃんと同じ刑に処す。安川君は2度と浮気できないよう、異空間に監禁する」


 それを聞いたエリーゼは、机に突っ伏した。




「あ……。エリーゼちゃんのHP(ヒットポイント)が、ゼロになった」




 ひと目会った時から、季子には分かっていた。


 エリーゼが賢紀のことを、どう思っているかなど。




「ティーゼお義母様は、(いっ)()()(さい)全然OKな人だったのに……」


「ティーゼか……。ティーゼ・ヤマハはね、私がもうすぐ寿命で死ぬって時に生み出したの。私が死んだ(あと)、ひょっとしたらいつか、安川(くん)がこの世界にくるかもしれないって思って……」




 季子は遠い目で、コテージの天井を見上げた。




「私が安川君と結ばれないなら、ティーゼがそうなったらいいなって……。でもそれって、私のひどいエゴだよね。そんな理由で生み出されて、あの子は幸せだったのかな……?」


「そりゃあもう! お父様と(いっ)(しょ)にいる時のティーゼお義母様は、いつも幸せそうでした!」


 顔だけテーブルからガバっと起こし、エリーゼは力説した。




「ふふっ、良かった。あの子が自分の愛する人を、見つけることができて……。最期まで、()()げることができて……」


「他に(きさき)がいても、幸せになれるんですよ。だからヤマハさんも()()(いっ)()()(さい)制導入のご検討を……」


「ダ~メ。それは貴女(あなた)のお父さんが、複数の女性を上手に愛せる男だったから。お妃さん同士が争わないように、もの凄く気を配っていたはずよ。安川君は、そういうことができるタイプじゃない。それは貴女も、良く分かっているでしょう?」




 再び机に突っ伏したエリーゼを、季子は可愛いと思ってしまった。




「ちょっと、意地悪し過ぎちゃったかな? ねえ、エリーゼちゃん。私を見て」




 顔を上げたエリーゼの(ほお)に、季子は両手で触れようとした。


 だがその手はエリーゼの顔を通り抜け、後頭部から飛び出してしまう。




「私は魂だけの存在。安川君と再会できたのは嬉しいけど、もう彼に触れることはできないの。(いっ)(しょ)になるなんていっても、何もできやしない。抱きしめることはおろか、手を握ってもらうことだって……」




 季子よりも、エリーゼの(ほう)が悲しそうな顔をしていた。


 他人の不幸を、自分のことのように悲しんでくれる少女。


 彼女を見て、季子は思った。


 「この子になら、彼を任せてもいい」と。




「だから、もう少しだけ……。操縦席(コックピット)の中で、彼と(いっ)(しょ)に居させて。もうじき魔神様の神罰が解けて、私はこの世からいなくなる。その(あと)は、貴女が彼を……」




 涙を流すエリーゼに、季子は触れることができない。


 それでも彼女の頭を抱きかかえ、長い銀髪を季子は優しく()で続けた。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 季子の魔石は、エリーゼの手によって賢紀の部屋まで届けられた。


 今は部屋のテーブル上に、置かれている。


 隣の賢紀の部屋までぐらいの距離なら、魔石から離れることも可能だ。


 しかし壁をすり抜けて移動すると、いかにも幽霊っぽくて季子は悲しくなる。


 おまけに、周りの人間の心臓にも悪い。




「山葉。実はレヴィ……【ファクトリー】の中にいる水の高位精霊が、大事な話があるそうだ。俺と、お前にだけな」


「うん、何かな?」




 実体を持たない水しぶきを上げながら、空中にレヴィが現れた。




「なーに。ちょっとアドバイスを、くれてやろうと思ったのさ。そこの小僧がずっと悩んでいる問題を、何とかできるかもしれないと思ってね。……時空魔王のあんたが、協力すれば」




「俺の悩みだと? まあ確かに、いくつか解決の()()が立っていない問題はあるが……。どれの話だ?」




 レヴィは長い(つの)を、振りかざしながら答えた。






「不死の英雄……セナ・アラキの殺し(かた)さ」






こんにちは、山葉季子です。

アクヤック・レイジョールの名前で呼んだ人は、次元の狭間に放り込むので注意して下さい。


どう、このお話楽しめてる?

次は最終章だし、評価やブックマーク登録をお願いしてもいいかな?


やり方は簡単。

画面上に出ている黄色いボタンからブックマーク登録。

この下にある★★★★★マークのフォームから、評価の送信ができるよ。


……え? 評価してやるから何かくれって?

そうだね……。私の力作BL本とかどうかな?


※本気にしないで下さい。また、魔王トキコ・ヤマハの過激BL本は、魔国ディトナ内で所持していた場合、法律により罰せられます。

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本作に頂いた、イラストやファンアートの置き場
解ゴー FAギャラリー

他の作者さんが書いた異世界ロボットものとのコラボ作品
スーパーなろうロボット小説大戦~天涯のアルヴァリス×解放のゴーレム使い~

本作のラスボスが、生まれ変わって主人公になる異世界転生自動車レースもの
ユグドラシルが呼んでいる~転生レーサーのリスタート~

世界樹や戦女神リースディースなど、本作と若干のリンクがある作品
【聖女はドラゴンスレイヤー】~回復魔法が弱いので教会を追放されましたが、冒険者として成り上がりますのでお構いなく。巨竜を素手でボコれる程度には、腕力に自信がありましてよ? 魔王の番として溺愛されます~

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