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【解放のゴーレム使い】~ロボはゴーレムに入りますか?~  作者: すぎモン/詩田門 文【聖ドラ改稿中】
第6章 魔族の国 魔国ディトナ編

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第99話 最下層の番人~話が違うんじゃないですか?~

 ()(おう)(りょう)地下80階。




 (やす)(かわ)(けん)()達の現在位置は、ボス部屋の手前。


 脱出用の転移魔法陣がある部屋で、休んでいた。


 この部屋は、魔物が入ってこない仕様になっているらしい。


 案内用(せき)()にも、ここでの休息が(すい)(しょう)と書かれている。


 賢紀達(いっ)(こう)も睡眠を取るべく、部屋を占拠していた。


 【ファクトリー】から取り出した4人分のベッド(しかもそれぞれがクイーンサイズ)を、広げてしまっているのだ。


 そんな中、ベッドに入った賢紀はポツリと()らした。




「マシンゴーレムに乗りたい……」


「どうしたのケンキ? 突然、マシンゴーレムに乗りたいなんて……」


 寝間着姿のエリーゼ・エクシーズが、その(つぶや)きに反応した。


 寝間着はけっこう薄手なため、色々なところが盛り上がって扇情的な姿になっている。


 エリーゼ自身も賢紀に見せつけようとしている(ふし)があるが、【ゴーレム使い】は今それどころではないのだ。




「ダンジョン探索()きた。帰ってマシンゴーレムに乗りたい」


 それは(うそ)(いつわ)りの無い、賢紀の本音だった。


 彼はダンジョンアタック系のゲームや小説は、「そこそこ好き」ぐらいの感覚でしかない。


 ロボのように、病的に好きなわけではないのだ。




「もう! ワガママ言わないの! 時空魔王の魔石が新型マシンゴーレムの開発に必要だから、わざわざここまで来たんじゃない!」


 魔王陵探索を結構楽しんでいるエリーゼは、賢紀の発言をワガママと切って捨てる。




「でも、ケンキさんの気持ちもわかるばい。あたし達、操縦のブランクが()いとるよね? 次回の(きゅう)(けい)の時に、久々にシミュレーター訓練ばせんね?」


「イースズ! 訓練でケンキ様にボロボロにされて悦ぶのは、あなただけですわ。自分の(せい)(へき)に、皆を巻き込まないで下さい」


 イースズ・フォウワードの提案に、アディ・アーレイトは尻尾をプルプル震わせながら抗議した。




「シミュレーターを稼動させると、俺の魔力がメチャメチャ消費されて休息にならないんだが……。まあ、いいか。とっとと魔王の魔石を手に入れて、帰ろう」




 賢紀は(もん)(もん)とした気分で眠りに就いた。


 彼を悶々とさせているのは、周りですうすうと可愛らしい寝息を立てて眠る美女達ではない。


 今や(なつ)かしいとまで感じるようになってしまった、マシンゴーレムの操縦席(コックピット)だった。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 魔王陵の地下81階からは、海辺のエリアといったところ。


 大海に浮かぶ細長い形状の島と島を、ドアが(つな)いでいる。




 そう、ドアだ。




 ドアが砂浜にポツンと(たたず)んでおり、開けると次の島へと続いているのだ。




 ドアの背面に回りこんでも、ただの壁になっているようにしか見えない。


 だが扉を開いた先に広がるのは、確かに今までとは違う別の島だ。




「さすがは時空魔王と呼ばれる、アクヤック・レイジョール。いや、アクヤえもんと呼ぶことにしよう」


 賢紀は魔王に、国民的猫型ロボットっぽいニックネームを付けることにした。


 このドアといい魔王が使いこなしていたという【次元収納魔法】といい、両者には共通点が多いと思ったからだ。




「妙に()()が悪いニックネームね。……それにしてもこのドア、どんな仕組みになっているのかしら?」


「さっぱりわからん。空間魔法というのは、とてつもなく高度で複雑な魔法だな。このドアを【ファクトリー】に入れて、持ち帰ってみたいが……。入らなかった」


(さっ)(そく)パクろうとしたのね……。持って帰ったら、絶対キャデラさんに怒られるわよ」


 「どこでもトビラ」の解析を諦めた賢紀達(いっ)(こう)は、先に進むことにする。


 道中では海の中から、水棲系の魔物が次々と現れては襲い掛かってきた。


 飛び(うお)


 亀。


 半魚人。


 海蛇などだ。




 さすがにこれくらい下層のエリアになると、魔物達も強い。


 上層のザコ達と違って、瞬殺とまではいかない。


 賢紀達は探索のペースを落としつつ、(しん)(ちょう)に魔物達を撃破しながら下層へと進んで行った。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 地下90階。




「……デカイな」


「ほんとね。イカ焼きにしたら、何人分できるのかしら?」




 賢紀達の前に(そび)え立つのは、ちょっとした山くらいの巨体を持った魔物。


 タコとイカを掛け合わせたような姿をしているそれは、アトミック・クラーケンと呼ばれている。


 あまりにも大きなこのボスとの戦闘を想定してなのか、今回の戦場はかなり広い島となっていた。


 アトミック・クラーケンは、海の浅い部分にいて上がってこない。


 しかし陸からでも、魔法やライフルでの攻撃ならば充分届きそうだ。




「それにしても、この大きさは(やっ)(かい)だな……。水の中の魔物だし、ベッツさんから教わった、雷の魔法が有効か?」


 賢紀が攻め方を考えていると、隣でイースズが(かん)(たん)の声を上げた。




「まうごつデカかね~。マシンゴーレムの全高よりも、大きかばい!」




 その言葉を聴いた瞬間、賢紀の(のう)()にある作戦が(ひらめ)いた。


 目の前の(きょう)()を速やかに排除しつつ、(みずか)らの欲求も解消できる名案だ。




「なあ。ここで、マシンゴーレム出したらダメか?」




 はじめは全員が「ええっ!?」という反応を示したが、すぐに納得の表情になる。


 これだけ広い空間があれば、全高8(メートル)を超える第2世代型マシンゴーレムでの戦闘も可能だろう。




 さっそく賢紀は【ファクトリー】の中から、愛機XMG-4〈シラヌイ〉を取り出そうとしたのだが――





(うーん、うーん。ケンキ、(わらわ)はお腹が痛いのじゃ。〈シラヌイ〉は使えぬ)


 【ファクトリー】の中にいる闇の高位精霊マリアが、賢紀に念話を飛ばしてきた。


 演技くさい口調で。


 精霊が腹痛を起こすなど、聞いたことがない。




「そうか? 仕方ないな。ならば久しぶりに、MG-2〈ユノディエール〉で……」


(ケンキ用MG-2の〈()()(こん)(ぱく)AI〉は、妾が食った。もう動かぬぞ)


「勝手なことを……。GR-1だと、少々手こずりそうな大きさだしな。どうしたもんか……」


(ハーイ! ハーイ! ケンキさん! オイラと〈サルタートリクス〉は、いつでも準備OKだよ!)


 マリアと同じく【ファクトリー】内にいる土の高位精霊ヨルムが、やる気満々の念話を飛ばしてくる。




「ヨルム。俺を〈サルタートリクス〉に、乗せてくれるのか?」


(えっ、それは無理だよ。シート形状やペダル、レバーの位置が、エリーゼちゃん用のセッティングになっているから)




 今や安川Xナンバーズは、特定のパイロットに合わせた専用機と化している。


 操縦装置の剛性を上げるために、シートなどの調節(アジャスト)機構を省略(オミット)してしまったのが裏目に出た。


 賢紀より30cm(センチ)も小柄なエリーゼに合わせた操縦席では、下手したら座ることさえできない。




(ケンキ! 妾という者がありながら、ヨルムに浮気するとはどういうことじゃ!?)


「マリア。そんなことを言うのなら、お前が出てこい」


(うーん、うーん、またお腹が……)


「仕方無いな。ああ。俺も乗りたいが……エリーゼ、頼む」






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 エリーゼが乗った、XMG-2〈サルタートリクス〉の強さは圧倒的だった。




 まずは左腕に備えた小型ランチャーから、(けん)(せい)(しゃ)(げき)


 低威力だが着弾時の閃光だけはド派手な光弾が発射され、アトミック・クラーケンが(ひる)む。


 さらにエリーゼは、爆弾を(とう)(てき)した。


 賢紀が発明したもので、〈ディスタービンググレネード〉という。


 炸裂と同時に〈ディスペルチャフ〉を()き散らし、相手の魔力感知を(かく)(らん)する。




 後は魔剣〈エヴォーラ〉の出番だ。


 ガラスのように透き通るプラズマソードの刀身で、触手を1本1本(てい)(ねい)に斬り落としていく。


 エリーゼは最後に、アトミック・クラーケン本体を(こま)()れにした。




『あー。やっぱりマシンゴーレムの操縦は、楽しいわね!』




 わざわざ外部魔道拡声器(スピーカー)で、爽やかな感想を漏らすエリーゼ。


 彼女に悪意はないのだろうが、賢紀は恨めしい気持ちで〈サルタートリクス〉を見つめるのだった。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






(ああ、やっぱマシンゴーレムはいいな。俺も乗りたかった……。マリアの奴め、見え見えの()(びょう)を使いやがって。……アイツ、何で出たがらなかったんだろう? いつもならすぐ、【ファクトリー】の外に出たがるのに……。そういえば魔国ディトナに入ってから、全然出たがらないな。何でだ?)


 賢紀は考えごとをしながら、魔王陵を突き進む。


 途中で何度か、魔物が襲ってきた。


 【ゴーレム使い】は(うわ)(そら)ながらも反応し、〈トニー〉で殴り飛ばしていく。




 ふと賢紀が気付くと、他の3人が足を()めていた。




「ん? みんな、どうした? ここが地下91階か? ()(れい)なところだな」




 いま賢紀達が立っているのは、水晶のような材質で出来た床の上。


 透かしてみれば、足元には星空が広がっている。


 頭上を見上げても星空。


 赤い(あま)(がわ)が見えた。


 正面には白磁の壁を持つ、ドーム型をした建物が存在している。


 黒い大きな扉が、ドームへの来訪者を拒むかのように固く閉ざされていた。




「信じられませんわ! よっぽどボーっとしてたのですわね」


「それであの戦いぶりは、凄かばい。エルダー・ブラックドラゴンを、〈トニー〉でワンパンしたのは憶えとらんとね?」


「ケンキ……。ここはもう、地下100階よ」


「……マジか?」




 ラストフロアへ到着したと聞いて、さすがに気を引き締める賢紀。




 前方を見ると、他の3人が足を()めている理由が分かった。




 見ているだけで命を吸われていくと錯覚する、(まが)(まが)しい(しょう)()


 空間を(ひず)ませんばかりの魔力。


 それらが1点に集中し、邪悪な黒い渦を作り出している。




 やがて渦は(りん)(かく)を浮かび上がらせ、人の形を取り始めた。




 スラリと伸びた、長い手足。


 深い闇を連想させる、黒いコート。


 魔族に多い、紫がかった肌の色。


 (ほとばし)る魔力の波動によって、長い金髪をなびかせている。


 そして(ひたい)から1本の角を生やしたその男は、美形だが刃物のように鋭い顔立ちをしていた。




 彼は賢紀達に告げた。


 低く、それでいて(つや)やかな声で。




「よくきたな、挑戦者達よ……。私が魔王だ」






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世界樹や戦女神リースディースなど、本作と若干のリンクがある作品
【聖女はドラゴンスレイヤー】~回復魔法が弱いので教会を追放されましたが、冒険者として成り上がりますのでお構いなく。巨竜を素手でボコれる程度には、腕力に自信がありましてよ? 魔王の番として溺愛されます~

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