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【解放のゴーレム使い】~ロボはゴーレムに入りますか?~  作者: すぎモン/詩田門 文【聖ドラ改稿中】
第6章 魔族の国 魔国ディトナ編

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第98話 【ゴーレム使い】のやり直し~何がいけなかったと思う?~

 魔国ディトナには、プロ探索者と呼ばれる者達がいる。


 彼らは()(おう)(りょう)のダンジョンに潜って魔物を狩り、その魔石を売って生計を立てるのだ。


 そんなプロ探索者の中でも、デミーオ・スポルトスは大ベテラン。


 彼のパーティーは魔王陵探索ランキングの3位につけている、強豪パーティ――だった。




 その日。


 デミーオが朝からパーティメンバーと共に魔王陵へと向かうと、受付小屋の隣に見慣れぬ新しい建物があった。




「何だコレは? コテージ? こんなコテージ、3日前に探索から引き上げた時には無かったぞ?」




 「テスラパイン」と呼ばれる高級な木材を精巧に組んで作られた、2階建ての立派なコテージ。


 土台である基礎の部分こそ、土魔法を用いたやっつけ仕事感がある。


 しかし、3日程度で組み上げてしまえる(しろ)(もの)とは到底思えなかった。




 デミーオは(しゃく)(ぜん)としない思いを抱えながら、受付の方へと歩いてゆく。


 するといつもは愛想いい受付嬢のキャデラが、見知らぬパーティに向かい怒っている光景が見えた。


 かなりの(けん)(まく)だ。




「無断で敷地内にあんなドでかいコテージを建てるなんて、あなた達は何を考えているんですか!」




 どうやら隣のコテージは、いま怒られている4人組パーティが建てたものらしい。




 小柄な身長に見合わぬ、長い長剣を背負った少女。


 とても探索に来た格好だとは思えない、メイド服の犬耳獣人。


 魔族の血が入っていると思わしき、ハーフエルフの女性。


 そして黒髪黒目で無表情な、何を考えているのか分からない人間族の男。


 恐らく、新人パーティだ。


 こんな珍妙な集団が前々から魔王陵に出入りしていたのなら、デミーオの耳に入らないはずがない。




「おはよう、キャデラ。朝っぱらからそんなに怒って、どうしたんだい?」


「あっ! デミーオさん! 聞いてくださいよ! この子達、勝手にあんな馬鹿でかいコテージを建てちゃったんですよ!」


「だって……。利用規則には、ダメって書いてなかったし……」


 小柄な銀髪少女が、口を(とが)らせて反論する。


 12、13歳くらいに見えるが、ドワーフの血が入っていると思われる。


 実年齢は、もっと上なはず。


 その証拠に、女性特有の部分がご立派だ。




「施設の利用規則じゃなくて、法律レベルの問題です! 許可なく他人の土地に家を建てるのは、この魔国以外でも違法でしょう!?」


 銀髪少女は、明後日の方向を見ながら口笛を吹き始めた。


 これは反省していない。




「それだけじゃありません! 私は昨日、言いましたよね!? 『無理をしないように』、『危険を感じたら、引き換えすように』って! それが何ですか? 初挑戦で地下50階? 無茶しすぎです! 死にたいのですか!?」



 地下50階という言葉に驚いたデミーオは、急いでランキングボード前に走った。


 順位を確認すると、自分達の順位がひとつ下がって4位になっている。


 その上にきているのは、馴染みのない名前が並ぶパーティだ。





 ケンキ・ヤスカワ。


 エリーゼ・エクシーズ。


 アディ・アーレイト。


 イースズ・フォウワード。




「エクシーズ……。アーレイト……。そうか! あの有名な『白銀の魔獣』と、『アサシンスレイヤー』か! 俺が憧れたヒーロー、セブルス・エクシーズの娘……。フッ、血は争えぬということか」


 最近リースディア帝国からきた皇帝ご(いっ)(こう)に抜かれてしまったが、長年探索者ランキングのトップに君臨し続けていたのはセブルス・エクシーズのパーティ。


 彼らは全ての探索者パーティにとって、憧れの存在だった。


 セブルスの娘が魔王陵に挑戦し、初挑戦で地下50階までクリアした。


 そんな物語は、デミーオの胸を熱くさせる。




「いきなり地下50階とは、さすがだ……。しかし、同時に危険でもあるな」


 個々の戦闘力は高いのだろうが、彼らは昨日デビューしたばかりの新人達。


 才能(あふ)れる若き探索者は、自分の力を過信しがちだ。


 限界を超えた無茶な探索をして、命を落とすケースは(たび)(たび)ある。

 



 デミーオは彼らに、死んで欲しくなかった。




(まあ。キャデラにもう少し、説教を食らっとくんだな。少し可哀想だが、お前達の為だ)


 デミーオはそんな(ろう)()(しん)(いだ)きながら、パーティ全員分の入場料を受付に置いた。


 入場者名簿にも、記名を済ます。


 そしてお説教継続中のキャデラにひと声かけてから、魔王陵の中へと入って行った。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 魔王陵地下3階。


 デミーオ達が、ボス部屋手前の通路を進んでいた時だ。




「どいてどいて~!」




 背後から聞こえてきた、少女の大声。


 デミーオが振り返ると、入り口で見た4人の姿があった。


 いや。

 なぜか1人増えて、5人パーティになっている。


 増えたのは、全身鎧を身にまとった大柄な人物だ。


 目が縦に並んだ、奇妙なデザインの(かぶと)が印象的だった。


 全身鎧の大男は、黒髪の人間を背負っている。


 こちらはさきほど、受付でも見た青年だ。


 その5人が、猛スピードで疾走して来るのが見えた。




「…………! お前ら! キャデラの説教を、聞いていなかったのか!? もっと慎重に……」


 デミーオがそこまで言いかけた時、()()ハーフ・エルフの女性が走りながら武器を構えた。


 金属でできた、長い杖のような武器だ。


 彼女が指を動かすと、破裂音が響き渡る。




 ひと呼吸遅れて、デミーオは異変に気付いた。


 遥か先にいたこの階層のボス、リーベン・ウルフの魔力が途絶えたのだ。


 優れた魔力感知能力を持つデミーオは、それを正確に感じ取った。




 あのハーフ・エルフ女性が()ったのだ。




「そんなのアリか?」




 速度を緩めることもなく、ボス部屋の外から超遠距離攻撃。


 反則技もいいところだ。




 走り去って行く新人(ルーキー)達の背中を、デミーオは呆然と見送る。


 彼の中にある魔王陵攻略の常識は、ガラガラと音を立てて崩れていった。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 前回通路から落下し、外に放り出された地下51階の空中回廊。


 因縁ある長い通路の前まで、賢紀達は前回の3分の1という短時間で辿(たど)り着いた。




「さて。前回は、何がいけなかったと思う?」


「はい。どっかの突撃女王が、『通路は(いっ)()に走り抜けよう』って提案したのが悪いと思います」


 エリーゼの質問に、手を上げて答えた賢紀。


 だが回答の都合が悪い部分は、カットされてしまう。


「そうよ。私達は、先を急ぎすぎていたわ。今回は空中の魔物を全滅させてから、通路を渡りましょう。魔王陵の魔物は無限に湧くけど、復活にはある程度時間がかかるの」




 エリーゼは簡単に「全滅させる」と言うが、実行するのはなかなか大変――




 ――でもなかった。




 まずは〈トニー〉とアディがカービンライフルの2丁撃ちで、空中の魔物を次々と撃ち落としていく。




 イースズは二脚(バイポッド)で支持した対物ライフルを使い、通路の向こうに集まり始めたゴリラ型の魔物達を狙撃した。


 通路の向こうまで、2km(キロ)は離れているのだが。


 あまりに目標が遠いため、対物ライフルの弾速でも着弾までに時間差(タイムラグ)がある。


 しかし命中を確認する前にイースズは次弾を放ち、それが全部命中している。




 エリーゼは、伏せ撃ちの姿勢で動けないイースズのバックアップ。


 狙撃手に近づく魔物を、斬り伏せていった。




 空中の魔物もゴリラ型の魔物もあらかた片付いた時、再びソイツは現れた。




「出たな、サイの魔物。突進を食らったエリーゼの痛みと、再入場料4000モジャ×4人分の恨みを思い知れ」


 賢紀は突進の軸線上に仲間達を入れぬよう、位置を変えた。


 自分を標的にさせるべく、手招きしてサイの魔物を挑発する。




 【ゴーレム操作】を行使中の賢紀は、動体視力や反応速度は超人的な補正がかかる。


 しかし身体能力や肉体強度は、普通の人間のものでしかない。


 何(トン)体重があるのか分からないサイの魔物から突進を食らえば、即死は(まぬが)れない。


 そんな貧弱【ゴーレム使い】を組み(やす)しと見たのか、サイの魔物は地を蹴った。


 全体重を、賢紀に叩きつけるべく。




「【フリクションゼロ】」




 それは賢紀が開発した、オリジナル魔法。


 地面を凍らせるという、氷魔法だ。


 凍らせるだけなら()(ぞん)の氷魔法が存在したのだが、賢紀のものはさらに(せん)(さい)な術式を用いている。


 凍った地面の上に、薄い水膜を形成するのだ。


 「摩擦(フリクション)ゼロ」という名前は、少し(おお)()()かもしれない。


 しかし従来の氷魔法よりも、圧倒的に滑りやすい氷の滑走路が出現した。


 サイの魔物は自らの意思に反し、浮遊大地の(ふち)へとスライドしていってしまう。




 もちろん賢紀は、すでに体当たりの軸線上にはいない。


 魔法発動と同時に、横へと飛び退いている。


 今回は狭い通路上ではないので、回避できるだけのスペースがあった。




(サイだけに、サイなら~)


 下らない()(じゃ)()を心の中で(つぶや)きながら、無限の(そう)(きゅう)へと旅立った魔物を見送る賢紀。


 オヤジギャグだと言われそうなので口には出さず、胸の奥に封印する。


 神より付与された言語理解能力は、何故かこのような駄洒落も正確に翻訳されてしまうからだ。







「ケンキ! 声に出さなくても、思った時点で負けなのよ!」


 心の奥底まで見通すような、エリーゼの指摘。


 【ゴーレム使い】は凍ったように、動きを止めるのだった。






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本作に頂いた、イラストやファンアートの置き場
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他の作者さんが書いた異世界ロボットものとのコラボ作品
スーパーなろうロボット小説大戦~天涯のアルヴァリス×解放のゴーレム使い~

本作のラスボスが、生まれ変わって主人公になる異世界転生自動車レースもの
ユグドラシルが呼んでいる~転生レーサーのリスタート~

世界樹や戦女神リースディースなど、本作と若干のリンクがある作品
【聖女はドラゴンスレイヤー】~回復魔法が弱いので教会を追放されましたが、冒険者として成り上がりますのでお構いなく。巨竜を素手でボコれる程度には、腕力に自信がありましてよ? 魔王の番として溺愛されます~

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