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【解放のゴーレム使い】~ロボはゴーレムに入りますか?~  作者: すぎモン/詩田門 文【聖ドラ改稿中】
第6章 魔族の国 魔国ディトナ編

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第95話 推理の穴~ボスだったんじゃないのですか?~

 時空魔王は地球人。




 ビシリと言い放った(やす)(かわ)(けん)の断定に、帰ってきたのは深~い(ため)(いき)の三重奏だった。




「まあ、ケンキさんは異世界人だけんね。知らんでもしょうがなか」


 当然かとばかりに(うなず)くのは、イースズ・フォウワード。




「ルータス王国では、初等学校の授業で習いますのよ」


 アディ・アーレイトは手厳しい。


 不勉強だと言いたげだ。




「ケンキ……。寂しくて、魔王を同類扱いしたい気持ちは分かるわ。でも、思い出して。あなたにはセナ・アラキという、同類がいるじゃない! ……敵だけど」


 エリーゼ・エクシーズは(れん)(びん)(まな)()しで、賢紀の両肩に手をかけた。


 30cm(センチ)の身長差なので、彼女の姿勢はバンザイに近い。




「あんなゾンビ野郎と、同類扱いするな」


 賢紀はタライを投げ捨てながら、抗議した。


「どういうことだ? 魔国ディトナの和食。このゲームじみたダンジョン。いま思えばエンス大陸中の進んだ食文化や、下着の文化だってそうだ。地球から魔王が持ち込んだものだとすれば、説明がつくだろう?」


「あのね、ケンキ。時空魔王アクヤック・レイジョールは今から500年前に、この世界でおぎゃーと産まれたの。多くの文献が残ってるから、それは間違いないわ。あなたやセナみたいな、ポッと出じゃないの」


「何だその名前は? 召喚者でないのなら、転生者じゃないのか? 地球で生きていた頃の記憶を持ったまま、魔族として生まれ変わったという可能性だ。~乙女ゲーの世界と間違えて魔族に転生したので魔王を目指します~みたいな感じで」


 いかにもネット小説のタイトルにありそうな物語を、ポッと()【神の使徒】は(もう)(そう)する。




「アハハハハ! 記憶を持ったままで転生? そんな事例、聞いたことも無いわ。な~に突拍子もないこと言ってるのよ、ケンキ」


「ケンキさん……。さっき、頭を打ったけん……」


「非科学的ですわ」


 【神の使徒】や異世界からの召喚者には理解を示すくせに、魔王転生者説は(かたく)なに否定する3人。


 おまけに常日頃から魔法をぶっ(ぱな)しておいて、「非科学的」ときた。




「そんな変な名前の奴が、普通の存在なわけが……変な名前? そうか……」




 もし自分が地球の記憶を持って魔王に転生したら、そんな変な名前は絶対に嫌だ。


 魔王就任と同時に、改名する。




「そういうことよ。古代の魔族のネーミングセンスって、変わってたらしいから。……地球人のケンキが聞いても、変な名前なんでしょ? 地球生まれだったら、名乗り続けるわけがないじゃない。それにね……」



 エリーゼは賢紀に背を向け、(めい)(もく)した。


 アディも(うつむ)き、イースズも遠くを見つめている。




「人生は、いちどきり。死んだらそこで終わりなんだから、(せい)(いっ)(ぱい)生きなきゃね」


(ああ、そうか……。彼女達は全員、両親や家族を……。俺の両親は、どうしているだろうか? 相手はお約束の、トラックだったからな……。転生しているより、あの世から見守ってくれていると嬉しいな)


 中学の進路希望調査票に、希望職種「人型機動兵器のパイロット」と書いてしまうような賢紀。


 そんな息子を、いつも心配してくれていた両親。


 賢紀は目を閉じ、今は亡き両親に祈った。




 ――父さん、母さん。

 

 あなたの息子は、テキトーで浮気性な神様の部下になりました。


 いまは異世界で人型ロボットに乗って、ドンパチやっています。


 仲間にも、恵まれています。


 ドワーフの切り裂き女王。


 突撃(アサルト)獣人メイド。


 ドMのスナイパーエルフに……あ、ロクなパーティじゃないな。


 これ以上報告すると、頭おかしくなったと思われるかもしれないのでやめときます。


 ――ま、結構楽しくやってるってことで。




 最後はざっと締めくくった自由神の使徒は、閉じていた目を開く。




「さあ、行くぞ。俺達は、魔王の魔石を手に入れる」


 そう全員に告げると、賢紀は(さっ)(そう)と歩き出した。




 しかし――




 決意を胸に歩き出した【ゴーレム使い】の右足は、先程投げ捨てた金属ダライの(ふち)を踏みつけた。


 跳ね上がったタライは、彼の(すね)を強襲。


 激しいダメージを与える。




「ケ……ケンキさん、大丈夫ね? 回復魔法いらんね?」


「やっぱり俺は、仲間に恵まれているな。すまん、みんな」




 痛みにうずくまる自分を()(づか)ってくれる、イースズのやさしさ。


 仲間のありがたみを()みしめながら、先程「ロクなパーティじゃない」と思ってしまったことを反省する賢紀だった。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






「地下1階は、そろそろ終わりごたんね。そぎゃん広うなかったばい」


「もう終わりだと? イースズ、何で分かる?」


「ほら、アレば見てん」


 イースズは通路の奥を指差すが、賢紀の視力ではよく見えない。


 地球で最後に受けた健康診断では、両目とも1.0。


 なので普通の人間としては、いい(ほう)である賢紀の視力。


 だが()()魔族とエルフの血を引くイースズが相手では、足元にも及ばない。




「あれは……。ボス部屋の前に設置されているという、脱出用魔方陣ですの?」


 パーティ内で2番目に目が良い、アディが確認を取る。


 イースズは、こくりと(うなず)いた。




 賢紀が目を凝らして通路の奥の闇を注視すると、確かに小さな光点が見えた。


 照明である魔道灯の光とは、色が違う。




「よく、こんなに遠くから見えるな……」


 通路には(いっ)(てい)(かん)(かく)で魔道灯が(とも)されているとはいっても、ここは地下迷宮。


 通路の奥は闇に包まれ、何があるのか賢紀にはよくわからない。




 光点に向け、歩いていた(いっ)(こう)


 だが突然イースズが、皆の前に飛び出す。


 彼女は背負っていたスナイパーライフルを、立ち撃ちの姿勢で構えた。


 マシンゴーレム戦では賢紀も何度か使用している、狙撃砲〈リコー〉の人間用モデル。


 使用する銃弾は、7.62×54mm(ミリ)ケースレス弾。


 イースズはそれを、無言で闇の中へと発砲した。


 乾いた銃声が、皆の()(まく)を震わせる。




「ふーっ、仕留めたばい。あの顔を見ると、つい反射的に狙撃してしまうったいね」


 ひと仕事終えてサッパリしたという表情で、イースズはライフルを背中に戻す。




「何だったんだ? あの顔とか言われても、俺には全然見えなかったんだが……」


「あたし達エルフ女性……いや、この大陸のあらゆる女性の天敵、オークたい」




 オーク。




 ファンタジー系の物語では、定番の種族。


 (ぶた)(いのしし)を、掛け合わせたような姿の獣人。


 (おす)しか産まれず、他種族の(めす)(さら)って(はら)ませるしか繁殖の手段を持たないという設定の物語が多い。


 イースズの反応を見るに、この世界のオークも同じ生態なのだろう。




「それって、この階層のボスだったんじゃないのか?」




 ボス部屋に入るより前に、遠くから攻撃。




 そのような裏技を使ってくる挑戦者を、ダンジョン開発者である魔王は想定していなかったに違いない。




「詰めが甘いな、魔王。ちゃんとボス部屋には扉を用意して、閉じておく仕様にしておかないと」


 賢紀はまだ見ぬ魔王に、めんどくさいゲーマーみたいなダメ出しをするのだった。




 賢紀達のパーティがボス部屋に踏み込んだ時、すでにオークの死体はない。


 ポツリと残された魔石だけが、寂しげな輝きを放っていた。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 地下2階。




『魔物が群れで、襲ってきます。メンバーの少ないパーティは、無理をしないで下さい』




 またもや設置されていた、親切な(せき)()の案内板。


 確かに2~3体の群れで襲われることが多くなったが、魔物の顔ぶれは地下1階と変わらない。


 瞬殺して、奥へと進む賢紀達。


 地下1階よりも若干フロアが広がっていたが、あっという間に調べ尽くした。


 ボスはホブゴブリンという小鬼(ゴブリン)の上位種だったらしい。


 「らしい」というのも、賢紀は目視できなかった。


 またもやイースズが、遠くからライフルでズドンとやってしまったのだ。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 地下3階。


 ザコ敵に、オークが混ざり始めた。


 視界に入ると同時に、イースズがライフルで絶命させていく。


 ボスはお約束通り、イースズが瞬殺。




「今のボスは、どういう魔物だったんだ?」


「うーん、狼系のヤツ? よくわからんかった」






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 地下4~9階は、今までと同じようなパターンの繰り返しだった。




 だが地下10階では、若干の変化が現れる。




「おーっ! 今回はボス部屋の前に、扉があるわね」


「区切りのいい階ですし、特別なボスが配置されているのかもしれませんわ」




 賢紀達の前に立ち塞がるのは、重厚感(ただよ)う鉄の扉。


 奥に強敵の存在を、予感させる(たたず)まいだ。




「よし、ここは俺に任せろ。みんな、ちょっと下がっていてくれ」


 そう言って、小型無人マシンゴーレム〈トニー〉を出現させた賢紀。


 彼は〈トニー〉を操りながら、同時に強力な魔法を構築し始めた。




 〈トニー〉に、ちょっとだけ扉を開けさせた賢紀。


 その(すき)()から、ボス部屋の中に向けて、【ゴーレム使い】は爆炎魔法をぶっ放す。




「【エクスプロード】」




 素早く扉を閉める〈トニー〉。


 賢紀はすぐに障壁魔法を展開し、扉が吹き飛ばないように押さえ込む。




 大きな地響きが、()(おう)(りょう)を揺るがした。




「ケンキさん……。それはちょっと、ズルかと思うばい」


「イースズ。お前にだけは、言われたくない」






 賢紀はボス部屋の扉を開けた。




 焼け焦げた部屋の中央には、どういう魔物のものかも(さだ)かではない魔石が転がっていた。






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本作に頂いた、イラストやファンアートの置き場
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他の作者さんが書いた異世界ロボットものとのコラボ作品
スーパーなろうロボット小説大戦~天涯のアルヴァリス×解放のゴーレム使い~

本作のラスボスが、生まれ変わって主人公になる異世界転生自動車レースもの
ユグドラシルが呼んでいる~転生レーサーのリスタート~

世界樹や戦女神リースディースなど、本作と若干のリンクがある作品
【聖女はドラゴンスレイヤー】~回復魔法が弱いので教会を追放されましたが、冒険者として成り上がりますのでお構いなく。巨竜を素手でボコれる程度には、腕力に自信がありましてよ? 魔王の番として溺愛されます~

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