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【解放のゴーレム使い】~ロボはゴーレムに入りますか?~  作者: すぎモン/詩田門 文【聖ドラ改稿中】
第6章 魔族の国 魔国ディトナ編

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第92話 2人のバカ~機嫌が悪いのは何故か?~

 ゴーレム・ワゴンの外側には、幻想的でロマンチックな風景が広がっていた。




 淡い紫色の光を放ちながら、闇夜に浮かび上がるワインディングロード。


 「蛇神の道(サーペントロード)」という、名称ではある。


 だがその姿は蛇というより、さながら地上の(あま)(がわ)だ。


 女性だったら、思わずうっとりしてしまいそうなシチュエーション。


 現にライフウォールのゲートで配られているパンフレットにも、オススメデートスポットとして紹介されている。




 しかし、ゴーレム・ワゴンの中にいる女性陣の反応は(かんば)しくない。


 ハンドルを握るアディ・アーレイトだけは、淡々とした表情で車を走らせている。


 だが助手席のイースズ・フォウワードと後部座席のエリーゼ・エクシーズは、あからさまに機嫌が悪かった。


 夜間に輝くサーペントロードを、楽しみにしていたはずの彼女達の機嫌が悪いのは何故か?


 原因は後部座席の最後尾で話し込む、2人のマシンゴーレムバカにあった。




「なるほど。こっちの魔力回路の(ほう)が、だいぶ冷却効率が良くなりますね。こんなアイディアもあるのか……。俺は従来方式の進化型しか、考えていなかった」


「悪くはないのさ……お前の考え方も……。結局はTRY(トライ)ERROR(エラー)……。繰り返すしか、道はねえ……」


推力偏向(スラストベクタリング)反応速度(レスポンス)向上については、どうですか?」


「そうさ……こいつは……。ソフト面とハード面……。両方に残されているのさ……改善の余地が……。まずはノズル形状と材質を変えてみろ……。それからさ……OS術式を煮詰めるのは……。入力面は充分速い……。スピリット()アシステッド()インターフェース()……それがあるからさ……。誰かがそう教えてくれた……」


 立体映像投影の魔道具を間に挟み、(やす)(かわ)(けん)()の向かい側で話しているドワーフがいる。


 面倒臭い、独特な口調の男。




 レイン七兄弟の三男、コージー・レインだ。




 賢紀達の手により、大クラッシュしたスーパーカー・ゴーレムの(ざん)(がい)から救出されたコージー。


 驚いたことに、彼は軽い打撲と()り傷のみで済んでいた。


 (きょう)(じん)な肉体を持つ者が多いドワーフ族だというのを(こう)(りょ)しても、呆れるほどの頑丈さだ。


 コージーはヴォクサー社を(しゅっ)(ぽん)した(あと)、兄リッチーが開発した魔法(マジック)全身鎧(フルプレート)にスラスターユニットを取付け飛行させる技術を研究していた。


 魔力による推進器(スラスター)開発の(だい)(いち)(にん)(しゃ)が彼である。


 賢紀達は元々、魔国ディトナに来たらコージーを探し出す予定だった。


 新型マシンゴーレム用の推進器(スラスター)について、教えを()いたかったのだ。


 偶然出会ったのを幸いに、コージーを魔法都市イムサの自宅まで送って行くことになった。




 コージーとの会話が途切れた(いっ)(しゅん)(すき)を突き、エリーゼは賢紀に話しかける。


「ケンキ、(そと)()てる? すっごく()(れい)なのよ? 素敵でしょう?」


「ああ、綺麗だな」


 軽く(うなず)いた賢紀。


 だが彼はすぐに、映し出されているマシンゴーレムの立体映像へと視線を戻してしまう。


「はあ~、ケンキ。あなたが地球でモテなかったっていう理由、良くわかるわ。ヤマハさんと再会できても、フラれるわよ? 3000モジャ賭けてもいいわ」


(3000モジャとは、女王様にしては(ひか)えめな金額だな。……それにしても、何故に俺はディスられてるんだ?)


 モテない使徒、賢紀は苦悩した。


 しかしそれはほんの(わず)かな時間で、すぐにまたコージーとマシンゴーレムの話を始めてしまう。




「男という生き物がバカなのか、それともこの2人が特別バカなのか……」




 呆れ果てたエリーゼは窓枠に肘をつき、闇夜に輝くサーペントロードの鑑賞に集中することにした。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






「魔法都市イムサが、見えて来たば~い!」




 早朝の運転手を務めていたイースズの声に、仮眠を取っていた者達が起床する。


 ばっちり(かく)(せい)しているように見えて、実は相当寝ぼけていた賢紀。


 だが前方に姿を現した巨大都市を見て、さすがの彼も本当に目が覚めた。




 地球の高層ビル程の高さまで伸びる、色とりどりの建造物。


 見慣れた地球のビルとは違い、そのフォルムはまるで刀剣か槍のように(とが)っている。


 シャープな形状の建物がひしめき合う周囲を、ぐるりと1周する数本の道路。


 高い位置に建設されているそれは、地球の環状線を思い出させる。




 いま賢紀達が走行しているサーペントロードも、交通量が増えてきていた。


 すれ違う大多数は、馬型ゴーレムが引くゴーレム馬車。


 数は少ないが、車両型ゴーレムも走っている。


 リースディア帝国や、イーグニース共和国からの輸入品だろう。




「凄い都市だ……。魔国ディトナの文明は、かなり進んでいるみたいだな。だが、変だな? これだけの国なら、エンス大陸全土に進出していてもおかしくないと思うが?」


「ディトナは領土拡大に、無関心なの。魔族は人口が少ないし、いまの(しょう)()まみれの国土だけなら、他種族に侵攻される心配も少ないしね」


「なるほど。当代の魔王様は、平和主義というわけか……」


「ケンキ。魔王が治めるという君主制度は、()の時空魔王の代で終わっているのよ。それ以降ディトナの政治形態は、議会制民主主義になっているわ」




 あまり政治に関心が無い賢紀は、「ふ~ん、近代的だな~」くらいの感想しか持たなかった。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 コージーの自宅は、イムサの中心地から外れた住宅街にあった。


 家はそんなに大きくないが、車庫だけはやたらとデカい。


 コージーが木製のガレージドアを開けると、クラッシュしたものとは別のスーパーカー・ゴーレムが2台も停まっていた。




「コージーさんのゴーレム、ここに出しますよ」




 【ファクトリー】の中に回収していたスーパーカー・ゴーレムを、車庫の空いているスペースに出現させる賢紀。


 その情報を解析させてもらうお礼に、賢紀が理解できた部品は修復済みだ。




「コージーさん。もう、あぎゃんスピード出したらでけんばい」


「止まらねえのさ……。そうさ、俺のハートが()えやがる……。もっと、もっとスピードを寄越せってな……」




 詩的(ポエミー)で危険な発言をするコージーを見かねて、賢紀はひとつの提案をした。




「コージーさん、サーキットに行って下さい」


「サーキット……? 聞き慣れねえ言葉さ……」


「サーキットというのは俺のいた世界にあった、車両型ゴーレム競技専用の周回路で……。とにかく公道で飛ばすと危ないから、ないのなら自分で専用の施設を作ってそこで存分に走って下さい」


「考えたことも、なかったのさ……。競技専用の周回路……。これで警察からESCAPE(エスケープ)の日々とも、オサラバさ……」


「いっぺん捕まりなさい! まったく……。ドワーフ族がいくら頑丈だっていっても、あんなことを繰り返していたら、いつか死んじゃうわよ」


「頑丈といえば……。コージー様の服は耐瘴スーツではないようですけど、どういう瘴気対策をされているんですの?」


 アディの問いに対し、コージーは車庫から少し出て遠くの空を見つめながら答えた。




「瘴気に耐えるコツは、2つのK……。KIAI(気合)KONJOU(根性)さ……」


「要するに、()()(まん)ですのね」






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 賢紀とコージーは、夕方までマシンゴーレムやスーパーカー・ゴーレムについて語り尽くした。




「今日は泊まって行くといいさ……。ここがお前らの、魂のSAVE(セーブ) POINT(ポイント)……」




 などという、わけのわからないコージーの申し出を3人娘は(てい)(ちょう)にお断りした。


 ()(ごり)()しそうにしている賢紀の(えり)(くび)を引っ(つか)み、そそくさとコージー邸を(あと)にする。




「また来るぜ……コージーさん……。そうさ……魔王の魔石を、手に入れたらな……」


「ケンキ~。(しゃべ)(かた)、うつってるわよ~」


 ゴーレム・ワゴン後部の窓ガラス越しに手を振って、別れを惜しむ賢紀をたしなめるエリーゼ。




「泊まっていっても、良かったんじゃないのか? コージーさんの、せっかくの厚意を……。まだ、マシンゴーレムの話もしたかったし……」


「だ・か・ら・よ! ケンキはレイン七兄弟と(いっ)(しょ)にしとくと、いつまでもマシンゴーレムの話を続けるでしょう? 私達の最優先事項は、魔王の魔石の入手! 今夜泊る宿は決まっているし、それに……」


「それに?」




 エリーゼとイースズが、顔を見合わせてニヤリと(ほほ)()み合った。




「今夜泊る宿には、アレがあるとよね?」


「そうよ。私、楽しみにしてたんだから!」






 2人は手を取り合って、声を完璧にシンクロさせながら言った。




『お・ん・せ・ん・♪』






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本作に頂いた、イラストやファンアートの置き場
解ゴー FAギャラリー

他の作者さんが書いた異世界ロボットものとのコラボ作品
スーパーなろうロボット小説大戦~天涯のアルヴァリス×解放のゴーレム使い~

本作のラスボスが、生まれ変わって主人公になる異世界転生自動車レースもの
ユグドラシルが呼んでいる~転生レーサーのリスタート~

世界樹や戦女神リースディースなど、本作と若干のリンクがある作品
【聖女はドラゴンスレイヤー】~回復魔法が弱いので教会を追放されましたが、冒険者として成り上がりますのでお構いなく。巨竜を素手でボコれる程度には、腕力に自信がありましてよ? 魔王の番として溺愛されます~

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