表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
全てを捨てて消え去ろうとしたのですが…なぜか殿下に執着されています  作者: Karamimi


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/46

第29話:ワイアーム様の為に私が出来る事

「お兄様、今すぐ陛下と王妃殿下に、ワイアーム様との婚約を結び直したい旨を伝えて下さい」


「ああ、分かったよ。セーラ、ずっと隠していてごめんね。これで1つ心が軽くなったよ」


「これで1つ?その言い方だと、まだ私に隠し事をしている様に聞こえますが」


「そんなつもりはないよ。それじゃあ、僕はすぐに陛下や王妃殿下に伝えに行くよ」


 そう言うと、足早にお兄様が部屋から出て行った。お兄様を見送ると、早速使用人から受け取ったぬれタオルで、ワイアーム様の顔を拭いた。


「あなたはずっと、ワイアーム様の傍にいたのでしょう?お願いします、どうかもっと私に、詳しく話を聞かせて下さい。ワイアーム様がどんな気持ちで龍の力を使い、どれほどの苦しみを味わっていたのか」


「承知いたしました…」


 その後執事が、ワイアーム様について色々と話してくれた。私の為に、本当に色々と尽くしてくれていた様だ。お父様が殺されたとき、お父様を守れなかった事を相当悔やんでいたらしい。


 そして私が身投げをした事を知ると、それこそ狂ったように龍の力を酷使し続けた。それこそ、何度も吐血しながら…その結果があの断罪劇だった様だ。既に立っているのもやっとの状態のワイアーム様だったが、クレイジー公爵とレイリス様の刑執行にも立ち会ったらしい。


 そして私に対する噂を流した令嬢たちを、自らの手で裁いたとの事。全てが終わった事で、やっと私を迎え入れられる、私を悲しませたぶん、一生をかけて償っていこう。そう考えていたらしい。


 でも、ワイアーム様の容態は予想以上に悪かった様だ。


「殿下はセーラ様の事になると、我を忘れてしまうのです。その結果がこれです。これも龍の血を色濃く受け継ぐ者の、定めなのかもしれませんね」


 そう言うと、悲しそうに笑った執事。彼の話を聞き、増々涙が止まらない。でも…


 スッと涙を拭いた。


 もしワイアーム様が目覚めた時、私が泣いていたらきっと、ワイアーム様は傷つくだろう。だからこそ、泣いていてはダメだ。彼が目覚めた時、安心してもらえる様に。


「ワイアーム様の事を色々と教えてくださり、ありがとうございました。あの…明日から王宮に通ってもよろしいでしょうか?ワイアーム様の傍に、いたいのです」


「もちろんですよ。あなた様は殿下が唯一愛したお方。好きなだけ殿下の傍にいてあげてください」


「ありがとうございます。ワイアーム様、あなた様を1人で戦わせてごめんなさい。これからはずっと私が傍にいますわ。だからどうか、早く元気になってくださいね」


 その後私は、再びお兄様に呼び出され、陛下や王妃殿下が見守る中、婚約届にサインをした。既に王族の方たちのサインは済んでいた為、正式に私たちは婚約者同士に戻った。


 明日には貴族たちに、一斉報告されるとの事。まさかこんな形で、再び婚約を結び直すだなんて思わなかったわ。


 ただ、今度こそワイアーム様と幸せになりたい。いいえ…今度は私の手で、ワイアーム様を幸せにしたい。そんな思いを胸に、この日は家路についた。


 翌日

「セーラ、早速今日から王宮に通うのかい?」


「ええ、もちろんですわ。ワイアーム様の容態も気になりますし。お兄様、社交界に復帰する話ですが、ワイアーム様の容態が安定するまで、保留にして頂けますか?ワイアーム様が元気になられたら、2人で社交の場に参加したいのです」


「ああ、もちろんだよ。セーラにとって最近の社交界は、良い思い出がないだろう。中には好奇な目で見る愚か者もいるかもしれない。君が好きなタイミングで、戻ったらいいよ」


「ありがとうございます、お兄様」


 確かに最近の社交界には、よい思いではない。でも、これからはワイアーム様と一緒に、良い思い出に塗り替えていきたいと考えている。その為にも、ワイアーム様には、早く元気になってもらわないと。


 そんな思いで、王宮へと向かった。王宮に着くと、なぜか王妃殿下が迎えてくれたのだ。


「セーラちゃん、おはよう。随分と早いのね」


「おはようございます、王妃殿下。ワイアーム様はお目覚めになられましたか?」


「それが、まだ目覚めていないの。でも、心配しないで。ついこの前も、半月程度眠いっていたから。またすぐに目覚めるでしょう」


 少し悲しそうに笑った王妃殿下。きっと息子が心配なのだろう。


「王妃殿下、ワイアーム様は私の為に、龍の力を酷使したとお伺いしました。私のせいで、ワイアーム様は…」


「セーラちゃんのせいではないわ!悪いのはクレイジー元公爵とレイリス嬢よ。だから気にしないで。セーラちゃん、ワイアームの傍にいる事を選んでくれて、ありがとう。きっとセーラちゃんが傍にいてくれたら、すぐに元気になるわ。あの子はそういう子だから」


「ワイアーム様が元気になってくれる様に、頑張りますわ。それでは、私はこれで失礼いたします」


 王妃殿下に頭を下げ、急ぎ足でワイアーム様の部屋へと向かったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ