海といろいろ(7)
続きです。
ジリジリと日差しが照りつける。
太陽が位置するのは高い空の天辺。
座っている砂もすっかり乾き、熱を蓄え始めている。
「暑いわね......」
「暑いね......」
「暑いニャ」
水着もその水分を失い最早普通の服同然だ。それは言い過ぎだとして、けれども暑いには変わりない。
私の体を冷やしてくれるものはもうここにはないのだ。
そうなると、自然視線は海へ向かう。涼しそうだ。
「海、入りたくない?」
「入りたいわね」
「ボクはパスニャ。猫は水嫌いだし、ぬいぐるみはたぶん濡れない方がいい代物だし......」
最早猫でもぬいぐるみでもないゴローが言う。てか最初からゴローには聞いてない。
「てゆーか寄生虫って海水魚とかに居るイメージなんだけど。ゴロー海大丈夫なんじゃない?」
「あれ、その誤解まだ続いてたのかニャ......」
退屈に痺れを切らして立ち上がる。
腰を鳴らして、お尻の砂を払った。
その尻にさくらの手が伸びる。
さくらの指先は私の水着を掴み、少し引っ張った。
「な、何?指は言ってんですけど......」
「誰もあんたの生尻なんか興味ないわよ。ただ......」
ずっと海の方を向いていたさくらがゆっくりこっちを向く。
とても、悪い顔をしていた。
「ただ、あんた一人で海に行かせはしないわよ」
「えぇ」
もちろん海に行くつもりだったがそうもいかないみたいだ。
この場所に誰か他の人が戻って来ない以上、私はどこへも行けない。
再び腰を下ろす。
さくらの指は手際良く水着から抜かれ、私の体重の餌食になることはなかった。
「ちなみに、さくらが私を残して海に行くパターンはありますか......?」
「さぁね」
言葉を濁す。
今は立ち上がる様子がないが、いつ行ってもおかしくない態度だ。
念のためと、水着を掴まえるイメージトレーニングをしておく。
ひらひらしてるから掴みやすそうだ。
再び退屈の渦中に引きずり込まれたので、さくらの後ろを四つん這いしてクーラーボックスに向かう。
「どこに行くつもりかしら......?」
「逃やしないよ......」
さくらに睨まれながらクーラーボックスの蓋に手をかける。
その蓋を開けて、中身を覗いた。
「あっ、アイス。食べていいのかな」
一応人数分あるが、味はバラバラだ。勝手に食べたらダメだろう。みこちゃんのお母さんは保護者特権ということで目をつぶる。
「......他には」
袋詰めの氷と一緒に、先程のアイスといくつかの飲み物、それと一玉のスイカが入っていた。
さくらとゴローも中身を覗く。
私たちの影の下で冷気が踊った。
「これ、割るやつかな......?」
「割るやつね......」
棒を持ってきている様子はなかったが、刃物もないので十中八九スイカ割りだろう。スイカを割る棒は現地調達か。この先のイベントのネタバレを食らってしまい、クーラーボックスを開けたことを少し後悔した。
「ほんとに海水浴でスイカ割りやろうとしてる人初めて見たニャ」
続きます。




