Invisible one (3)
続きです。
放課後。
みんなで私の席に集まっていた。
さくらは私の前の席、みこちゃんも隣だけど、どらこちゃんはそのみこちゃんを挟んで向こう側の席なので今はみこちゃんの前の席の机に座っている。
「葉月るーぺ。彼女は出席確認の点呼すらされてなかったわ。でも......」
そう言ってさくらが出席簿を広げる。
「不思議なことに出席したことになってる」
正直出席簿の見方がよく分からなかったのだが、たぶんそういうことが書いてあるのだろう。
「あと給食の時もそうだった」
そう話を切り出すのはどらこちゃんだ。
「席をくっつけるとき、誰も何も疑問に思わないで空席を動かしてたぞ。そのグループは空席のことなんて知らないみたいに普通に食ってる。ありゃちょっと気味が悪いくらいだったよ」
「......と言うか実際にみんな知らないんですよ。私たちみたいに空席に気づいてないんです」
「そうだね......」
みこちゃんに軽く同意して考え込む。
なかなか奇妙な能力だ。
「なんか座敷童みたいニャ。一人多くても気づかない。その逆で一人少なくても誰もそれに気づけない」
「ちょっとやめてよ!それ妖怪でしょ......。そういうのちょっと苦手なんだから」
言われてから、空席の方を見ようとしたが、いやに不気味に感じて視線を戻した。
「別に妖怪ってわけじゃないし、なんならいい奴じゃなかったかしら......?」
「でも怖いもんは怖いの!」
さくらの言うことが本当でも、とても許容出来そうになかった。
ゴローが机の中央に座り、妖怪に逸れた話の筋道を矯正する。
「ともかくニャ!相手は超能力者ニャ。だとすればもちろん戦うことを考えなくちゃならないニャ!相手の能力の本質と、そして今本人がどこに居るのか知る必要があるニャ!」
今まで能力の引き起こす奇妙な現象にばかり目を向けていたが、ゴローの発言で当然の疑問点にぶつかる。
超能力者その本人、つまりは葉月さんがどこに居るのか。また何が狙いで、存在を隠しているのか。
「あれ?意外と分かんないことばっか?」
「まぁ仕方ないわよ。居ないことに気づいてなかったんだもの。向こう様が行動をとるまでに気づけたのは不幸中の幸いね」
「なんか頭良さそうなこと言ってる......」
さくらの椅子が軋む。
「問題はこれからどうするかね」
どらこちゃんが机から飛び降りる。
雑音の少ない教室内に軽い着地音が響く。
「なんかよく分かんねーけど......とりあえず葉月ってやつ、家行けばいるんじゃね?」
「そ、そうですよ!流石に家族にまでこんなことしてるわけないですよ!」
みこちゃんも、鼻息荒く同意する。
「あぁ......そりゃそうか」
「まぁ妥当ね」
やってることがあまりにも不可解なことだから、相手も小学生であるという部分が頭から知らぬ間に抜け落ちてしまっていた。
窓の外からひぐらしの声が風に乗って流れてくる。
「じゃ、明日......行ってみようか。みんなで」
心細いという理由だけで、みんなも巻き込む。
けれども、みんな悪い気はしてないみたいだった。
続きます。




