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ランチタイム(27)
続きです。
会話が続かない。
というより始まらない。
こういう状況に慣れていなさすぎて、あたしには適切な言葉が思いつかなかった。
みこの方からひとりでに口を開いてくれたらと思うが、それは甘えでしかないだろう。
この際あたしとの関係はどうなってもいいとは言ったが、かと言ってどうすればみこの言葉が得られるだろうか。
それなりの年月を生きてきて、その間にそれなりに多くの人に出会って言葉を交わしてきた。
そこに何ら苦悩などなくて、しかしどうしてかみこの前だといつものように振る舞おうとしても無駄な思考が発生する。
自分が普段どうしていたかが思い出せなくなる。
気まずい沈黙の中、一瞬みこの方を見る。
それとなく視線が合ってしまって、お互いになんとも言えない空気に耐えかねて目を逸らした。
何かを誤魔化すみたいに後頭部を掻く。
痒いわけでもないのでやめ時が分からなくって・・・・・・そして結局やめた。
「・・・・・・」
何か言おうと口を開くが、途端に声を出すのが躊躇われて、吐きかけた息を飲み込む。
それから結局拉致があかなくなって、聞き出すというよりも聞かせるつもりでぽつぽつ語り出した。
その言葉に意味があるとも思えないが、しかしあたしの声は自然な形で喉から滑り出すのだった。
続きます。




