きらきら・ウォーゲーム(6)
続きです。
光の過ぎ去った後、残ったのはデタラメに抉れた大地だった。
クレーターのようなものがいくつも刻まれ、ビルにも穴が開き、崩れる。
しかし私たちは誰一人欠けることは無い。
運が良かっただとか、そういうことではない。
これはある種の加護だ。
「何故だ! 何故・・・・・・!」
ユノの声が空に轟く。
それは怒りのようでも、焦りのようでもある。
それに答えるのはみこちゃんだった。
「あなたは私たちに敵いません。あなたが相手をしているのは、正確には私たち四人だけじゃない。あなたが沢山の願いや歪みを取り込んだように、私たちにも多くの思いが集まっています。きららちゃんを中心に」
「そんなことは分かっている! しかしそんなくだらないもの、何になるというんだ! そんな無価値なものをいくら寄せ集めたとて、力になりはしない!」
「その価値が、その強さがわからないようだから、あなたは勝てないんですよ」
みこちゃんの言葉の刃は容赦がない。
纏った鎧の隙間にそれを滑り込ませ、そしてユノを呼び出そうとしているのだ。
どれだけ厳しい言葉でも、辛い現実でも、それが今ユノには必要。
それがみこちゃんには分かっているのだ。
「ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな!」
ユノが錯乱して叫ぶ。
その抑えきれないものがユノの意識を離れ暴発し、辺りに水晶や力をばら撒いた。
エネルギーがそのまま降り注ぎ、世界を焼く。
「もう時間が無さそうだな」
どらこちゃんはその状況を冷静に観察していた。
この場所も、ユノ自身も、きっとそう長くはもたない。
完全に怪物に飲まれ、この街は水底へと沈んでしまうだろう。
このままでは。
「きららちゃん」
「ん・・・・・・?」
みこちゃんに名前を呼ばれる。
振り向くと、こちらに駆け寄って来た。
「私気づいたんです」
「気づいたって、何に・・・・・・?」
首を傾げ、その返事を待つ。
それにみこちゃんはゆっくり頷いた。
「それは、私の力の本質です」
「力の・・・・・・本質・・・・・・」
太陽が、私たちを照らす。
月の影がユノを覆う。
その間にも、世界は壊れてゆく。
「私の力の本質、それは・・・・・・」
みこちゃんが私の胸に手を触れる。
私の鼓動に手を伸ばす。
その手のひらから流れ込むのは、大きな感情の流れ。
最初から感じていたものだったけど、それがより確かに私の魂と震える。
「感じますか・・・・・・?」
みこちゃんは私を見て笑い、そしてどらこちゃんとさくらたちもみこちゃんの手のひらに手を重ねた。
三人分の体温を、血流を感じる。
生命、鼓動、その意思。
それらは重なり合って、より大きなものになる。
「私の力の本質は、共鳴。心を通わせて、一つになる。そしたらその波紋は大きくなって、ただの四人を越える」
三人が頷く。
それに私も頷いた。
「うん、知ってる。ずっと感じてる。ずっと、ずっとみんな一緒にいた」
思いが共鳴する。
波紋が重なる。
私の心臓が血液を押し出す度に、熱いものを感じる。
「私たちの思い、きららちゃんに預けますね」
目を閉じる。
私の名前を呼ぶ、沢山の声。
それに今、応えるのだ。
災害が降り注ぐなか、みんなに背を向ける。
再びユノと対峙する。
ユノは視線だけで私を睨むようにしていた。
「ユノ、今行くから」
助けを求める声があるなら、私はそこに手を差し伸べる。
一歩踏み出せば、後は勝手についてくる。
みんなの思い、支えを背負って未来に続く道を行く。
気がつけば走っていた。
警戒なリズムで、まっすぐな足取りで。
走る私に、追随する三つの光。
それはみんなの禁忌武装だ。
その光たちはあるべき場所に帰るように、私の剣に吸い付く。
光そのものとなって、刀身と一体となる。
ユノの妨害を掻い潜り、その光を引っ張っていく。
加速した私の足は、ユノを目指して空に伸びた。
再びユノは光の粒子をばら撒く。
それを避けようとはせずに、こちらからも突っ込んでいく。
そしてそれらを振り払うように、光の刀身を水平に薙いだ。
瞬間、光の粒子が爆発する。
私に届く前に、私の刀身に切り払われる。
その瞬間に、完成する。
みんなの思いと力を背負った大剣が。
帯びていた光は払われ、その刀身が露わになる。
私の背より大きい、全てが私のために交わった大剣。
私の剣に、三人の禁忌武装。
それら全てが合体したのだ。
三つの力は混ざり合い、そのどれとも違う力を発揮する。
「「バカにするのも、いい加減にしろ!」」
私とユノの言葉が重なる。
直線の、突進。
それが正面衝突する。
質量の差を無視して、力は拮抗する。
衝突の瞬間、強風が吹き抜ける。
「どう? 重いでしょ」
これが、ユノがバカにしたものの重さだよ。
ここからが本番だ。
救ってみせる。
みんな・・・・・・みんなだ。
誰一人失わせはしない。
続きます。




