be forever (19)
続きです。
「いいかげん分かりなよ、私は足手まとい。迷惑でしかないんだよ。だからでしゃばらないで」
背後から語りかけるその口調は、到底私のものとは思えない。
しかしその声は紛れもなく、私。
「やめてよ・・・・・・」
そんなこと、今言われても・・・・・・。
きららちゃんを助けたくて、でもそれが出来なくて、自分の無力さは分かってたはずなのに。
だからたくさん努力して、覚悟を決めたあの日から精一杯みんなについて行って・・・・・・。
「だから! それが邪魔だって言ってるの! 分かる? あなたは普通・・・・・・平凡で、だからどうしても追いつけない。アンチェインドだかなんだか知らないけど、あなたの思うままにその力が使えたためしがあった? この・・・・・・無能」
「違う・・・・・・私は・・・・・・」
「違くない! だったら助けてみなよ、きららちゃんを! ・・・・・・ねぇ、出来ないよね、ねぇ!」
私を押しつぶしてしまいそうなその声に耳を塞ぐ。
強く瞑った瞼の裏で、今までの出来事がぐるぐるしていた。
「ねぇ、ほら・・・・・・もうさ、ダメなんだよ、あなた。本当に・・・・・・かわいそう」
「かわいそうな私。そうでしょ? ね、だから耳塞いでるんだもんね。そうやって泣いてるんだもんね」
「ねぇ、何か言いなよ。言いなって、ねぇ」
私の声はうるさく鳴り響き続ける。
私に考える隙を与えず、言葉を挟む隙を与えず、喋り続ける。
弱い私。
足りない私。
いつもそう。
いつだってそう。
みんなのために力を尽くしても、私はいつも後ろに居る。
結局最初と何も変わってない。
私は救われる人で、救う人にはなれない。
「違うでしょ。みんなのためじゃない。あなた自身のため、一人ぼっちにならないため。言い訳しないで」
「・・・・・・」
何かを言おうにも、喉に詰まって声が出ない。
正常な呼吸が出来ているかも分からない。
私は耳を塞いで、地面だけを見つめて、何も聞かず、何も見ず・・・・・・ただそうやってうずくまる。
私が流している涙は、誰のために流れているのだろう。
「かわいそうかわいそうかわいそう・・・・・・最低だよ、今のあなた。悲しいね、辛いね、苦しいね。覚悟って何だったの?」
「・・・・・・」
「ずっとだんまり。私はいじめっ子じゃないんだよ・・・・・・私はあなた自身、あなたが思ってないことを私は思わない。あなたはこの場所で・・・・・・少し大人にならなくちゃならない。どういう形であれ、ね」
その言葉に耳を貸さないように努める。
そうすればそうするほど、その言葉は鮮明に焼きついた。
知ってる。
背後の私が言ってることが本当だと知ってるから、だから苦しいのだ。
そしてそうやって投げかけられた現実に、こうして耳を塞ぐしか出来ないのは・・・・・・私の言う通り、すごく子どもだ。
私は、こんな思いをしている私がかわいそうで泣いているのだ。
「・・・・・・。少し分かってきたみたいだね。時間はいくらでもある。どうせあなたがここから抜け出しても、きららちゃんは助けられないし・・・・・・制限時間は無い。どうするべきだろうね・・・・・・ねぇ、私?」
「やだ」
「・・・・・・ぐずってないでよ。出来ないものは出来ないの。高望みしないで、わがまま言わないで。諦めなよ、大人になりなよ」
「やだ、やだ・・・・・・」
「どうしてお母さんがあなたを止めたか分かる? お母さんはあなたのことをよく分かってた。こんなこと無理だって。でもその制止を振り切って、それでこの有り様。かっこわる」
いやだ。
今はそれしか無い。
そんなこと言わないで欲しい。
今まで周りの人がどれだけ優しかったか、それを強く感じる。
こんな私をそばに居させてくれて・・・・・・そしてそれだけ邪魔をしてきてしまったのだ。
分かってた、みんなとは違うって。
一緒に話してるときも、我が物顔でその場に居座ってる私自身が、いつも嫌だった。
いちゃいけない場所に居て、けどみんながそれを許してくれるから甘えてしまったのだ。
でも、じゃあ・・・・・・。
「どうしたらいいの・・・・・・」
「それを私に聞いているようじゃダメだよ。そんなんだから・・・・・・」
後ろの私に言ったわけじゃない。
答えを求めた問いじゃなくて、ただこの状態を嘆いたのだ。
そう・・・・・・それは、私がかわいそうだから。
「ひどい」
私は、ひどい。
いつも無知な顔を晒して、貰うだけ貰って・・・・・・。
私自身の声が、ひしゃげた心に響く。
壊れかけの、情け無い音だった。
続きます。




