be forever (9)
続きです。
壊れた空を見上げる。
ほんとに、酷い有様だ。
その空には、まるでナスカの地上絵のハチドリの翼のような・・・・・・うろ覚えだけど、そんな形の図形的な翼が光っていた。
ユノ。
これで名実共に救世主というわけだ。
ただ、だとしたら・・・・・・。
「これが救世主のやることかよ・・・・・・」
焼けて、そして水晶に蝕まれた街を見る。
ユノ自身は救世主と呼ばれるのを嫌うが、結局目指しているものはそれに他ならなかった。
それが街を壊してまで求めた、彼女の願いなのだ。
バルスと少年は退避させた。
それと同時に、水晶に閉じ込められた人々も帳で転送しておいた。
だが、その水晶はこの崩壊した地に繋ぎ止められているようで、街中に放り出しておくしかない。
よほどのことがない限り壊れそうもないので、その点は安心だろう。
この人々を無事に帰すには、ユノを倒すほか無い。
そのための準備もある。
これらの備えを全てユノに注ぎ込むために、ミラクル戦での支援は出来なかった。
その犠牲は大きい。
きらら。
まぁあまり賢くはないかもしれないが、それでも素直で、優しい子だった。
今は水晶の中で時間が止まっているようだが、その命を僕が救えるか正直分からない。
まさかこうなるとは考えもしなかった。
ユノはその境界を理解していて、絶対に超えてこない、そう思っていたのだ。
・・・・・・こうなってくると僕も賢くはないのかもしれない。
ユノは僕が待っていると理解したのか、ゆっくりと降りてくる。
その圧力を、肌に感じる。
冷たい汗が背中を流れ、吸った空気はまるでセメントのように重く気道に流れ込む。
空気で窒息するような気分だ。
だが萎縮してはならない。
相手は神でも救世主でも天使でもない。
どれだけ超常的な力を振るおうと、ひとりの人間でしかない。
さっきだってバルスたちを逃すことが出来た。
バルスから借り受けたキ石は、今は僕の眼窩にはまっている。
その力で帳を開いたが、それはユノにとっても想定外だったのだろう。
こういう風に、ことごとく試みが失敗に終わっているわけじゃない。
数十体のロボットに、そしてずっと前から仕込んでおいた傑作を携えて、ユノを迎える。
ユノの到来まで、もう時間が無い。
やるしかない。
やってやるんだ。
「ミラクル・・・・・・君は、どうするんだい・・・・・・?」
顔は見ずに、問いかけだけを投げる。
黙って俯いているミラクル。
アイドルが見せていい姿じゃない。
「・・・・・・」
ミラクルは答えない。
いや・・・・・・すぐに答えられるはずもない。
「君は・・・・・・君は、街の方に行っているといい。ここはもう・・・・・・まぁ君にはよくないだろう」
「・・・・・・うん」
僕の言葉に、ミラクルは素直に頷く。
彼女も、結局ユノに利用されていた人物の一人。
もっともユノにその自覚はないようだが、しかしユノは常に寄り添っていた友まで裏切ってしまった。
ミラクルは雷鳴と共に姿を消す。
静電気を残して、このステージの上から立ち去った。
これで全ての準備が整った。
目を閉じる。
瞼の裏の暗闇に、声を聞く。
「スバル」
鼓膜に冷たく張り付く、ユノの声だった。
続きます。




