be forever (6)
続きです。
「お取り込み中のところ悪いね」
何やら仲良くお話し中のようだが、構わず話しかける。
僕を覆った結晶を、内側からシールドで破壊して脱出する。
後少し判断が遅ければ再起不能だっただろう。
「何・・・・・・?」
ユノが苛立った様子でこちらに振り向く。
僕はお邪魔なようだ。
だけど怒りたいのは僕の方だ。
「全く・・・・・・ちゃんと約束は守ってくれないと困るよ。こうして君たちのために、この場所にきららたちを連れて来てやったじゃないか。約束通りなら僕の身の安全は保証されるはずなんだけど・・・・・・?」
「・・・・・・忘れていたよ。でも結果的には君は無事だ。ならもういいだろう?」
「よく言うよ・・・・・・」
あまりの白々しさに、呆れて頭を掻く。
何から何までお見通しで、そしてあわよくば・・・・・・ということだ。
ずっと前にした、ユノとの約束。
それはきららをこの舞台に招くことだった。
そうすれば僕とバルスは無事ユノとの関係を断ち、そしてユノは必要なものを全て揃えることが出来る。
僕ら自身からすれば、それは完璧で理にかなったものだ。
その後はユノが何をしようと知ったこっちゃない。
「しかし・・・・・・また随分派手にやったね・・・・・・。こりゃどうなってるんだか・・・・・・」
すぐ図上に浮かぶ月。
少しずつ月は地球かは離れてるという話だったが、今はすぐ近くだ。
普通の旅客機で月に行けるんじゃないだろうか、どう着陸するかは置いといて。
その月に刻まれた傷。
あれが一人の人間に一瞬でつけられたものだなんて、実際に見てなきゃとても信じられない。
超能力という事象に理解があってもだ。
ステージの上は観客やきららとその仲間たちを閉じ込めた水晶で固められてる。
特に観客たちの水晶なんて、位置が近いものだからほとんど一塊になってしまっている。
その水晶に手を触れてみる。
手のひらを伝わる冷たい感触。
流石の僕でも触れただけじゃ大したことは分からない。
振り返ればまるで世界の終わりみたいな街並みが広がっている。
とんでもない、大災害だ。
ただ、まぁ命を落とした者は居ないのだろう。
水晶に閉じ込められただけだ。
きららもまだ生きてる内に閉じ込められたから、きっとその瞬間で時間が止まっているのだろう。
「・・・・・・もっとも、閉じ込められただけなんて言えるのは、脱出した僕だけか」
少しおかしくなって笑う。
そんな僕を見て、ユノは不機嫌そうだ。
あるいはミラクルと揉めているのを見たからかもしれない。
何はともあれ、約束は約束だ。
いかに不機嫌だろうとも帰してもらう。
きららを手にした今、わざわざ贄を集めるようなこともしないだろう。
「あ、そうだ・・・・・・」
きららの名から、少し思い出す。
それは少し前の僕のことだ。
「ずっと君が、なんできららにこだわるのか分からなかった。けど・・・・・・今ならなんとなく分かるよ。彼女にも特別なものを感じる。アンチェインドとは別質の・・・・・・まぁその正体は掴めないが、確かに何かある。君の目は確かだよ」
前は「あんな普通のやつにこだわって、バカなんじゃないか?」とか思ってたということは伏せておく。
きららが特別だと認めた後じゃ、僕自身にバカと言うことにしかならないし。
ともかく、これで僕は最後の約束を果たし、ユノはその悲願を達成した。
まぁユノに関しては今この瞬間、少し失ったみたいだが・・・・・・。
仕事が終われば、訪れるのは休暇。
何をしようと僕の自由だ。
散々こき使われてた間に、試したいアイデアはいくつも湧いていた。
作りたいものが沢山ある。
あと、ミラクルのアイドル活動にもう少し力を入れたい気持ちもあった。
例えユノとは違う道を歩もうと、彼女はもう既にアイドルなのだから。
アリスは・・・・・・まぁこの様子じゃ、無理か・・・・・・。
この水晶がこれからどうなるんだか、正直僕にも分からない。
ユノもミラクルも、何も言葉を交わさない。
喧嘩をするには、少し遅すぎたというわけだ。
いくら心の通じた仲間でも、必ずしも見てる理想が同じとは限らない。
今この瞬間見えている景色が同じとも、限らない。
こういうことが無いから、やっぱり機械はいい。
「この惨状については・・・・・・後で適当に誤魔化しておくさ。アンキラサウルスが襲来したけど、君らが撃退しました・・・・・・とか、そんな感じの適当なシナリオで」
そうすればミラクルの背負う話題性も大きくなる。
アイドルな上にヒーローだ。
「それじゃ・・・・・・」
いつまでも居ると、何をされるか分かったもんじゃない。
早々とこの場所を立ち去ろうと、二人に背を向けた。
続きます。




