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きらきら・ウォーゲーム  作者: 空空 空
きらきら・ウォーゲーム
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ミラクルステージ(18)

続きです。

 これでミラクルの言った通り仕切り直しになってしまう。

いや、こっちはアリスがほぼ戦力外になってしまっていることを考えると、むしろ後退だ。

おまけに相手の結束力まで増している。


 観客たちはより強固な壁となり、それをミラクルの声援が支える。

音楽と共に迸る電流、それが彼らに力を与える。


「くっそ・・・・・・ちょっとどうにかなんないかね、これ・・・・・・」


 さくらの蔓は既に彼らに届かないようだ。

彼らはミラクルを守り、ミラクルは彼らを守る。


 守りは完璧。

ここに相手の攻撃が割り込む余地があるなら、正直かなり厳しい状況だろう。

例えば・・・・・・。


「気をつけろ! まーたロボどもが動き出してるよ・・・・・・」


 もはや手加減なしに炎を撒き散らしているどらこちゃんが嘆く。

赤熱した拳で殴り飛ばされた人は、しかし無事に再び立ち上がって来るのだった。


「大丈夫! 砲弾ならまた軌道を変えられる。二人はなんとかこの壁を越える方法を・・・・・・!」


 密度を増した観客たちは、もはやミラクルのただの防御壁ではない。

ミラクルの加護で能力への耐性を獲得し、その身体能力を向上させている。

数十人も居れば、私たちの阻止は容易い。


 そのため、陣形も以前とは組み変わっている。

ただミラクルの前に立ちはだかる壁は、今や私たちを包囲していた。


「また一点突破か・・・・・・いや、その前に・・・・・・!」


 その前にまだ対処しなければならないことがある。


 鳴り響く爆発音。

それは砲弾が撃ち出されたことを意味する。


 ミラクルを相手にするというのは、一人を相手にすることとは全く異なるのだ。

沢山の仲間を連れ、数々の機甲まで使役する。

それを難なくやってのける。


「くそ・・・・・・っ」


 空に手を伸ばす。

見上げた空に動く影。

砲弾だ。


 さっきと同じこと、一つでも軌道を逸らせれば十分。

なのに・・・・・・。


「させるかぁ!!」


「うわっ・・・・・・!?」


 観客たちが能動的に仕掛けて来る。

空に伸ばした手は、いつの間にか地を押さえていた。


「この・・・・・・子どもに向かって大人げない!」


 覆い被さってきたのは二人。

その程度の人数なら対処しきれないことはない。

しかし、彼らは彼らの目的を成し遂げる。


「やば・・・・・・!」


 二人を振り払って空を見上げたときにはもう遅い。

ピンク色の球体は、既にすぐ頭上にやって来ていた。


「きらら!」


 さくらが叫ぶ。

が、それも爆発音にかき消されてしまう。


 直撃、だ。

体がステージをバウンドする。

吹き飛ばされた体は、ピンク色の煙幕を勝手に飛び出し、けれどもそれを見つけた人は包囲網を抜け出すのを許さなかった。


「ふふ・・・・・・君たちは完全に包囲されているのですよ」


 地面にべちゃっと叩きつけられた私に、インテリ風味の痩せメガネが手を伸ばして笑う。

その手を取って、起き上がるのと一緒にそいつを地面に投げ飛ばした。


「ちっくしょう・・・・・・でも、その通りなんだよな・・・・・・」


 さくらとどらこちゃんは煙幕の中。

アリスは殴り込みに行っては返り討ちにあってる。

そして煙幕の外側に居る私もまた・・・・・・包囲の内側。


 と、そこに機械を通した声が響き渡る。


「そう、その通りです! みなさんは完全に包囲されています!」


 その声はみこちゃんのものだった。

そういえばずっと降りてきていなかったが、一体何をしていたというのか・・・・・・。


「間に合いました! あ、いや・・・・・・間に合ってないかもしれないですけど・・・・・・とにかく、みなさんに既に逃げ場はありません! 下手に動かない方がいいですよぉ・・・・・・!」


 ゴローの腕に座るみこちゃんが、観客に向けて警告する。

空には隠されていた無数のビットがその姿を現していくのだから、突然の言葉でもその意味を理解出来ない者は居ない。


「し、しかし・・・・・・! 今の俺たちにはミラクルちゃんの力がついてる!」


「そうよ! この無敵の加護があるかぎり・・・・・・!」


 理解した上で、それでも抵抗の意思を貫く。

この人たちを助けにきたんだけどな、私たち。


「分かってますとも! その上で言ってるんです! こいつは・・・・・・痛いですよ?」


 みこちゃんは、ふふっと不敵に笑う。

その底を感じさせない笑い声に、観客たちは少し自信を失ったようだった。


 しかし彼らはそれでも尚己が信じたものを信じ続ける。


「撃ってみればいい! ミラクルちゃんが僕らにくれた思いはそんなものじゃ砕けない!」


 覚悟を決めた顔をしている。

そしてその返答を受けたみこちゃんも、もはや容赦しない。


「分かりました。それじゃあ・・・・・・せいぜい耐えてみてください!」


 空をビットの光が埋め尽くす。

その真昼の星は煙幕を貫いて、幾筋もの流星となって降り注ぐ。

なんなら私たちにもちょっと当たってる気がする。


 海上に無数の線を引いて、その威力で煙幕を晴らしてしまう。

アリスの安否が心配なくらいの規模だった。

これなら準備に時間がかかったのも頷ける。


 観客たちは次々と撃ち抜かれ、私たちも危なくて動けない。

ただ一つ、ミラクル本人のシールドだけは割れないでいた。


 やがて光の雨が止む。

立っている人間は、私たちの他にはミラクルだけだ。

アリスものびてる。


「あ・・・・・・峰打ちですから安心してください!」


 確かに命は奪っていないが、しかしこう・・・・・・あんまり沢山の人が倒れていると、何事かと思わずにはいられない。

とりあえず・・・・・・。


「だから・・・・・・峰ってどこさ・・・・・・」

続きます。

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