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きらきら・ウォーゲーム  作者: 空空 空
きらきら・ウォーゲーム
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ミラクルステージ(17)

続きです。

 洗脳が解けて硬直していた観客たちが、どよどよとざわめき出す。

無意識なのか分からないが、ミラクルはその光景から目を逸らすようにしていた。


「あれ・・・・・・俺たち・・・・・・?」


「なんでステージに・・・・・・」


「ちょっとこれ、やばいんじゃない?」


 観客たちは酔いが覚めたかのように、途端にこの状況の異質さに焦り出す。

アリスも少し離れた位置にいるミラクルを見て俯いていた。


「さ、気は乗らないかもだけど・・・・・・やらないとね」


「あ、ああ・・・・・・そうだな」


 戦いは終わっちゃいない。

観客たちを救出したら、次はいよいよユノたちの阻止に本腰を入れなければならない。


 観客たちが、ミラクルの姿を見上げる。

その表情から、感情の種類は読み取れない。


 騙されていたのだ。

操られていたのだ。


 アイドルを追いかける気持ち。

そういった類いのものは私には正直分からない。

分からないが、きっと今の彼らの心情は私が思うよりずっと複雑なのだろう。

そして、アリスはもっと・・・・・・。


「・・・・・・アリス」


 気を使うでもないが、どんな言葉を使うべきか分からない。


「大丈夫」


 しかし、アリスは強かった。

憧れの人から奪った自覚がありながら、それでも闘志は消えない。


「大丈夫。ミラクルは本物の・・・・・・私の憧れた人だから。才能に溢れて、いっぱい努力もして・・・・・・そういう人だから。だから! ミラクル! 決着だよ!」


 アリスが、白黒つけようとメガホンをミラクルの背中に投げつける。

ミラクルも自分の大切なファンの言葉を無下にするわけがなかった。


「そうだね。そう・・・・・・負けないよ!」


 振り向くのと一緒に、電撃でメガホンを撃ち落とす。

それはステージにぶつかって粉々に砕けた。

それなりに被弾もあったし、もう限界だったのだろう。


「俺たち・・・・・・今まで何を・・・・・・」


 観客の誰かから、声が上がる。

男の人の声だ。


 洗脳が解けて、ただの外野になって、その困惑は至極当然なのだけれど、今は言わないであげてほしかった。


「・・・・・・いいの。自業自得だもん・・・・・・」


 ミラクルはその感情にはもうケジメをつけたと、アリスだけを見つめる。

敵同士として。

それでも、観客は声を荒げた。


「・・・・・・ってなるわけねぇだろ!!」


 さっきの人と同じ声。

ちょっとわざとらしい口調。

そして、その言葉の意味は・・・・・・。


「え・・・・・・?」


 ミラクルが、予想外の展開に目を丸くする。

すると最初の声に、若い女性の声も続いた。


「そうよ! 洗脳だとか関係ない! 確かに・・・・・・確かに、操られてたっていうのは感覚で理解してる。私以外の人もそうだと思う。でもそれだけじゃない! 私はみんなもそうだと思ってる!」


 再び、観客がざわめき出す。

しかしさっきとはまるで異質。

動的で、ポジティブ。


「ほら・・・・・・やっぱり、本物だ!」


 アリスはその景色に大袈裟に・・・・・・いや、当然の反応として感涙する。

ミラクルの表情は距離もあって詳細なことは分からないけど、口をぎゅっと結んで肩を震わせていた。


「みんな・・・・・・ありがとう・・・・・・」


 ミラクルが腕で目を擦る。

そしてとびきりの笑顔で・・・・・・。


「ライブはまだ終わらないよ! みんなで! ライブを邪魔する悪者をやっつけちゃえ!」


「「おおーーー!!」」


 空気が沸騰する。

滲んだ涙を音楽で吹っ飛ばし、ボルテージを高めていく。


 アップテンポが鼓動と重なり・・・・・・いや、鼓動がテンポに同期して、解放したファンたちの目に火を灯す。


「あれ・・・・・・これって・・・・・・?」


 あらら、と状況に苦笑する。


「なんであいつらミラクルに味方してんのよ。これじゃ本当に仕切り直しじゃない・・・・・・」


 さくらも呆れて項垂れる。


「みんな・・・・・・集合!」


 再びミラクルはシールドを形成し、ファンたちは「お守りしろ!」の陣形を再開する。

何故だか以前よりそれが強固に見えた。


「あー、もう・・・・・・めんどくせ・・・・・・」


 どらこちゃんもその光景に頭を掻く。

だけど、アリスには「よかったな」と笑いかけていた。


 対するアリスは引き攣った笑顔で答える。


「よくないよくない。私武器壊れた・・・・・・」


「相手も持ってねぇよ」


「そういう問題かな・・・・・・?」


 アリスが判断に迷う。

そしてたどり着くのは、謎のファイティングポーズ。


「もう・・・・・・どうにでもなれだね!」


 アリスもまた、本物なのだなと、それを理解した。

続きます。

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