健康診断、そして・・・・・・(17)
続きです。
元の服に戻して、試着室を出る。
並んだ私たちの靴の上にはちゃんとゴローが座っていた。
靴の上に居るとなると、忘れていったという感じじゃなくて置いておいたって雰囲気が出るのでそれを狙ってそこに座ったのだろう。
「どうだったかニャ?」
靴の上から飛び上がり、服の感想を聞いてくる。
私はそれに靴を履きながら答えた。
「どらこちゃんのはすごかったよ。ゴローの好きそうな感じ。私は・・・・・・まぁ、ね・・・・・・スカートはやっぱりちょっとって感じ・・・・・・」
「何言ってんだ、似合ってたぞ」
「からかわないで!」
後でみんなの前で着ることになるだろうし、そのときにどらこちゃんのは存分にからかってやるつもりだ。
「さて、みんなまだあそこに居るかな・・・・・・」
まだそんなに経っていないが、服を選ぶのにオシャレさんたちがどれくらい時間をかけるのか分からないからなんとも言えない。
よく知ってるから早く決まりそうな気もするし、逆に色々なものの魅力が分かるから時間がかかるような気もする。
とりあえずはさっきの場所に戻る。
別にそこに居なくたってすぐに見つかる広さだ。
そう決めて、踏み出そうとすると、様子を見に来たのか向こうからやって来た。
「お、どうだった?」
試着室から出て間もない私たちをアリスの期待の眼差しが捕まえる。
「なんだ、もう終わっちゃったのね。覗いてやろうと思ったのに・・・・・・」
「どうでした?」
さくらとみこちゃんも私たちが手に抱えた服に注目して尋ねてくる。
一番後ろのスバルは持たされた買い物籠の中を見て、その値札に苦い顔をしていた。
とりあえずはアリスの言葉に答える。
「私はまぁスカート以外は問題無いと思う」
「じゃあなんにも問題無いね!」
「おい」
私の文句なんか聞かずに、腕の中の服をひったくる。
そしてそれをスバルの持つカゴに放った。
「どらこはどうだった? 季節的にも涼しげでいいでしょ?」
「ああ、確かに涼しかったけど・・・・・・まぁあたしにはよく分からんわ、やっぱ」
どらこちゃんはちょっと照れた様子で頬を掻く。
「後で見せてくださいね!」
それにみこちゃんがにこりと笑った。
「あんたも見せなさいよ。もちろん着て見せなさいってことよ」
さくらも私に似たようなことを言う。
既に色々なことの決定権が私には無いみたいだ。
「はぁ」
みんなの前でスカート披露かぁ、とため息をこぼしながら会計に向かう。
私のため息に、スバルのため息も重なっていた。
会計のたぶん高校生のお姉さんが、私たちを見て微笑ましそうにする。
そして値段を見て固まっていた。
私もその値段には驚く。
想像よりゼロが一つ多い。
文字通り桁違いだ。
「服って・・・・・・こんなに高かったんだ・・・・・・」
「そう、たけーの。マジで」
スバルが思わぬ出費にもはや無表情になって支払う。
会計のお姉さんはスバルが一人で払いきったことに更に驚いている様子だった。
私たちが会計から離れても、しばらくお姉さんの視線が着いてくるのを感じる。
それを背中に感じたまま、出口の自動ドアを潜った。
続きます。




