健康診断、そして・・・・・・(14)
続きです。
「それで・・・・・・結局具体的に私たちは何をするの?」
さっきの戦いを経て、アリスの実力は分かった。
何が必要で、何を身につけようとしているのかも分かった。
だが結局これからどういう訓練をやらされるんだか分からない。
単純な肉体強化ではないだろうし、お勉強で身につくものでもない。
「そうねー・・・・・・まぁ色々あるけど・・・・・・」
アリスが腕を組んで考える。
え、今考えんの?
大して考えてもいなさそうな顔で思考したのち、その答えを出す。
「まずはやっぱり!」
スバルがせっかく改装してくれた廃工場を抜け出し、アリスに連れられてきたのは隣町の服屋。
車はスバルが出してくれた。
その車の運転席にはマネキンが座らされていて、それで誰が運転しているわけでもないのに走っていた。
マネキンがバレないかっていうのと、事故を起こすんじゃないのかっていうので二重にひやひやした。
そんなこんなで到着した服屋。
たぶん私たちが住む場所から一番近いお店だろう。
道路を挟んだ向かい側には高校があって、そこの生徒と思しき人が何人か店内に入っていくのが見える。
「いや・・・・・・服屋ってどういうことだよ・・・・・・」
まさかこんなとこに来るとは思っていなかったようで、どらこちゃんが唖然とする。
しかし服屋だ。
一体どういうことなんだか。
何をするという・・・・・・かはまぁ服を買うのだろうけど。
「どういうこと・・・・・・って、せっかくかわいく生まれたんだから着飾らないと! かわいい子がかわいくなるのは義務なの! 老若男女みーんなかわいくなるべきなの!」
「はぁ?」
どらこちゃんはその言葉に「ダメだこりゃ」と頭を掻く。
「ていうかそもそも私たちお金持ってないですし・・・・・・」と、みこちゃんももっともなことを言っていた。
「それは大丈夫! スバルが払ってくれるよ。あの人色々やって結構儲けてるから」
「君・・・・・・人の悪い使い方を覚えたね・・・・・・。いや、元々か? まぁ・・・・・・払うけどさ・・・・・・」
スバルも困った様子で笑う。
あのスバルをここまで困らせるなんてなかなかだ。
バルスに匹敵する。
この有無を言わせない感じ、最初に会ったときを思い出す。
今回も結局結びつくのはファッション。
相変わらずみたいだ。
「うーん・・・・・・けどまぁ流石に小さいね・・・・・・。まぁ田舎だからこんなものなのかなぁ・・・・・・」
アリスがどんなところに住んでいるのかは知らないが、服屋を眺めてそんなことを言う。
おばあちゃんと買い物に行くときに私も時々来るお店だが、もちろんそんな「小さい」だなんて思ったことはない。
比較対象が無いから。
ゴローも最初は田舎の割に高い山とか綺麗な川とか無いと言っていたけれど、そもそも私たちの住む町ってそんなに田舎だろうか。
コンビニあるし。
いや、中途半端な田舎だからこんな酷い言われようなのか・・・・・・。
「ま、入ろうか」
田舎者の何やかんやなんか気にもとめないで、アリスは軽い調子のまま続ける。
そしてミラクルを倒す仲間である私たちと、サイフ(スバル)を引き連れてアリスはお店の自動扉をくぐった。
店内に入ると、まず整然と並んだ衣服たちが目に入る。
置かれた品は変わっているのだろうが、いつもおばあちゃんについていってるだけなので特別目新しさは感じない。
お客さんにも、バイトの人にも、大体高校生くらいに見える人が多い。
子どもだけで来てる私たちはやや場違いなように感じた。
「えっと・・・・・・」
しかしアリスには特にそういう気持ちが湧かないようで、慣れた様子で物色しだす。
よく見てみるとアリスだけでなく、さくらとみこちゃんも慣れた様子だった。
不慣れな私とどらこちゃんはただアリスの後をついていくだけだ。
「今回は私たちチームだから、それが分かる感じのがいいなぁ」
「服くらい自分の感性で選ばせなさいよ」
「もちろん! それもだいーじ」
「流石に値段は気にした方がいいですよね・・・・・・」
三人は時々服を手に取りながら何やら話しているが、経験の少ない私たちはどういうことを言ったらいいのか全然分からなかった。
しかしそんな私たちにも救いの手は差し伸べられる。
「ねね、二人とも。これ着てみない?」
そうアリスは自分を着飾ることだけでなく、人を散々着せ替え人形にするのも好きなのだ。
付き合わされてる感は否めないが、それでも蚊帳の外よりはずっとよかった。
続きます。




