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きらきら・ウォーゲーム  作者: 空空 空
きらきら・ウォーゲーム
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健康診断、そして・・・・・・(10)

続きです。

 寝過ぎでなかなか寝付けない夜を越し、そして再び朝日が昇る。

カーテンの隙間から、眩しい光が顔を照らした。


 不快な寝汗に肌着を引っ張りながら、蹴飛ばした掛け布団を引き寄せる。


「おはようニャ」


「おはよう・・・・・・」


 こうして訪れた朝。

この時期の寝苦しさと昼間の寝過ぎが相まって、結果夜はあまりしっかりと眠れなかった。

つまり・・・・・・。


「・・・・・・眠い」


 目は覚ましたが、まだ目も開き切らない。

どれだけ眠くても、とても二度寝する気にはなれない。


 この汗を早く流したいのと、一晩かけてたっぷり熱を蓄えたこの布団の上にもう居たくない。


 そんな、いつも通りの朝だった。




「おはよ・・・・・・」


 そんなこんなで翌日。

私たちは再び廃工場に来ていた。


 別に集まるのは午後からでも全然問題ないということだったが、みんなここの高性能な冷房に吸い寄せられるように午前から集まっている。


「おはよ。また随分眠そうだな」


「昨日暑くって・・・・・・」


「あたしの部屋もエアコンないからな・・・・・・」


 自室にエアコン無い組で、昨晩の辛さを分かち合う。

地球温暖化とか・・・・・・そういうのの影響を実感出来るほど私もどらこちゃんも長く生きていないが、少なくとも扇風機だけじゃ無理がある気温なのは理解できた。


 今廃工場に集まっているのは、私含めたいつもの四人に、スバル・・・・・・そしてアリスの姿も既にあった。


 工場内は一体いつ手を加えたんだか、また模様替えされている。

色々と置かれていた機械たちは片付けられ、今ではだいぶすっきりしている。

それどころか、部屋の広さ自体違う・・・・・・。

技術の進歩についていけない私たちは、もうとっくにこれらの変化に特別な思考を巡らせるようなことはなかった。


「全員集まってるね!」


 いつもなら場を取り仕切るのはスバルだったが、今日は完全にアリスの日らしい。

拡声器片手に腕を組んで嬉しそうに私たちを眺めている。

いかにも講師って感じの雰囲気だ。

服装以外。


 服装は安定のアリススタイル。

動き回るのには不便そうだが、いったい私たちに何を教えてくれるというのか。


 小学生の習性で、先生っぽい雰囲気を出されるとなんとなくその周りに集合してしまう。

その私たちの態度に気を良くしたのか、アリスは「うん、うん」と頷いていた。


 整列するわけではないけれど、そうして話を聞く状態が完成する。

さくらだけはアリスのことを何やら警戒しているような表情で私の隣に張り付くように並んだ。


「いやいや、みんな熱心な児童でアリスちゃん嬉しい! こっちも教えがいがあるね!」


 アリスが存在しないメガネをクイと上げる。

気分はもう完全に先生のようだ。


「せんせーい、それで今日は何をするんですかぁ?」


「いい質問だね、さくらくん。そうだね・・・・・・今日はひとまず対アイドルの立ち回りについて学んでいこうと思うよ!」


「対アイドルの立ち回りですね・・・・・・って、何よそれ・・・・・・」


 棒読みで授業ごっこをしていたさくらが思わず素になる。

それも無理もない。 

私にもよく分からないし。


 そもそもアイドルだからって何かこう特別な動きをするってことは無いだろう。


「ていうかそもそもあんた強いの? なんか見るからに動きづらそうな格好してるけど・・・・・・」


 そういえばその通りで、私たちはアリスの能力も実力もまるで知らない。

あ、能力は鏡のやつか。


 しかし実際に私が戦ったわけでもないし、その実力の程はよく分からない。


 それでもアリスはさくらの疑いの眼差しに自信満々で答える。


「もちろん! 私は超強いですよ!

アイドルを心得ていないあなたたちくらいならけちょんけちょん! 楽勝! 試してみるかな?」


 その言葉はまるで挑発。

過剰なくらいの自信で、私たちに提案してくる。


 果たして自信過剰なだけなんだか本当に強いんだか、アリスだと全く判断がつかない。

どっちだとしても違和感がない。


「でも・・・・・・不思議ニャ」


 しかしそんなアリスを前にゴローが首を傾げる。


「確かにとてもキラキラしてて自信に満ちてて・・・・・・それが強さに繋がるのは間違いないんだけど・・・・・・。その・・・・・・肝心の石が、宝石が無いニャ!」


「え・・・・・・? 宝石ってこのやつ?」


 ゴローの首元の赤い石を指でつつく。


「別に見えないところで持ってるとかじゃないの? 今までだって、わざわざ見えるとこに置いとく人の方が少なかったでしょ?」


「それはそうニャ。でもこの子は間違いなく持っていないニャ」


 アリスを見る。

確かに宝石を身につけていないようだが、ゴローの言い方だと身につけてないとかそういう話ではなく、そもそも無いらしい。

とすると、確かに不思議だ。

前に会ったときのことも、今ここに講師として呼ばれていることも。


「まさか・・・・・・」


 そこで何か勘づいたのか、みこちゃんが声を上げる。


「私と同じ・・・・・・アンチェインドですか!?」


 と、そこまでいったところでアリスが申し訳なさそうに言う。


「あ・・・・・・いや、全然そんなんじゃなくて・・・・・・そのね、私もう負けてるんだ。だから宝石はないの。みんなの先生としても、これの力を借りるだけ」


 そうして握った拡声器を顔の横に持ち上げる。

見た目に特別なものは感じないが、おそらく普通のものではないのだろう。

だとすればたぶん・・・・・・。


「禁忌武装だ」


 スバルが聞くまでもなく答えをくれる。

その答えは予想通りのものだった。


 そうした諸々の事実を知り、さくらの疑いの眼差しは更に厳しいものになる。


「ふぅん? 本当に、私より、強いのかしら?」


 謎の対抗意識を燃やして、言葉のリズムと合わせてアリスに近づく。

その好戦的な態度に、アリスは笑って、もう一度同じ言葉を繰り返した。


「試してみよっか」


 正面からぶつかり合った二人の視線。

その間に火花が散る。

たぶん散ってる。


 そうして、一つの小さな戦いが始まった。

続きます。

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