健康診断、そして・・・・・・(8)
続きです。
忘れるはずがない。
とても忘れられない。
それ程インパクトのある人物。
懐かしくはあるが、けれども未だその印象は薄れることはない。
アリスは未だ決めポーズのまま固まっている。
地味にきつい体勢なのか、スカートから覗く腿の筋肉がふるふる震えている。
「・・・・・・えっと、大丈夫?」
とりあえず気遣ってみると、アリスは笑顔で返してくれた。
そうじゃなくて・・・・・・と苦笑いで答える。
そうそう、この独特のズレ感。
間違いなく私の知るアリスだ。
「なんだかよく分からないのだけど・・・・・・。何? 結局なんなの二人は?」
さくらが私たちの間にどうも何があるらしいということを悟ったのか、その答えを求めてくる。
それに私が答えようとすると、それに被さってアリスが答えた。
「このコ、私のファンだよ!」
「え、違うんだが・・・・・・」
「これは照れ隠し、最初にアリスの虜になった人だもん」
否定したとてあることないこと言われてしまう。
いや、無いことしか言ってねぇ。
「へぇ、虜ねぇ・・・・・・」
さくらはそれを信じたんだか信じていないんだか、やや不機嫌になる。
何故か責めるような瞳で私を見てきた。
悪いの私・・・・・・?
「まぁまぁ! とりあえず! 積もる話もあるだろうが、今日はその辺にしといてくれ。なんか面倒くさくなりそうだ」
見かねたスバルがぶった斬る。
アリスはつまらなそうに「ちぇー」と唇を突き出しながら、けれども素直にスバルの後ろに下がった。
もしかしたらさくらの鋭い視線から逃げ出す為かもしれない。
「・・・・・・しかし、きらら知ってたのか? アリスってかなりコアなアイドルだぞ?」
「え、アイドルなの!?」
第二の衝撃。
未来の超有名アイドルとかは完全に戯れ言の類だと思っていたが、どうやら違ったらしい。
スバルは「何だ知らないのか?」とアリスの言葉との食い違いに困惑気味だ。
なるほど、しかしアリスならたしかにスバルからしたって変なやつだろう。
着せ替え人形にされた記憶が蘇る。
そんなに悪い思い出じゃない。
「しかしなんで・・・・・・その、なんだ? こんなやつに特別講師だなんて?」
どらこちゃんがアリスをどう表現するかを悩みながら、疑問を口にする。
スバルは自分の人選に間違いは無いという自信があるようで、そこに関してはきっちり答えた。
「そりゃアイドルだからさ。次戦う相手もミラクル・・・・・・アイドルなわけだ。つまりこっちも専門家の手を借りようってわけさ」
「でも・・・・・・ミラクルはそれこそ超有名アイドルなわけで、でこいつはすっげーコアな、要はマイナーなアイドルなわけだろ? そんなんで敵うのか?」
私からすればそもそもアイドルとしての経験値がどのように戦いに関わるのかという段階で疑問だったが、どらこちゃんの言うようにアイドルとしての経験でもアリスは足りないようだが・・・・・・。
「そりゃ問題無い。アリスは本物だ。僕自身が認めた、本物のアイドルだ」
「ふふん」
スバルとアリスが誇る。
何だこの二人は歌で勝負するつもりなのだろうか。
何の自信だ、それは。
どらこちゃんも「いやその理屈はおかしい」って顔をしている。
「まぁ心配しなくても明日分かるさ」
スバルはそう言うが、実際どうなんだか。
アリスのアイドル力を疑うわけじゃないが、結局それ何の意味があるのといったところだ。
私たちの理解を置いてけぼりにして、二人は自信に溢れた胸を張ってそして部屋を出ていく。
「・・・・・・いやどこに!?」
「ん、ああ・・・・・・今日はこれで解散だ」
スバルが明日楽しみにしとけよという顔で言う。
そしてそれで・・・・・・本当に帰ってしまった。
「何だったニャ・・・・・・今の」
「まるで嵐のようでしたね・・・・・・」
ゴローとみこちゃんも唖然としてし
まう。
残された私たちも、今何か特別出来るわけもなく・・・・・・。
「え、帰る?」
「帰る・・・・・・か?」
みんななんだか頭の働かないまま、結局本当にそのまま流れ解散になった。
続きます。




