健康診断、そして・・・・・・(2)
続きです。
「それじゃあまず・・・・・・こっちに来てくれ」
スバルは私たちを、建物の裏に通じるドアへ誘導する。
この部屋に置いてある機械たちはどうやら今は使わないみたいだ。
「そっち側部屋あったっけ・・・・・・」
しかし記憶通りなら、この先に部屋は無い。
それどころか、この先は山で部屋を用意出来るようなスペースすら無かったはずだ。
そこまで考えて、そういったことはスバルには何の問題でもないということを思い出す。
そもそも今居る部屋だって記憶と全く違うし、秘密基地だって山の中にあった。
つまり・・・・・・。
そのまま流れで先頭になって、目の前のドアのノブを回す。
ドアを押し開くと、眩しい光が私たちを出迎えた。
『さぁ、入って入って』
いつの間にか姿を消したスバルが、放送で先に進むよう促す。
どこに居るのだろうかとその姿を探すと、ガラス一枚隔てた向こうでこちらを満足気に眺めていた。
その間にある距離に妙なものを感じる。
健康診断というか・・・・・・実験動物?
そんな感じの気分だ。
「ゴロー・・・・・・一応気をつけてね。前のこともあるから・・・・・・」
スバルの好奇心の標的になったら、一体どんな末路を辿るのか・・・・・・それは考えるのも恐ろしいことだ。
もしかしたらまだゴローのことを調べたりないのかもしれない。
しかしそうしてゴローに話しかけようとして気づく。
「あれ・・・・・・ゴローは?」
ゴローが見当たらない。
流石に家に忘れて来たってことはないだろう。
勝手に着いてくるし。
ていうかさっきまでは居た記憶がある。
「そういや居ねぇな・・・・・・」
私の声にどらこちゃんもあたりをきょろきょろ見回す。
そして私かどらこちゃんがゴローの姿を見つける前に、意外なところから答えがやって来た。
『ボクはココニャ』
スピーカー越しのゴローの声。
いつの間にそうしていたんだか、ガラスの向こう側、スバルの隣に居た。
「あ、ゴロー!」
その姿を見つけて思わず指差す。
しかし何故そちら側に居るのだろう。
『まぁこういうことだから、キミたちはボクより自分たちの心配をした方がいいニャ。健康診断と称して何されるか分からないニャ』
ガラスの向こう、一人余裕の表情でそんなことを言ってくる。
なるほどどうやら今回の実験動物は私たちの方のようだ。
「・・・・・・ちょっと何するつもりよ・・・・・・」
さくらがスバルを訝しむ。
私も疑うような視線をスバルに注いだ。
『別に特別なこたしないよ。本当に健康診断だ。約束しよう。それと・・・・・・ゴローは確かに別室だが、決してこっち側、ボクと一緒に特等席で眺める立場じゃない』
「え・・・・・・?」
ゴローの余裕が崩れる。
いい気味だ。
ゴローの足元に、バラエティ番組の仕掛けみたいにパカッと落とし穴が開く。
ゴローはそれだけじゃ落ちてくれないので、その穴はゴローを吸引していった。
『ゴローも別室でお楽しみだ。身体測定と健康診断は男女しっかり分けないとね』
「結局どっちも無事でいられないわけですね・・・・・・」
みこちゃんが困ったように笑う。
それにスバルは『だから本当にただの健康診断だって・・・・・・』と答えた。
全く信用ならない。
『まぁいい・・・・・・とにかく始めようか』
そしてある意味私たちの期待通りに、スバルはまたいいかげんなことを言い出す。
『まずはみんな・・・・・・全裸もしくはパンイチになってくれ』
「「は?」」
私とさくらの声が重なる。
きっとゴローも地下で「ぬいぐるみに何を脱げと!? 綿か? 綿だけになればいいのかニャ!?」とか言っていることだろう。
スバルが悪趣味な笑みを浮かべる。
こうして私たちを困惑させることを楽しんでいるのだ。
やってることはこんななのに、その表情はやたら生き生きしているのだった。
続きます。




