最大風速(31)
続きです。
口からぼかぼか空気が溢れる。
しかしあまり焦りはない。
もう何度目だろうか。
とにかく、水の中に閉じ込められのは慣れてしまっていた。
おまけに、ヒントも得られた。
私の手のひらから溶け出した泥、土。
それは私にある閃きを与えたのだった。
ゴローの尻尾を捕まえて、アンキラサウルスの体の中を泳ぐ。
閃きの実現のために、結構前に勝手に体内に捨てていた剣を目指した。
この水を全部飲み干したら勝てないだろうかとか、無駄な考えが頭をよぎる。
酸素不足の所為でちょっと頭が回っていないのかもしれない。
アンキラサウルスがどらこちゃんに攻撃するたびに、体内で水流が発生する。
それに翻弄されながらも、なんとか剣のもとへたどり着いた。
息苦しさを我慢しながら、その柄に手を伸ばす。
このまま体内の水を使ってドリル出来ちゃえば勝ちなんだが、ここの水たちは従ってくれなかった。
さて、あとはどうやってここを出るかだが・・・・・・。
まぁ、そこはもうどらこちゃんを頼ってしまってもいいだろう。
水を蹴るようにして、どらこちゃんの居る面までやってくる。
そうすると、どらこちゃんは多少乱暴な手つきで無理矢理私の体を引き抜いた。
「うわっ・・・・・・」
途端、体から浮遊感が消える。
尾骶骨を思い切り道路に打った。
「もっと丁寧にぃ・・・・・・」
「・・・・・・ったく、お前何やってんだよ。さっさと来てくんねぇと助けられるもんも助けらんねぇよ・・・・・・」
「あぁ・・・・・・それはね・・・・・・」
少し不安になって確認するが、私の手のひらにはしっかり剣が握られたままになっていた。
アンキラサウルスが第二の獲物も奪われて、その表情を歪める。
それを見上げながら、どらこちゃんの手を借りて立ち上がった。
「みこは・・・・・・?」
「ばっちり。女の子を連れて車に避難したよ」
「そか・・・・・・」
どらこちゃんは疲労混じりではあるが、とりあえずは安心したようで安堵のため息を漏らした。
「ところで・・・・・・お前、それ・・・・・・?」
どらこちゃんが、回収した私の剣を指差して尋ねた。
私はそれに待っていましたとばかりに、水を吸ったゴローを絞りながら答える。
「ふふん・・・・・・たぶん、勝てるよ」
自信満々に、人差し指を軸にして剣を一回転させる。
相手が液体だから、切れないから倒せない。
ならば固体にして仕舞えばいい。
それが、私の思いついた作戦だった。
続きます。




