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きらきら・ウォーゲーム  作者: 空空 空
きらきら・ウォーゲーム
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草陰の虚像(1)

続きです。

どらこちゃんたちのその後を見届ける間も無く、町を駆け回る。

「今日は本当にまずいニャ!ちょっと小突かれただけで負けるニャ!」

「でもどうして......?どうしてさくらが?」

改名戦争の参加者は例外なくキラキラネームのはずだ。

“さくら”なんていう王道な名前が参加しているわけがないのだ。

「ともかく今は逃げるニャ!明日になれば宝石の耐久値は元どおりになるニャ!」

ゴローが急かすが、それなりに疲れているので体も思うようには動かなかった。

状況の確認の為背後を一瞥する。

「......って、あれ?居ない?」

後ろには誰も居はしなかった。

「ほんとニャ。誰も居ないニャ」

徐々に速度を落として、遂に立ち止まる。

辺りを見回すが、やはり誰もいないようだった。

「どうにか逃げ果せたニャ......」

ゴローが安堵の溜息をつく。

辺りは既に薄暗くなり、もう夜の領分に片足を踏み入れている。

「とりあえずなんとかなったね......」

一息ついて自分の姿を見ると、上半身スク水に短パンというとりあえず正気な人がするファッションではなかったことを思い出した。

どうりで背中が涼しいわけだ。

コンクリートの塀に体重を預けて、ゴローに話しかける。

「こっからの帰り道分かるぅー?」

デタラメに走っていたものだから、よく知らない場所に来てしまったみたいだ。

「どこをどう曲がったかは覚えてるニャ。問題なく帰れるニャ」

「そりゃよかった」

ゴローのおかげでなんとか、最悪の事態は免れる。

こういうときは結構頼りになるなぁって思った。

空中のゴローをひっ捕まえて、目の前に持ってくる。

「それじゃ、道案内頼むぜ」

「任せろだニャ」

ゴローが敬礼する。

その瞬間、何かを感じて咄嗟に頭を引く。

「あだっ」

コンクリート塀に頭をぶつけて、後頭部に熱が走る。

「どうしたニャ......?」

急に動き出してしかも頭までぶつけた私を見て、ゴローが不思議そうに尋ねる。

「目の前を......何かが、通った......気が、した......」

「はぁ?何言ってるニャ。何にも通らなかったニャ」

確かに何かを感じた。

それは気のせいで済ませてはならないもののような気がした。

「強迫観念ってやつ......?」

自分でも不思議に思いながら、先程頭があった位置に手を伸ばすと......。

「......っ!?」

何かが指先に触れた。

思い切って掴んで見ると、それは確かに手のひらの中に収まっている。

紐のように細長く、けれどもその質感は植物のように感じられた。

「......ツタ?」

「何言ってるニャ......?」

ゴローの言ってることも、当然と言えば当然である。

その姿は、今こうして掴んでいても尚見えないのだから。

「手、出してみて」

言われるまま伸ばした手を左手で誘導する。

「ん......?ほんとニャ。見えないけど......何があるニャ」

そうしている間に、私のものでもゴローのものでもない声が響く。

「随分勘がいいのね。きらら?」

その声は私のすぐ隣から聞こえた。

恐る恐る横を見ると、そこにはいつの間にかさくらが塀に寄りかかってこちらを覗いているのが見えた。

「な......。どこから!?」

驚く私に、さくらが笑う。

「どこからも何も、ずっとあんたたちと一緒に走ってたわよ。必死すぎ。馬鹿みたい。服装も頭おかしい」

「あっ、あんたねぇ......!」

乱射される罵倒に、血がのぼる。

「あらら、そんな口聞いちゃっていいのかしら?私の機嫌しだいでは今日は見逃してあげるのに」

手のひらの中のツタがスルスル動き、私の頬をつつく。

そんな安い挑発に......。

「返り討ちに......」

乗りかけたところで、ゴローが割り込む。

「い、今は!......今は流石に勝ち目がないニャ!どうか落ち着いて......!」

「むぅ......」

ムカつきはまだ治らないが、確かに勝ち目があるようにも思えない。

「ふふ......。いいじゃない。そうやって、いつもももっと素直にしてればいいのに」

「で!なんなのさ!?」

怒りに任せて、荒い口調で言う。

「いやぁ......ね?漁夫の利を狙ってたんだけど、思ったより早く決着がついちゃったから......。私はあなたを倒すことにもっと旨味が欲しいのよ」

「どういうことよ......?」

ゴローが説明を挟む。

「他の超能力者を倒したときも、蓄えられていたキラキラ粒子を回収できるニャ。つまり、キミに勝つことを前提に、その後のことを考えているニャ」

「そーそー、そのとーり。というわけで、私の為にもっと強くなってね」

そう言って、再び姿を消す。

「こちとら、あんたみたいにバカな理由で戦ってるんじゃないのよ」

そう耳元で、小さな声で言い残していった。

手のひらに触れるツタの感触も消える。

耳を澄ますと、小さな足音が離れていくのが聞こえた。

「何あれ......腹立つ」

「まぁまぁ......」

行き場のない怒りを石ころにぶつけて、来た道を戻った。

続きます。

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