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きらきら・ウォーゲーム  作者: 空空 空
きらきら・ウォーゲーム
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ゆーま(32)

続きです。

 赤熱した刃が、その背中に食い込む。

アンキラサウルスはうめき声一つあげないが、その腕からきららを取り落とした。

「へっ・・・・・・」

 いける。

相手の攻撃を一度でも食らえば、おそらくあたしの命はないだろう。

だけれど、不意打ちというのもあって確かな手応えがあった。

 振り向きざまに振り下ろされた腕に、刃を沿わせるように剣を滑り込ませる。

そして、跳躍する。

「おらッ・・・・・・!!」

 刃はその腕を焼きながら脇を切りつけた。

そうすることによって、あたしは完全にアンキラサウルスの懐に潜り込む。

手足の長さが裏目に出て、相手は反撃に移れない。

「だぁッ!!」

 剣は脇に食い込ませたまま、ガラ空きの腹部に思い切り蹴りを入れる。

ケンカキックだ。

 吹っ飛びこそしないが、衝撃にアンキラサウルスの体が前のめりに折れる。

その降りてきた頭に今度は拳打を叩き込んだ。

 鈍い音に鈍い衝撃。

完全にクリーンヒットだった。

 腹にめり込ませていた足を再び突き出して、その勢いで今度は離脱する。

そして、きららの方を見た。

 きららは体を起こし、こちらを見ていた。

「きらら・・・・・・!」

 その名前を呼ぶとハッとしたように、顔を上げた。

 既にただの人間のあたしには限界がある。

腕を受け止めたときの衝撃で察したが腕力の差は歴然だった。

その差を埋めるのは、きららの力だ。

 きららに目で合図を送る。

きららはそれに頷き、手を伸ばした。

 後は任せた。

その思いを乗せて、剣を放った。



 どらこちゃんの炎で、完全に闇が晴れる。

その代わりに火の粉が舞っていた。

 私がほとんど諦めていたと言うのに、どらこちゃんはその謎の戦闘センスでアンキラサウルスを圧倒している。

 ガサッと、後ろで草が揺れた。

見ると、さくらが草陰から顔を出しているのが見えた。

 私の視線を受け止めたさくらは小さな声で「みこの安全は確保したわ」と言う。

 なんだよ・・・・・・。

みんな私なんかよりずっと上手くやっているじゃないか。

それなのに私は・・・・・・。

「きらら・・・・・・!」

 どらこちゃんに呼ばれる。

 そうだ。

私にはやらなくちゃいけないことが山積みなんだ。

ブランのことだって何も解決していない。

他にも、お墓とかウサギとかみこちゃんのこととか。

やらなくちゃいけないことばかりだ。

 それなのに、ただ怯えて、泣いて奇跡を待って・・・・・・。

 今起こった奇跡はきっかけにすぎない。

この奇跡だけじゃ、勝利は確定しない。

ただ、事態は好転に向かっている。

ならばその流れを絶やさぬように・・・・・・。

 どらこちゃんの合図に頷く。

そして放られた剣を右手で掴み取った。

剣が描いた放物線を炎が彩る。

そして、その炎は消えないままだ。

 どらこちゃんから受け取った炎を携えて、再びアンキラサウルスと対峙する。

その体には複数の傷が刻まれているが、どれも致命傷には届かない。

「・・・・・・一気に、ケリをつける」

 アンキラサウルスが翼を広げ上空に登る。

そして太陽と重なると、その翼を畳んだ。

 速度を増しながら、アンキラサウルスは滑空する。

向こうも最後の一撃にするみたいだった。

 私はその姿を睨みつけ、ただ時を待つ。

 アンキラサウルスの赤い目が、空中に線を引く。

 まだ。

 アンキラサウルスが、手のひらを広げその鋭い爪を露出させた。

 でも、まだだ。

 すぐ眼前まで、赤色が、闇が迫る。

「ここ・・・・・・!」

 その瞬間、炎を巻き込ませながら剣を振り上げた。

その斬撃はアンキラサウルスの突進のタイミングと重なり、その頭を焼きつけた。

 でも、これで終わりではない。

終わりにしてやるものか。

 自分の加速度分のダメージも負ったアンキラサウルスは大きくのけ反る。

その体めがけて、剣を突き出した。

剣の周りに、炎が渦を巻く。

それは、周りの空気を、鱗粉を、アンキラサウルスの体を焦がす。

 炎が描く螺旋。

全く説明のないあらゆる方則を無視した炎の挙動。

それを片付けるための、最後の一押し“技名”を叫ぶ。

「爆熱・・・・・・!!」

 言葉に合わせ、回転数が、火力が上がる。

「フレイムドリル・・・・・・!!」

 秒間二千回転の炎の円錐形が、アンキラサウルスを包み込む。

詰めの甘さもない。

刃は、ドリルは完全に体を貫いている。

「こうなったらもう、私の勝ちだよ・・・・・・」

 セリフを吐いて、剣を引き抜く。

アンキラサウルスは燃えながらも、まだ私に手を伸ばそうとしていた。

 その胸を、人差し指で軽く押す。

それだけでアンキラサウルスは後ろに倒れてしまった。

 倒れるのと同時に、アンキラサウルスは光の粒に変わる。

火の粉とキラキラ粒子がブワッと広がって、辺りを照らした。

 木々は薙ぎ倒され、ここ周辺の環境はボロボロだった。

「やったな」

 どらこちゃんが歩み寄り、私の肩に手を乗せる。

「うん」

 被害は大きい。

もしかしたらもっと少なくて済んだかもしれない。

 ゴローの宝石に、キラキラ粒子が吸われていく。

 けれども、とりあえず今は勝利の上に安らいでいたかった。

きっと、それくらい許してくれるだろう。


続きます。

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