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300話 十傑最強の男

リアルの方で色々とあり、更新が遅れてしまいました。

もうすぐ完結なので、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。

  おれは天使カタリーナさんに連れられて、カシアスのもとへと向かう。

  どうやら、あいつは一人でユリウスに立ち向かうつもりらしい。

  それも勝つ可能性など絶望的にないのにも関わらずだ。


  だが、おれがいれば僅かに勝機が生まれると女神様は言っていた。

  それならば、危険を顧みず助けに行くしかないだろう。



  カシアスのことを見捨てるなんて、絶対にできない……!



  そう決心したおれは女神様に連れられ、しらばく飛んでいると彼女に話しかけられる。


  「もうすぐ魔王国の外に出られますよ」


  どうやら、ようやく転移魔法の使える領域へと出られるようだ。


  今のおれたちは精霊王ゼシウスさんの魔王国にいるため、転移魔法は使えない。

  だが転移魔法さえ使えれば、すぐにでもカシアスのもとへとたどり着ける。


  「ありがとうございます!」


  おれは女神様にそう感謝の言葉を告げる。


  しかし、次の瞬間おれはどこか違和感を覚えた。

  張り詰めた空気と突き刺さる視線を()()()()と感じる。


  まるで、何者かがおれたちを監視しているような。

  それから、ターゲットとして狙われているような……。



  そして、おれはその違和感の正体に気づく。

  おれたちの進行方向の地上の果てに、何者かがポツンと(ただず)んでいるのだ。


  そいつは地上からおれたちを捉え、こちらをジッと見つめている。

  それを不気味に感じたおれは思わず女神さまに尋ねることにした。


  「カタリーナさん、アレって何ですか……?」


  ゼシウスさんの配下でおれたちの仲間——とは、とてもじゃないが状況からして考えられなかった。


  すると、彼女はおれの言葉を受けると突然スピードを緩めて急に飛行をやめる。

  そして、顔をしかめて状況を述べるのであった。


  「あの悪魔はちょっと不味いかもしれないですね……」


  女神様が言うには、どうやら地上でおれたちを見上げているのは悪魔のようだ。

  そして、その悪魔は彼女が顔をしかめるほどやっかいな存在らしい。


  ただならぬ敵を目前にしたおれは高鳴る胸を落ち着かせるように静かに息を呑んだ。

  よく見ると、そいつはツンツンと髪をハネさせている赤髪の男であり、その鋭い瞳ではっきりとおれたちを捉えていた。

  そして、ボソリと静かにつぶやくのであった。


  「ルノワールのやつ、こんなザコどもを押し付けやがって……。俺が出るまでもないじゃねぇかよ」


  男のつぶやきがおれの耳にまで届いてくる。


  ルノワールだと……?

  つまり、こいつもユリウスの配下であり十傑の悪魔なのか!?


  その言葉を耳にしたおれはさらに警戒度を上げる。

  すると、男は魔力を解放して静かに戦闘態勢へと移る。


  その男が放つ魔力は先ほどルノワールから感じたモノとは別格であり、途端におれの体がガクガクと震え出す。

  そんなおれは女神様に支えられる形でなんとか体勢を保っているのであった。


  「カタリーナさん……」


  「えぇ……。あの悪魔を相手にするのは分が悪すぎます。どうにかして、逃げ出したいのですがそうもさせてはくれなさそうですね」


  女神様もこの状況に戸惑っている。

  はやく、何か解決策を考えないとこいつはヤバすぎる。


  「ごちゃごちゃとウルセェ奴らだな」


  一歩ずつ、男は確実におれたちに近づいてくる。



  そして次の瞬間、男の右手から烈火の焔が撃ち出されるのであった——。



  その焔は渦を巻き、爆音を響かせながらおれたちへと向かいくる。

  周囲を巻き込み、爆発しながら迫ってくるその烈火に対してカタリーナさんが光の盾を発動する。


  彼女は必死に防御魔法を発動して耐えているが、とても苦しそうだ。

  おれの隣で彼女は苦痛の表情を浮かべている。


  そこでおれも重ね合わせるように闇の盾を展開する。

  だが、おれ程度の魔力では僅かな足しにしかならない。



  このままでは押し切られてしまうだろう……。



  そして、案の定おれたちの防御魔法はすぐに破壊されてしまい、二人して地上へと堕とされてしまう。

  さらに、互いの安否を確認する間もなく、烈火の焔が爆発を繰り返しながらおれたちへと迫りくるのであった。



  ダメだ。

  おれたちじゃ、あの男には勝てない……。



  そんな時であった——。

  突如として、突風が吹き荒れて烈火の焔が拡散する。

  おれたちを襲うはずだった炎は周囲にかき消されていったのだった。



  なんだ……。

  何が起きているんだ……!?



  おれは自分の命がまだあることは理解はできたが、どうして助かったのかは理解できずにいた。

  これには赤髪のツンツン頭の悪魔も同様のようで、不機嫌そうにキョロキョロと周囲に誰か潜んでいるのかと探していた。



  そして、空から一人の男がおれたちの前へと降りてくる。

  その男の姿を見て、おれは思わず声をあげるのだった。



  「お前は……。確か——!!」



  「久しぶりだな……劣等種」



  そこには黒と金の服に身を包む、ヴァンパイアの男——カインズがいたのであった。


  かつて、カルアの大森林でおれやハリスさんたちと戦い、魔界へと帰っていったカインズ。

  どうやら、そんな彼がおれたちを十傑の悪魔から助けてくれたようであった。



  「どうしてお前がここにいる! それに、おれたちを助けてくれたのか……?」



  おれはそうとしか考えられない状況に、思わず尋ねてしまう。

  すると、サバサバとした態度で素っ気なく彼は答えるのであった。



  「精霊リノからお前の救援を頼まれた。だから来た。それだけだ……」



  リノから頼まれたと話すヴァンパイアのカインズ。


  彼はかつて、魔王になろうとして次期精霊王候補の一人であるハリスさんを狙っていた。

  そして、そこでおれたちと敵対することになり、最終的にはカシアスが彼を止めてくれたのだった。


  カインズはおれと目を合わせようとはしないが、どうやらおれのことを恨んでいるというわけではなさそうだ。



  「そっか……。ありがとうな! 助かったぜ」



  「ふっ……。あいつのことは俺に任せろ。お前たちは先に行け。後から俺も追いかける」



  危険なオーラを醸し出す赤髪の悪魔をカインズが相手にしてくれるらしい。

  彼の言葉を聞いてどこかおれは嬉しくなる。

 


  「アベル、ここは彼に任せて先を急ぎましょう!」



  あの悪魔に上空から堕とされたが、女神様も無事だったようだ。

  そして、おれは女神さまの言葉に頷く。



  「カインズ、絶対に生き残れよ!」



  こうして、おれたちはこの場をカインズに任せて立ち去るのであった。




  ◇◇◇




  アベルたちが立ち去った後、赤髪の悪魔と金髪のヴァンパイアだけがこの地に残される。

  そして、彼らは互いに言葉を交わすのだった。



  「なんだ、お前も魔王ヴェルデバランの軍門に降ったのか? 欠格の魔王カインズ」



  赤髪の悪魔がヴァンパイアのカインズに尋ねる。

  精霊リノに協力してあの少年を助けたのは、魔王ヴェルデバランの下についたということなのかと——。


  だが、カインズはそれを強く否定する。



  「そんなバカなわけがあるか。俺は俺の信念に従って行動しているだけだ」



  「信念ダァ……?」



  そう聞き返す赤髪の悪魔。

  彼の中にあるカインズの像からは考えられない発言であった。



  「そうだ。一つはあの小僧の前に道を切り開くこと。そして、もう一つは俺やエルダルフを騙したお前らに、邪魔はさせないということだ……!!」



  カインズは敵意を剥き出しにして、赤髪の悪魔に対してそう叫ぶ。

  彼の言葉からは憎しみの感情が滲み出ていた。

 


  「そうか……。俺たちの仕業だとバレてたのか。でもなぁ、お前の目の前にいるのが誰だかわかってて言ってるのか……?」



  「あぁ、もちろんだ。《烈火の悪魔》ルシェンよ……」



  ルシェンと呼ばれた男は、カインズやエルダルフを騙して人間界へと送り込んだのは自分たちだとは白状する。

  そして、彼は自分の正体を知りながらも挑もうとしてくる目の前の男に興味を示す。



  「そうか……。知っててその発言ってコタァ、つまり俺は舐められてるってわけだな」



  「イイゼェ。十傑最強の悪魔であるこの俺がサシでお前の相手をしてやるよ」



  こうして、魔王クラス最強の悪魔と魔王クラス最強の魔族の戦いがはじまろうとしているのだった——。

補足です。


ヴァンパイアである欠格の魔王カインズの話をもう一度読みたい方は、「66話 女神カタリーナ様」と「70話 再会そして争い」以降をお読みください。

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