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【完結】転生ニートは迷宮王  作者: 三黒
第1章

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33 レイス討伐隊

「フィル。このあたり、ついこの間までは一軒家があったな?」

「はい。……少なくともこんな城はなかった、はず」

 

 レイス討伐隊一行は、ひとまず城の手前でエクィトスを止める。

 

「た、隊長。レイスがいるってのはここですか?」

「恐らくは。他に行くところもないだろうし、ここにいると考えるのが自然ではある」

 

 だが、と隊長――アイウズは続ける。

 

「城だからな……」

「城ですね……」

 

 門は開放されており、中にはエクィトス小屋のようなものも見えた。勝手に入って良いものなのか。暫しの逡巡の後、アイウズは言う。

 

「入らないことには始まらない。まずは庭、そして正面玄関から城内を目指す。その間にあのレイスに出会ったら作戦通りに動くこと。では、行くぞ」

 

 周囲に警戒して一行は進む。待ちかまえるものが迷宮(ダンジョン)だとは知らずに。

 

 

 

* * *

 

 

 

『侵入者です。音量自動調節を実行します。範囲を侵入者周囲に設定しました』

 

 よしよし。数は……多いな。二十人くらいか。

 だが、前も来た二人以外は大した強さではなさそうだな。まぁ連携が取れていればワイズスライム程度には苦戦しないか?

 

「鍵は……開いてます!」

「突然レイスが出てくるかもしれない。十分に気をつけろ」

 

 アイウズ達は慎重に大扉を開けていく。今回は索敵とかいうヤバいスキル持ちはいないのか、安心安心。

 なんたって入った瞬間ゴーストで挟み撃ちだからな。さぁ行け! 俺のゴースト!

 

「うわっと。聖浄(リファイス)

「随分と手荒な歓迎だな」

「ひいぃぃ!」

 

 フィルとアイウズは流石というか。慣れた手付きで捌いていく。

 比べて他の奴らは酷い有り様だ。基本的に武器を握りしめて震えるばかりで、振り回そうともしない。

 

「隊長! 人が! 人が!!」

「落ち着け。こいつらはゴーストだ」

「でも、見た目は完全に人(・・・・・・・・)じゃないですか!」

 

 なるほど。それでビビってたのか。

 

「――聖浄(リファイス)! 別に剣を振る必要はない。聖浄(リファイス)を唱えろ。お前達の魔力でもゴースト程度なら死ぬ」

「は、はい! 聖なる光よ、彼の魔を……わぁ!?」

「っ、聖浄(リファイス)! 敵の目の前で詠唱なんぞする馬鹿がいるか! 一旦下がって落ち着け!」

 

 詠唱を始めた瞬間、そっちに向かってゴーストが一斉に剣を振り下ろした。詠唱中は狙われやすいってのはこの世界でも健在か。

 物理耐性が恐ろしく高い魔物と、詠唱妨害(ジャミング)が得意な魔物の組み合わせとかあったな。テンプレすぎて採用しなかったが、こっちだとそもそも共存出来るのか怪しい。スライムですら勝手にゴブリンとか食って進化してるし。

 進化の確率は階数を増すごとに上がるらしいが、こんな上層でも進化してくれちゃうあたり運3,420様々だな。

 

聖浄(リファイス)――粗方片付いた、か。大丈夫か、お前達」

 

 どうやら一階のゴーストは全滅したみたいだ。パニクった騎士が多かった気がする。対人で戦うことが少ない世界なのか?

 

「すみません。あまりに人に似ていたので、動揺してしまって……」

「ああ、先輩。こいつらエルイム大討伐参加してませんもん。動揺するのも当然っちゃ当然ですよ」

 

 エルイム大討伐とはなんぞや。

 

「そういえばあれも各隊から数人ずつの選出だったな。貴重な半対人での実戦経験、総出で向かうべきだと思ったのだが」

「俺はあれで正解だったと思いますけどね。だって一晩で国一つ滅んだんですよ? 自国に戦力を残しておかないと、国民の不安も高まるってもんです」

「あの……エルイム大討伐って結局なんだったんです?」

 

 いや平騎士君。君も知らないんかい。

 

「そういえば情報規制が敷かれていたんだったな。だが、それとは関係なしにも全てを語ることはできない。何故ならわかっていないことが多すぎる」

「あれって一応は死霊術師(ネクロマンサー)の仕業ってことになってんですよね?」

「それもまだ仮説の域を出ない話さ。死者が皆ゴーストになったということは、死霊術師(ネクロマンサー)が関与している可能性が高いというだけ。生命だけを吸い上げて他は置き去りなんて芸当、奴ら以外に出来るとは到底思えないがね」 


 ん? 死霊術師(ネクロマンサー)

 それって500万DPかなんかのヤバい奴じゃねぇか。お値段実に城の10倍。

 魔物即時復活だけが取り柄かと思いきやそんなことも出来るのね。500万DPというのにも頷ける。


「このままゴーストだけが出続けるようなら、恐らく団長も危惧しているであろう"最悪の事態"になりかねない。悪夢再び。この場所に根城を構えたということは次の標的はシレンシアだろう」


 待て待て待て待て。俺は死霊術師(ネクロマンサー)じゃないぞ。てかここ死霊術師(ネクロマンサー)の根城でもない。俺の迷宮だから。

 別にシレンシア攻めたりもしないから大丈夫だって。安心して進んでくれよ?

 あと二階層ばっかり進めばもう地下大迷宮だ。お目当てのゼーヴェだっている。死霊術師(ネクロマンサー)よりも恐ろしい大量の罠と魔物をもって歓迎するぜ。間違ってもすぐ帰ったりするなよ。

 

「……と、階段か。この上には今度こそレイスがいるかもしれない。気を抜かずに進むぞ」

「「はい!」」

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