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【完結】転生ニートは迷宮王  作者: 三黒
第8章

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228 作戦

解析(アナライズ)――次だ!」

「――創造(クリエイト)雷裂(アイデルツ)!」

「まだ来るよ、気を付けて!」

 

 ボス前最後のモンスターハウス。一行はしっかり迷い込んでくれていて、俺としては嬉しい限りだ。

 

「――祓魔の陣(エクソス)!」

「フルロロロロ!」 

 

 マコトもセコセコ陣描いて頑張っちゃいるが、やっぱり大した火力は出てない。陣の一段目が対単体しかないってのがまたな。

 魔力消費もそこまで多くないみたいだが、どうせ何かするならちゃんと効果がある炎界(ファリジア)とかにすりゃいいのに。

 

「――リョーガ!」   

「――創造(クリエイト)具現化(リディア)!」 

「ありがと!」  

 

 シエルの剣が真ん中からポッキリ折れた……2秒後にはリョーガから新しい剣が手渡される。某パン屋の老夫婦より手際がいい。

 

「終わりっ!」 

 

 流れるように幼体ファリトスを撫で切りにするシエル。言葉通り、今ので最後だったらしい。そこそこ魔力使ったな。エフィは魔術戦とか苦手そうだし丁度良かった。

 

「ナイスだシエル!」

「楽勝っ! ブイ!」 

  

 リョーガに向けてピースサインを作るシエル。にしてもブイって。Vだよな。シエルあいつローマ字知ってんのか?

 

「よし、じゃあこのまま進もうか」

「俺らはいいけど……シルキーさんたちは? 少し休ませてあげた方がいいんじゃないか?」 

「大丈夫だよ。彼女らが直接戦うことはないし。回復を待つ時間も惜しい」

 

 それだと魔力要員としても役に立たないだろ。そこは魔力回復三倍なのを上手く生かすべきなんじゃないのか。単純計算なら三倍だが、魔術に長けてるなら姉妹はもっと早く回復するかもしれない。これじゃ最早何のためにいるのかも分からないぞ。

 

「……そうか」

「僕の魔力は十分だし、マナポーションも残ってる。行こう」   

  

 転移門(ゲート)をくぐる一行。眼前には巨大な門。折角天界モチーフだしってことで荘厳な感じにしてみました。白をベースに細く黄金の金属飾りを乗せて、でもゴテゴテさせすぎずシンプルな感じに。我ながらお洒落に仕上がってると思う。

 

「ボス、だよね?」

「ああ、気合い入れてかないとな」 

  

 リョーガが手をかざす。広がる花畑の中央には、気合十分といった様子のエフィ。

 

「頑張るのだぞ、エフィ!」

「念話で直接言ってやれよ」

「とうに言ったわ! ああ……なんだ……じっとしてはおられん! 童!」 

 

 俺の方を見て距離を詰めてくるリフィスト。な、なんだよ? なんだってんだ?

 

「うむ……なんでもない……童に言うても仕方がないわ!」

「急にビビるじゃねえか。エフィが心配なのか?」 

「そうでは……いや、そうなのかもしれんな。あれでも可愛い使い魔だ」 

「可愛い子には実戦もさせろみたいな諺があっただろ……確か。カインと模擬戦みたいなのもやってたし、少なくともそう簡単にやられることはねーよ。多分な」 

  

 シルヴェルド戦の時点で、既にかなり実力があるように見えた。相手がちょっとチートすぎただけだ。

 

「いきますよぅ――覚悟っ!」

「――解析(アナライズ)!」 

「――解呪(ディスペル)! からの!」 

 

 マコトの解析(アナライズ)が届く前に解呪(ディスペル)。予測してたにしろどういう反射神経だよ。解析(アナライズ)見てから解呪(ディスペル)余裕でしたってか。

 

「彼を貫け――聖雷(イクセアリ)!」 

「――聖雷(イクセアリ)!」

 

 が、続く魔術の方はシエルに相殺された。こっちもこっちで大概だな。 

 

聖雷(イクセアリ)……? 天使か?」 

「しっ、知らない子だよ!?」 

「エフィも貴女なんか知らないですぅ! はあっ――炎気弾(アンファル)!」

 

 エフィの掌から撃ち出されたのは、例の波〇弾。

 

「――創造(クリエイト)解呪(ディスペル)――」

 

 リョーガが打ち消そうとするが、その弾の後ろからそのまま真っ直ぐに突っ込むエフィ。

 

「消えない!」  

「――炎壁(ファレンダ) !」 

 

 マコトが炎の壁でその威力を弱め、その間にギリギリで躱す一行。……が、衝撃波で吹き飛ばされる。

 

「うわ――」

「わわっ――」

「――創造(クリエイト)吹風(ウィレスカ)!」  

  

 リョーガの吹風(ウィレスカ)で上手いこと着地。器用なやつだ。

 

()つ! 熱いですぅ!」 

 

 エフィは炎の壁を避けきれなかったみたいだ。その割には大してダメージがあるようには見えない。

 

「ああ……! エフィ……!」

 

 俺の隣がやたら騒がしいが、本当にほとんど無傷だ。服の端が少し焦げてるくらいか。

 むしろエフィの波〇弾で抉れた地面の方が凄まじいな。軽く隕石降ったみたいになってるぞ。

 

「――創造(クリエイト)雷刺(スェルツ)連展複式(トリプル)!」 

 

 リョーガが雷の弾丸を発射。だが、エフィはこれも見てから回避。そして即拳を構え、突っ込む。

 

「――壊岩拳(ラグァンド)!」

「させないよっ!」 

 

 シエルが割って入って剣で受ける。だがエフィの拳がスッパリいくなんてことはなかった。剣の方もヒビすら入ってない。代わりにシエルの足元が少し土に沈んでる。お互いどういう硬度してんだか。

 

「武器に頼ってその程度ですかぁ? 勇者のお付きに選ばれた割には、案外大したことないんですねぇ!」 

「な、何をう! 目にもの見せたげるよ!!」 

 

 飛び退いたシエルは剣を置くと、拳に青白い電気を纏わせ始めた。こいつもリョーガと同じで雷得意なのか。

 

「やああああああっ!」 

「――風切掌(カンディスト)!」

 

 殴りかかってきたその拳を、エフィは開いた掌で受け止め、その勢いを完全に殺して、止めた。そして空いた左手で首を掴んで、地面に押し倒す。

 素手でやり合ったら確実に勝てると踏んで挑発したわけか。カインといいエフィといい成長してんな。前までの真っ直ぐぶつかってく感じも好きだったが。

 

「うぐ、ぐっ……」 

「貴女の負けですよぅ!」  

「――なんてね。ボクは囮だよっ!」 

 

 なんだって!?

 

「――創造(クリエイト)雷水牢(エクサーム)!」 

「――討魔の陣(アストミス)!」

 

 シエルの言葉と同時に、エフィの体を透明な渦が覆う。次いで光の柱。

 誘い込まれてたのか。挑発に乗ったのもわざとだと。シエルの方が一枚上手だった。

 

「……エフィの、負け、ですぅ……」 

 

 数秒後、解放されたエフィが地面に横たわった。……負けか。今回はあいつらの作戦勝ちだったな。

 

「よし、じゃあ聖焔(フリディア)で――」 

「待ってよ龍牙。もう勝手に燃やすのは無しだ」

 

 お、今回は間に合ったか。だが弱体化された解析(アナライズ)で何ができるってんだ?

 

「ああ、悪い。その前に解析(アナライズ)だったよな」 

「うん。だけどまだまだ元気だし、これじゃ時間がかかりすぎるね。手っ取り早く――」

 

 マコトはしまった短剣を再び取り出すと、構える。

 

「――腕と足でも落とそうか」 

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