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【完結】転生ニートは迷宮王  作者: 三黒
第7章

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180 対談

 アルデムの方での解析は進みが早かったようで、迷宮造りに戻って数時間もした頃には大体の結果が届いた。

 まず、布が怪しいってのはマジだった。大昔に儀式で使われてたような薬品が付着してたらしい。ひょっとしたら時空漂流的サムシングかもしれない。アイラもそんな感じだったし、もう一人の俺もそうだ。こいつがそうでも驚かないぞ。

 で次にシルヴァ自身だが、リフィストが自分に似てるって言ったらしい。元々普通の下級天使(サイティミック)だったが、今のあいつは教会の謎儀式で生まれ直したんだよな。今はリフィストも混ざってこの辺りについて考えてくれてるみたいだ。

 

 俺の作業は順調だった。地下91階から先はボスラッシュ的に今までの階層のボスを雑魚敵として出しまくることにしたわけだが、まず一体一体がそこそこデカい。通路は拡張したしそれに伴って罠の感知範囲も大きくしたりもしていて、配置になかなか頭を使う。と、そんなところにゼーヴェから念話が入った。

 

(ロード、シレンシアより使者が来ています)

(使者? 一体何の用だ?) 

 

 また来客か。シルヴァに引き続き、ここのとこ随分と来客が多い。チラっと時計を見ると、まだ朝の六時を過ぎたところだ。非常識だぞ全く――と思ったが、あえて探索者の少ない時間帯に来たんだとしたら感心だな。

 だがシレンシアからか。普通あんだけ派手に逃げた犯罪者に使者を送るか? 大体、それなら先に手紙の一つでも寄越しそうなもんだ。まあ送られても俺だけじゃ読めないんだが。

 

(用件は保護した子供について、とのことです)

(……おお) 

 

 情報が早すぎる。まだ迷宮内ですら全員知ってるわけじゃないってのに。もしやシレンシアの事故で飛んできたのか?

 場所まで特定したのは凄いな。そういう感知系の阻害結界もそこそこの強度だったはずだし、それこそ宮廷筆頭(アルク)とかを使ったとしか思えない。

 ……ま、Ⅱの騎士みたいにいきなり話しかけてきたわけじゃないしな。話くらいは聞いてやるか。

 

(とりあえず、分かった。少ししたら上に向かうから、応接室に通しておいてくれ。武器も預かっといてもらえるか?) 

(承知しました) 

 

 実はしばらく前に、兵舎とかとは別に設置してあった。応接室っていうか応接小屋だが、作りはちゃんとそれっぽくなってる。ただ全く使う機会がなかったから埃が心配だ。ゴーストがちゃんと掃除してくれてるといいんだが。

 んで……こういうときはどうすればいいんだっけ。アポはなかったが多分公式の対談になるんだよな。一応スーツを着ていこう。シルヴァに俺のを貸してなくて良かった。

 ええと他には、茶菓子とかを用意しとくべきだったか? まあこれはゼーヴェが上手くやってくれてるはずだ。元隊長だし、こっちの文化にも詳しいだろうしな。

 

『エラー:正しい転移先を選択してください』 

 

 ああ、直通の転移門(ゲート)は設置してなかったか。まああそこの警備に人員割くのも勿体ないし、なくても別に困らない。一番近い場所はっと……

 

『転移先を設定しました』 

 

 これで良し。迷ったが武器は置いていく。向こうのを取り上げて俺が持ってるってのもフェアじゃないだろ――いや、ゼーヴェには持っといてもらうべきなのか?

 つーか具現化(リディア)とかあるし、相手にだけ効く簡易妨害結界みたいなのを開発しないと。前に城で渡された腕輪みたいなの。

 

「マスター、対談に向かわれますか?」

 

 と、応接室付近でレルアに会った。何やら洒落た仮面を付けてる。

 

「ああ」

「では私も同行します。後ろに控えているだけですので、ご安心を」  

 

 花〇院! じゃなくて、とにかく一緒に来てくれるのはありがたい。あと、俺がうっかり不利な条約とか結ばされそうになってたらなんか言ってほしい。あの子供の件とは言ってたが詳細は分かってないからな。

 さて緊張してきた。三回ノックして失礼しますとか言った方がいいか? いやまあ流石にそれは冗談だとしても、俺はここの主だからな。もっと堂々としてないと格好が付かない。そうだろ?

 じゃあ開けるぞ扉。深呼吸して営業スマイル、一二の三で、

 

「――ああ、これはこれは! 遠いところをようこそお越しくださいました」 

「マスター殿ですね? 突然の訪問をお許しください。私はアナ、シレンシア騎士団の団長を務めています」

  

 また子供か! と心の中で盛大に突っ込む。アナの見た目は完全に少女、まあリフェアよりは年上かなってくらいだ。凛とした表情がそう見せてるだけかもしれないが。

 で、そんな彼女に握手を求められた。困ったことにこっちは手汗がヤバいんだが、ズボンで拭うのもなんなのでそのまま応じる。小さな手に細い指だ。これは剣とか槍とか握ってないタイプだな。魔職か非戦闘職と見た。

 

 にしても、まさか団長が出てくるとはな。経験から何となく分かるが、まあ見た目通りの年齢ではないんだろう。あと姿勢がいい。華奢で背も低いが、戦闘になったらボコボコにされる気がする。

 つーか、ゼーヴェの微妙な表情はそういうことか。生前の上司だもんな。戻って来いよとか言われたかな?

 

「まず、我々にマスター殿と敵対する意思はありません。未だにシレンシアではお尋ね者となっていますが、騎士団ではあれは冤罪であると考えております」 

 

 おお、話が分かる騎士団だな。聖騎士とは大違いだぜ!

 ……なんてな。シレンシア騎士団だって色々ここに派遣してきてただろ。セリザールなんてゼーヴェの腕切り落としやがったんだ。忘れちゃいねえぞ。

 

「そして次に、先走った騎士団員と、討伐隊についての謝罪をさせていただきたく。あれらは私の指示管理の甘さが原因です。本当に申し訳ございませんでした」 

「い、いえいえ、謝らないでください。こっちも何人かその、殺したりしちゃったんで。過去のことってことで、ここは一つ水に流してもらえると……」

「寛大なお言葉、痛み入ります」

 

 アナは深々とお辞儀した。お辞儀文化こっちにもあったんだな、とか思ってる余裕はない。頭上げてくださいって言うべきか? 忘れちゃいねえとは言ったが別に喧嘩両成敗的な? 丸く収まったというか? とりあえず俺もお辞儀しとくか。

 

(マスター、討伐隊は彼女の指示です。どうやら部下の暴走で片付けたいようですが)

(了解。嘘ついてるってことだな、つまり)

(そうなります)  

 

 レルアには平静を装って返したが、正直マジで驚いてる。今の嘘なのかよ! この感じで!?

 討伐隊は結果的に迷宮の利益に繋がったわけだしいいんだが、こうもサラっと嘘つかれると凹むな。まあ上に立つならそういうスキルも必要か。

 

「それでは本題、本日伺った理由についてですが――」 

 

 俺が嘘に気付いてるとは露知らず、アナは同じトーンで言葉を続ける。

 

「――保護している子供を、我々に返還していただきたい」

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