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旅の前に 17

投稿いたします。

「ザッシュッ!!」


「う!クッ!」

「あれ~、誰が動いて良いと言った?!」


アヒム殿下は振り下ろした剣を引き、相手の右腕を確認していた。


「あれ~、おかしいな? 確かに腕を切り落としたつもりだったのだけど? 君、結構剣術ができるんだ?」


セルバは剣を持つ手で二の腕から流れ出る血を押さえながら顔をしかめていた。


先程は不意を突いたから剣が通ったのか?、実力差がありすぎる。


セルバも全盛期の冒険者クラスはA-だった。

それなのに全く勝てる気がしなくなっていた。

 

「はは、不思議そうだね? この僕の手を斬って、自信でもあったのかな?」


掌をヒラヒラとさせて、手に付けられた剣の傷痕を見せ付ける。


「あの糞ガキ、レンティエンスとの勝負の時もそうだけど、僕は奥の手を使ってなかったんだよ。まあ、あの時の勝負は使うまでもなく勝てると慢心していたから使わずに負けてしまったんだけどね。でも奥の手を使っていたら問題なく勝てたはずなんだ。ああ~! くそ! 今思い出しても胸糞が悪い!」


傷のある手で額を掴み、当時の出来事を悔しそうにしセルバを睨みつける。


「まあ、いい。君をとっとと始末してあの糞ガキを待つとするか。カーナ! お前がやれ!」


アヒムの命令に、今までダルナンに突き付けていた刀を翻し、セルバに対して構えを取るカーナ。

その表情は全く意思を感じられない。


「カーナ様! 正気に戻って下さい! このままでは!」

「無駄だよ。」


アヒムは顎をクイッと小さく突き上げると同時にカーナがセルバに向かって刀を振り下ろす。

セルバは何とか一撃目を剣で受け止めるがその尋常でない剣激に腰を折り、膝を突いてしまう。


「クッ! カーナ様!」


やっとの思いで防いだものの、反撃が出来る余裕は無かった。

カーナはその隙に刀をセルバの剣の上を横へ滑らせ、踏み込んでいた足を軸に急旋回、刀はその勢いのまま最短で回転しセルバの首を寸分違わずに狙いを定め横薙が決まった・・


「ギィンンン!!」


あと、小指一本分程でセルバの首に到達するはずだったカーナの刀が、もう一つの同じ形の刀によって止められていた。


「ほおう、やっとの御登場か。」


アヒムは目の前で起こった事を特に驚くでもなく、カーナの斬撃を止めた張本人に向け余裕の言葉を投げかけた。


「アヒム殿下? ですよね? あなたカーナに何をしたんだ?」


その声にセルバは恐怖し、ダルナンは腰を抜かし床に尻餅をついていた。


なんだこの子は、見た目は10才もいってないまだあどけない姿なのに、この地の底から湧き出る様な冷たい言葉は? 本当に子供なのか? いやそもそも人間なのか?

セルバは、震える身体をなんとか制して、目の前の子供を見つめる。

しかしアヒムはそんなレンの怒りの視線を軽く受け流し笑みを絶やさない。


「何を? ですか? 見れば判るでしょう? この女は私の物になったんですよ。 レンティエンス・ブロスフォード君。」

「!!」

「おっと。」


レンの身体に力が入る直前、アヒムは数歩分飛び後退し、カーナもそれに合わせアヒム殿下の横へと後退した。

残されたレンは、刀の剣先をアヒムに向けながらゆっくりと立ち上がった。

部屋の中に静寂が訪れる。

そんな中アヒムは口角を上げ嫌味な笑みを張り付かせ、カーナは表情を変えずただレンの方を向いていた。

一方レンは立ち上がったまま、静かにアヒムとカーナを交互に観察している。

それは冷静に状況の判断をしている様に見えたが、直ぐ側にいるセルバには全く違って見えた。

憤怒、激怒、そんな言葉が生易しい程の言葉に表せられない、怒りの感情に支配された化け物がそこにいる様に見えていた。


「殺す。」


「おいおい、怖いなあレンティエンス君。そんなに殺気立っていちゃあ、間違えてカーナに剣を刺してしまいそうだよ。」


カーナの下腹部辺りに自分の剣先を突き当てながら、ニタニタと笑うアヒム。

カーナの綺麗な肌から一筋の血が流れる。

読んでいただきありがとうございます。


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