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旅の前に 9

投稿いたしました。

ぜひ読んで下さい。

太陽がほぼ真上にある昼過ぎ頃、ワルダーク男爵の別荘の正門をくぐる2台の馬車があった。

2台の馬車は正門より左回りに進み、別荘の玄関前で停車する。

その2台のうち、後方に位置していた馬車に屋敷の使用人が最初に近づく。

使用人は、馬車の扉を開け仰々しくお辞儀をすると、中から光沢のある大きなフード着きの外套を着込んだ男性が二人、姿を現した。

その二人が馬車を降りると、先頭の馬車へと近づき扉の前に並んで立つと深々と頭を下げた。

それを確認したように、屋敷の使用人が馬車の扉を開けると、今並んでお辞儀をする男性二人よりも豪奢な外套に身を包んだ二人の男性が下りてきた。

一連の動作から、この4人の男性の上下関係が解るが、その人物が誰なのか特定することは出来ない。

なぜなら、この4人共仮面を被り、素顔が見えない様にしているからだ。


「お待ちしておりました。」


この4人が揃う所に、ダルナンが現れお辞儀をする。


「うむ、今日は大勢で押し掛けてすまんな。」

「勿体ないお言葉でございます。」


4人のうち一番先頭に立つ人物が、ダルナンと言葉を交わす。


「おい! 私がわざわざ出向いてやったのだ。期待出来る商品なんだろうな?!」 


そんな雰囲気を無視し、先頭の男性を押しのけるように前に出て来た見るからに若い男性が、ダルナンに向かって不遜の態度で言い付けるが、ダルナンは特に動じること無くさらに頭を下げ対応する。


「は、此度はこの様な奥地までお越しいただき恐悦至極にございます。商品に関して最高の物を取り揃えたと自負しておりますれば、ご期待頂ければと存じ上げます。」


「そうか。なら楽しみにしてやろう。」


横柄な態度をとり続ける男はそう言うと、近くにいるメイドに案内するよう顎で指図する。

そのメイドはダルナンに視線を向け指図を待つ。


「それでは、皆様、控えの間にて先ずはお寛ぎ下さい。今日はグローデン産の極上のワインをご用意いたしておりますので。」


頭を下げながら先程のメイドに屋敷への案内を目線で促すダルナンに、メイドは4人の男性を屋敷の方へ誘導していく。

その四人の男の後を、ダルナンと使用人達が続き屋敷へと入っていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「それでは、予定通り明後日に商品を発送すると云うことで宜しいでしょうか?」


ダルナンは、控えの間でソファーに座り寛いでいる4人の男性に向かい確認をしていた。


「ん、予定通りで問題ない。そなたは護衛の手配を頼む。」


この4人の中で取り仕切っている男性が、向かいに座る一番小柄な男性に指図すると、その小柄な男性は、ソファーから立ち上がり、一礼する。


「はっ! それでは我が配下の騎士団から精鋭を6名付けさせていただきます。」

「ん、よろしく頼む。」

「それより! ゴルード伯爵! まだ商品の品定めはまだか!?」

「ごほん! 名前は呼ばないようお願いしておりませんでしたかな?」

「あ、ああ、そうだったな。それより商品の方は!」


若い男性が、一人の男の名前をウッカリ喋ってしまったようだ。

その事を諌めるゴルード伯爵は、やれやれといった感じで肩をすぼめ、仕方がないと手を広げて見せる。


「ダルナン、今回は10名の商品のうち、一人、魔法石の加工技術で突出している者が居ると聞いておるが、値段はどれ程とお考えか?」


今まで喋っていなかったソファーに座る細身の男性がダルナンに聞いてきた。


「はい、その者は魔加工技術も今まで送らせていただいた者の中でも最高の魔工師であり、少し幼さが残る顔ではありますが、後数年もすると相当な美貌の持ち主になると思っておりますので、最低でも2000万エルンからのスタートになるかと。」

「ほー、それは凄い。オークションでの状況では相当の高値が付きそうですね。」


細身の男は、仮面の下に見える口元を上げ嬉しそうに話す。


「はい、その他の者も、最低基準は全て到達する逸材ばかりですので、今回のオークションでは相当の金額をお渡し出来るかと。」


ダルナンは、今回の商品にかなり自信を持っていたので、細身の男とその奥に座る、纏め役の男性に告げる。


「ふむ、スバイメル帝国は、魔宝石の加工技術と魔道具、魔装具の開発、生産に秀でた国であるが、その技術者の育成に現在かなり困窮しておる。それは現在の皇帝の指導力不足が原因だが、それを憂いておられる御方がスバイメル帝国の未来の為と我等に助力を求めて来られた。我等はそれに共感し力添え出来ればと考え国内の魔工師を送る事に決めたのだ。」


纏め役の男が自分達の行いの正当性を確認する様に話すと、皆が一応に頷いていた。


「ハハ、そなた達には本当に世話になっておる。これで我の政策が有用性があると重鎮達に認めさせれば、現皇帝の愚かさを認めさせる事が出来る。その為にはもう少しご助力して戴く必要がある。」

「はい、承知しております。しかし、スバイメルでは高い技術力を持つ魔工師を手元に置くことがステータスというのですが、さすがは技術力を誇る帝国ならではですな。」

「当たり前だ。自分の配下にどれだけの魔工師がいるかで、その家の価値が決まると言っていいからな。しかもどうせ手元に置くなら、美しい者の方が良いに決まっておる。」


胸を張り自信満々の若い仮面の男は当たり前だと言いたそうに踏ん反り返っている。


「まあ、それが私どもには、高値に繋がるのですから我等にとっても益が出るので文句もありませんがな。」


そんな話をしていると、一人のメイドがダルナンの元へと静かに近づき、耳元で何やら囁く。


「ふむ、さて皆様、準備が整ったようですので、これより正面の台に一人ずつ紹介致しますので視察の程よろしくお願いします。」


ダルナンの声と共に、4人の仮面の男性は、部屋の置く少し広く間を取ってある場所の一段高くなった舞台の方に視線を集中させた。

読んでいただき有り難うございます。

これからも宜しくお願いします。

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