レンは確認する1
あの後、母様と色々お話をして、楽しい誕生会を過ごした僕は、いつもの様にお風呂場に向かっていた。
こうして考えると、前世の記憶があって確かに20才を超えた男だったという感覚はあるのだけど、それほどメイドに世話をされるのに違和感は感じないし、7才の男の子という感覚もそれほど気にならないようだ。
ただ、男の子という事は変わりないので、あんなに美しい母様の顔や胸が近くに感じられると、ちょっとドキ! とするのは正常な証だろう。
そういえば、父様はあれ以来帰って来なかったね。
きょうは夜遅くまで修練されるんだろうな。
多分、母様も付き合うみたいだし、仲良い脳筋夫婦だね。ある意味羨ましいよ。
なにせ、前世では彼女もいなかったし、恋愛どころか異性とあまり喋った事無かったもんな。
せっかく新たな異世界で生活させてもらえるんだから感謝して、今度こそ良い人生を全うしよう!
「あ。ここだ。行き過ぎるところだった。」
僕はお風呂場の入口の前に立つ。入口には扉はないが、この世界フェルナールの言葉で男、女の字が書かれている人の背丈程ある暖簾が垂れ下がっていた。
僕は男と書かれた暖簾をくぐり、脱衣場に入る。
「お、お、お待ちしておりゅましゅた! レンティエンスしゃま!!」
勢い良く挨拶をし、その勢いのまま頭が膝に付くんじゃないかと思うほど深くお辞儀をする、メイドのレコナ。言葉は噛み噛みで、顔は見えないけど、体中が赤く染まって湯気が出てるように見えるほど、緊張しているのがわかった。
ガバッ!!
「す、すみません!すみません! すみません!!」
今度はいきなり顔を上げたかと思ったら、何度も謝りだして、何度もお辞儀を繰り返しはじめた。」
相当、恥ずかしかったのかな?
「もう、いいよ。そんなに頭振ったら、目眩するよ? それより、今日はレコナさんなんだ。」
僕が声を掛けると、お辞儀を止め今度は僕の顔をジーと見つめだしてきた。
「わ、私の名前を覚えて下さっているんですか?」
「え?そりゃあ勿論だよ? 家のメイドさんや、使用人さんの名前覚えてないと不便でしょ?」
まあ、僕もほんの少し前に前世の記憶が覚醒して、若干記憶が混乱している部分もあるけど、家で働いている人の名前は普通に出てきてるので少し安心していた。
「いえ、この前私がお世話にした時には名前を呼んで頂いておりませんでしたので、ちょっとビックリしてしまって。」
なるほど、少し記憶を整理してみるか。
そう言えば、前回って、え?3ヶ月前?そうか、こういう身の回りの世話は、カーナって僕専属のメイドさんがしているんだ。
で、時々カーナは、冒険者組合に登録している冒険者でもあるので、臨時指導として屋敷を空ける事があるんだ。
その時にこうやったレコナさんのように代理が立てられるわけだ。
その時は、僕は恥ずかしくて名前を呼べなかったみたいだな。
今は、精神年齢が上がったから、大人の対応が出来るので名前を呼べた訳だ。
「ごめん、その時はカーナ以外のメイドさんにお世話してもらう事が少ないから、恥ずかしかったんだとおもう。もしかして名前呼んで貰えなかったって思って悲しい思いさせた? ごめんね。」
うん、女の子を悲しい思いにさせたならちゃんと謝るべきだよね。
「そ! そ!? そんな! 滅相もございません!貴族様が私達に気軽に声を掛ける事自体、稀な事だと聞いております。けれど、このお屋敷のご主人様や奥様、そしてレンティエンス様はとても優しく接してくれますし、こうして名前を呼んでいただけるなんて幸せな事なんです。」
ん~そうなのか? それぐらいで幸せと云うのはそれはそれで問題な気がするけど、取り合えず僕の周辺の子は幸せであって欲しいな。
「そ、それでは、お!お、お召し物をおとりいた、いた、いた!します!!」
あ、また緊張してる? そんなに緊張すると僕も・・・あれ?と云うことは僕は裸になるのか?
「あ、あのレコナさん? 歳って聞いていい?」
「え?あの、15才になりますけど?」




