旅の準備 2
投稿致しました。
4月21日サブタイトル変更いたします。
「シア様、どうでした?」
システィーヌがバルコニーに設けられた白いテーブルを一緒に囲んでいるシアに向けて聞いていた。
「はい、とっても新鮮でした。それに結界魔装具もうまく機能しているせいか、極く身近にいるレン様やリーシェンさん、カーナさん以外感情が流れ込むような事はありませんでした。」
「そうですか。それは上々です。最終的にはエルフの里で修業してもらって。加護の力を制御出来れば今の様な状態を魔装具無しでいけるのではないでしょうか?」
「はい! 頑張ります!」
シアの言葉に意気込みを感じる。
シアもずっと思いつづけていたのだ。レンが7歳になり加護を受け貴族として大人の仲間入りをする日を。
自分の加護は人の心を容赦なく暴いてしまうもの。それは一国を治める王家と考えればこれ程、有用性のある加護等他には無かった。
つまりそれは、シア本人の意思に関わらず政治に利用されると云う事。
でも、それは王家の人間の宿命でありそれ自体はシアも覚悟は出来るはずだった。
しかし、その余りにも強力な、神の名を持つ加護は、シアに制御させる事無く一日中頭の中に入っ来て、その度に人の醜さを知らされるのだ。
(そういえばレン様が言っていたわ。神の名を持つ加護の共通する力を。それは、常時発動だって。)
レンは神の加護について小さい時から色々と考えていた。
確かに強力な力というのはわかるが、それならば、神の名が付かない加護でも物凄く強い人は結構いる。その代表がリーシェンやカーナだ。
彼女達は神の名は無い。けど鍛練と工夫で大きな力を手に入れている。まあ元々センスの固まり見たいな二人だからここまで強くなれるんだろうけど。
その上で僕の眷属になって神域に踏み込んでるらしいので、母様とも対等に修練ができるのだろう。
では、神の名は何が違うのか?
そう思ったレンは母様やシアの事などを色々と調べ、その結果をある程度こうではないか?くらいには結論を出していた。
それは、常時発動。
特に顕著だったのが、母、システィーヌの話を聞いてからだ。彼女はレンと同じ歳に加護を受諾している。その時から彼女の生活は一変した。
自分の意識とは関係なく勝手に加護力を使ってしまうのだ。
使うというのも語弊がある。何しろ使っている意識がないのだ。それなのに使ってしまう。つまり動作が早すぎる、周りの動きが遅すぎるという減少が普段の生活の中で起こってしまったのだ。
つまり、常時無意識に発動しているものが、神の名だということ。
それはシアの場合、かなり精神を蝕まれる危険な状態になるということだ。
ただ救いだったのは、ブロスフォード家では加護が発動していても逆に温かな気持ちにさせてくれる事だった。それは精神安定剤であり、レンはシアにとって心の支えであり病んだ心を癒すかけがえのない存在になっていた。
(今度は私がレン様の役に立つ番。必ず加護の力を制御出来るようにしてこれから二人でこの国を育てていくパートナーになってみせる。 あ!四人だった。後でカーナさんに怒られそう。でもちゃんと私がレン様の役にたつと確信出来たら、もうちょっと甘えさせてもらおうかな? いえ、キ、キ、キ、キスとかおねだりしてもいいかも、キャーーー! でも、でも、こ、婚約者ならと、と、当然よね、そ、そうよ! 婚前とはいえ、キ、キ、キスの一つや二つ!)
少し思案に更けるシアに、言葉を掛けようと思うシスティーヌと妃だったが、その表情を見てもう少し眺めていようと互いに視線で確認しあい、コロコロと変わるシアの百面相を楽しむ事にしたのだった。
「コンコン」
「どうぞ。」
そんな中扉をノックする音に反応してシスティーヌが了承の言葉を送った。
「お妃様、母様、失礼致します。」
僕は、母様達がいる部屋の前に立ってノックをする。
すると間髪入れずに母様の声がした。
さすが僕の気配を感じたんだろう。もう少し修練積まないと母様には勝てないな。
「ガチャ」
「失礼致します。お妃様、母さ、、?」
僕が部屋に入ると、人差し指を口の前で立てて、シーっと言っているような動作をする二人が目に入った。
「どうしました? シア?」
不思議に思っているとお二人が指を指し示しているので、そちらに目線を移すとシアがなんか変な笑みを表情に浮かべて身悶えしていた。
それを訝しく見ている僕に今度はお二人が手招きするのでそちらに移動すると、そのシアの前に立たされていた。
「シア、レン君が来られましたよ?」
お妃様が少し強めの口調でシアに声を掛けると、今まで両手で自分の頬を宛がいながらクネクネと体をよじっていたのが、一瞬で止まりシアの視線が僕のことを捕らえる。
「バッチーーーーン!!」
な!?何が起こった!?
一瞬。僕の思考は止まっていたと思おうが、それが徐々に覚醒して行くにつれ、頬に熱っぽい痛みをジンジンと感じだしていた。そして少し目線を戻した所にはシアが顔を真っ赤にし涙目になりながら右手を降りきっているような体勢で固まっていた。
そして、何故か後ろの方では母様達が涙流して笑い転げていた。
取り合えず訳がわからない僕はシアにゴメンと謝りながら、母様達をキッと睨んでおいた。
よく解らないけど、母様のまた悪戯だろうと決定して後でお説教することに決めた。
読んでいただき有り難うございます。




