冒険者ギルド 7
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本部長の腕が上に向くと同時に、跳ね上げられた黒の大剣の切先も上を向いていた。
ほんの一瞬前までは、リーシェンの体を斬る軌道にいた剣は、今あらぬ方向を向いている。
そしてその剣に合わせるように槍の柄が大きく弧を描く様に追随していた。
それはリーシェンが剣が自分に届く瞬間、前方に流れる体を利用して前宙し、そのままの回転力で槍の柄を大剣に下から振り上げたのだ。
リーシェンはその勢いのまま宙返りし一度足を地面につけるとその勢いを殺し、今度は体が大きくのけ反る。
そして本部長へ、目では追えない程の速さで追撃をかけた。
「・・・・・・・・・・・・・」
訓練場から音がしなくなった。
今起こった出来事に付いて来ている者が何人いるだろうか?
この静けさはそれが叶わない者が殆どだという証だろう。
僕はリーシェンの勝ちは判っていたけど、相手の本部長もさすが母様に鍛えられた方だと思える程には凄かったと思えた。
ただ、リーシェンがそれ以上に凄すぎるんだけどね。
母様曰く、天才のカーナ、秀才のリーシェンって良く言ってたのを思い出した。
僕は再び視線を訓練場の中央の二人に向けると、そこには剣を下ろし地に付け、リーシェンの槍先を喉元に突き付けられ身動き出来なくなっている本部長の姿があった。
「おーい、パルワ君! そろそろ終了の合図を出して貰えないだろうか? さすがにこの体勢のままでは身がもたんよ。」
「え?ええ??」
パルワさんが目を大きく見開き今目の前の状況を把握するのに時間を費やしているようだ。
パラディオ本部長の言うのも当然で、リーシェンは終了の合図があるまで多分この大勢を崩すつもりはないのだろう。
もし、一瞬でもパラディオ本部長が動けば自動的にその喉元に突き刺さる寸前の刃が一瞬で前に突き出されているはずだから。
こういうところリーシェンの真面目さと用心深さが出ていると思う。
カーナだったら自分から離れてしまって勝手に帰ってくるだろう。
「え?! その、はい! この勝負リーシェンさんの勝ちとなります!!」
「うおおおおおお!!」
パルワさんの勝敗の宣言の声を聞いて、訓練場に集まっていた冒険者やギルドの関係者から大歓声があがった。
「あの新人! 本部長に勝っちまいやがった!」
「すぐに勧誘しろ!」
「お姉様とお呼びしていいですかあ!?」
等など、本部長に勝ったと言うことが相当に凄い事だったらしい。
「パルワさん、ちなみに本部長さんって冒険者クラスはどうなんですか?」
僕は今のリーシェンに対しての戦闘能力が気になったので目安になればと思って聞いてみた。
「は、はい、あの~ですね・・・・・・」
何か歯切れが悪いね。何かあるんだろうか?
「あのう駄目なら駄目でいいですけど?」
「い、いえそんな訳ではありません。本部長は現在も現役の冒険者でクラスはSです。国内に5人しかいませんね。」
え? Sクラス? 国内に5人しかいない? ええ!? そんなに強い人だったの?
「あれ? レン様知りませんでした?」
カーナが不思議そうに聞いてきた。
「聞いてないぞ! そんな凄い人なら先に言っといてよ!」
「私言ってませんでした?」
「言ってません!」
悪ぶれもせずそうかあ、とか言いながら微笑んでいるカーナだった。
知ってたら良いとこ見せて後は全力で負けさせたのに。
これは後で面倒そうな事になりそうな気がする。
「あれ? そういえばカーナってBクラスだよね? リーシェンと互角なのにどうして?」
「え? そんなの決まってるじゃないですか。私はレン様だけのメイドなんですよ?冒険者の依頼は最低限の数しかこなしてませんし、それにクラスアップの試験を受けてませんから。」
「どうして?依頼量はともかく、クラスアップ試験も出ないなんて。」
少し考えたそぶりを見せてから答えるカーナ。
「ほら、やっぱり面倒くさいじゃないですか? それにSになんかなったら引っ切り無しにギルドから依頼されてレン様と居る時間が少なくなって嫌ですから。」
そんなちょっと頬赤らめて言わないで欲しい。
そんな可愛いと思ってしまったカーナに何もいえません!
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