冒険者ギルド 6
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「・・・・ 始め!!」
パルワさんの合図が訓練場に響き渡った。
その瞬間、パラディオ本部長の姿がその場から忽然と消え、一瞬リーシェンのみがその場に立ち尽くしている様に見えた。
「え?」
観客席から、誰ともなく声が出た。
それは驚きと言うより、今何が起こったのか解らないと云った感じだった。
「ガッキン!!」
次の瞬間、金属同士の甲高く鈍い音が耳をつんざいた。
「レン様! リーシェンさん凄いですね! 私見えませんでしたよ、リーシェンさんの今の動きは!」
シアが今の初撃を見てリーシェンの動きは見えなかったと言って驚いていたけど、あれ?もしかして。
「シア、もしかしてパラディオ本部長の動きは見えたの?」
「え? ええ、見えましたよ? それがどうかしました?」
ん? パラディオ本部長の動きって常人よりは、かなり速いはずなんだけどな?
「レン様、シア様の言葉、気になります?」
僕の疑問が判ったようにカーナが聞いてきた。
「カーナは、どう見えたの?」
「はい、確かに本部長さんの動きは常人離れはしていますが、システィーヌ様の戦闘訓練を受けていたシア様からしたら見えない速さではないはずですよ。」
「え?! シアって母様の訓練を受けてたの?」
「はい、自分の加護を制御したいと云うのと、将来レン様の足手まといに成らないようにと自分から志願して訓練を受けておいででした。」
そうか、当初のイメージとはだいぶん違うけど、シアはシアで本当に頑張ったんだろうな。
でも、あのパラディオ本部長の動きが見えるって事は案外・・・
「レン様! どうしたんでしょう? リーシェンさんとパラディオ本部長様が全く動きませんよ?」
シアの事を色々考えていたら、そのシアの声でクラス試験の方に意識を向き直した。
「全く動きませんね。と言うよりはパラディオ本部長が動けないようですね。」
カーナの冷静な指摘に僕も頷くしかなかった。
一見、パラディオ本部長の大剣が、リーシェンの金属製の槍の柄と組み合い、力が拮抗しているかのように動かないで見える。
これはこれで眼鏡をかけてどちらかと云うと知的超絶美女のリーシェンがパラディオ本部長の攻撃を抑え、力対決でも拮抗しているだけで驚愕の実力だと普通なら見られるんだろうけど。
「おい、あの眼鏡美人、本部長の攻撃を受け止めたぞ!?」
「まあ、偶然かもしれんが、それでも凄くないか?」
「ああ、だけど本部長の方が上背を生かして上から押し込む体勢になってるから、彼女もここまでじゃないか?」
後ろの観客席で見ている冒険者達の声が僕に届く。
ちょっと、ムッとなってしまった。
身内が下に見られるとやっぱり良い気分はしないもんだね。
「ギ、ギギッギギギギイギ!」
剣と槍の金属が擦れ合う音がする。
良く見ると解るが、パラディオ本部長の二の腕がプルプルと震え出している。
顔も鬼の形相でリーシェンを睨みつけてるけど、そのリーシェンは表情一つ変えずに対抗していた。
「クッソー! なんだってんだ! 全く動かん!」
「パラディオ様、どういたしましょうか? このまま続けても宜しいでしょうか?」
リーシェンがパラディオ本部長にお伺いを立てている。
それにパラディオ本部長はフッと苦笑いをしてリーシェンを睨みつける。
「たいした自信だな? たしかに圧倒的に俺の方が実力不足なのは認めよう。だが俺もシスティーヌ様に鍛えられた者として簡単には敗北は認められんからな。もう少し付き合ってもらうぞ!」
そう言うが早いか、今まで黒の大剣を力任せに押し切ろうとしていたのを止め、剣をリーシェンの槍の柄に纏わり付いているように動かす。
そして自分の体も剣に合わせ半身の体制になりそのまま前へ一歩踏み出した!
するとパラディオ本部長の押しに合わせ力を出していたリーシェンは、前にいた重しが失くなった事で体が前に流れてしまう。
そこへ狙い済ましたようにリーシェンの脇腹目掛けて大剣を横薙にする!
その剣はリーシェンの装甲の薄い脇腹に後、小指一つ分程に迫った瞬間、本部長の剣を持つ手が、大きく上に持ち上げられてしまった!
「!! なっ!?」
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