お披露目13
投稿いたします。
宜しくお願いします。
僕が構え直した事で殿下も剣を構え直してきた。
「さ、さすが剣聖システィーヌ様のお子だ。御見逸れしたよ。しかしどうやって私の加護の力を防いだのだ?」
お?自分が卑怯な手を使ったのに、さも始めから加護の力を使う事も当然の様に言い出したぞ。
まあ、別に良いけどね。
今回の件でフォレスタール王国にも、スバイメル帝国にも伝わってアヒム殿下への不信感は大きくなるだろうから、今回は良しとしたいんだけど、これが帝国自体がからんでるなら、ちょっとややこしくなるな。
取り合えず種明かしはしておくか。
「別段、難しい話じゃないですよ? 殿下の目を見ないようにしていただけです。」
「は? それだけなのか!?」
「はい、それだけです。」
これが本当に開いた口が塞がらないと云う言葉を実践してくれる姿の殿下だった。
「な、何故だ! そんな対策でどうして防げると思ったんだ!」
「それは簡単です。殿下の加護の名前が、魅了の眼差し、ですからね、目に関するものであることは疑いようがありませんし、ならば視線を合わさなければ大丈夫ではないかと。」
実際、前もってシアに殿下と視線を合わさないように言ってあり、案の定シアが魅了されないと殿下が怒ってたからな、加護の力を使用したにも関わらず効かなかった事と、結界魔道具に関係無く使えるのであれば、予想通り魔法ではないと判断出来たし、対策も間違ってないと判ったからね。
「姫を守る騎士として、事前に殿下の事について色々調べておりますので、まず間違いないと判断して、姫様にもその対策を言っておいたまでの事です。」
「この美しい私が見つめれば視線を外す女性など、いや男性でも居るはずがない!」
うわ、ナルシストだ! 自分愛が異常なタイプだ!
こんな奴にシアや下手すると僕が支配されたら、どんな仕打ちが待っていたかと思うとぞっとする。
まあ、これで卑怯な手段を取ったアヒム殿下の負けが認められれば終わりだ。
「とにかく剣士の戦いで加護の力を使うのはどうなのですか? それにいかにも加護の力を使用できないように偽る魔道具の小細工も問題があると思うのですが?」
僕の問いに直ぐに答えるでもなく、かと言って取り乱す事もなく黙って下を見つめていたアヒム殿下。
「・・は!良いだろう! 加護の力に対して良く対処したと褒めようではないか! 但し! 剣技については先ほども言った事に変わりは無い! それでは騎士として認める事は出来んな!」
この期に及んでまだ強がって見せる殿下だが。
まだ判って無いのかな? 殿下に合わせて相対していたんだけど判らなかったのだろうか?
ここは実践で理解してもらうか。
「そうですか。では仕方がないです。少し本気になってみますので防いでみて下さい。ボルドール候爵様、今一度開始の合図をお願いします。」
「お? おお! 相分かった! 双方良いな?」
ボルドール候爵様が僕の提案に頷き再戦を促してくれた。
「良いだろう! 剣技の、そして騎士たる者はどういう者か解らしてあげよう! 来い!」
僕とアヒム殿下は再度剣を構え直し、相手を睨み合だす。
一瞬の静寂が流れ、周囲の唾を飲む音までが聞こえてくるようだった。
「始め!!」
「!!!!!!」
一瞬だった。
僕は、魔力を体に満遍なく巡らせ、身体の強化を図ると同時にアヒム殿下目掛けて一直線に飛び出した。
殿下はまだ動こうとしない。いえ動こうとしているのだがその速度差が有りすぎるのだ。
殿下が踏み込もうと少し足が沈んだその一瞬で、僕の剣は殿下の喉元に目掛けて突き出していた。
「殿下!! そのまま動くと死にます!!」
審判である、ボルドール候爵の大声に、殿下の体が一瞬で固まる。
多分、ボルドール候爵の威圧で殿下を萎縮させたんだろう。
さすが、国軍のトップを預かる人だと僕は感心すると共に、警戒する必要がある人物と認識した。
それにしても助かった。
さすがに僕の一手に追いつけないと思って踏み止まると思ってたんだけど、全く僕の動きが見えなかったんだろう。
そのまま前に踏み込まれていたら、自ら僕の剣に首を突き刺していたはずだ。
取り合えず、ボルドール候爵には感謝しておかないといけないね。
「勝負有り! 騎士、レンティエンス・ブロスフォードの勝ちを宣言する!」
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