お披露目 6
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今、何て言ったあの皇子は?
『魅了の眼差し』とか言ってたな。
余りに小さい声だったから多分近くにいた僕ぐらいしか聞こえなかったとは思うけど、確かにそんな言葉を言っていた。
魔法?魔術の類? いや加護か! まさかそんな加護を持っているのか?
アヒム殿下は、不思議に思うシア姫の顔を鋭い目つきで見続けるが、シア姫の顔がどんどん険しくなるにつれ、眉間にしわを寄せ唇の端を噛みはじめ、悔しそうな顔になっていった。
「どういう事だ! こんな事はあるはずがない!」
突然、シア姫の前で叫び出すアヒム殿下に周囲の貴族達も体をびくつかせた。
「で、殿下! 気をお静め下さい! どうかこちらへ!」
慌てて、ジルデバル辺境伯の金魚の糞であるゴルード伯爵がアヒム殿下のところに駆け寄り、手を引きジルデバルのところに連れていった。
その様子を青ざめた顔で呆然と見つめていたシア姫のところに僕は近づき、震える手を僕の手で包むように持つと、ようやく表情が和らぎ、僕の顔を見てくれた。
「シア、大丈夫? ちょっとびっくりだったね。少し椅子に座って休むといいよ。」
僕はシアの手を握ったまま椅子の方へと連れて行き座らせる。
そのまま正面に回って膝を付きシア姫の顔を正面から見つめてあげる。
「レン様、あれは一体何だったんでしょう? 何か異質なものが彼の瞳に宿っているようでそれが物凄く怖かったんです。その瞳の奥の深遠に心が引きずり込まれそうな、そんな感じがして・・・」
思い出しながら言葉を綴るシアの未だに震える手をもう一度力強く握りながら僕はシア姫の瞳を覗く。
「殿下のその深遠はたぶん加護の力だと思います。『魅了の眼差し』それが殿下の加護の名だと思われます。」
「『魅了の眼差し』? ですか?」
「はい、先ほど、小さい声でしたけど、自分で言ってましたからね。その加護の力をシアに掛けようとしたんだと思います。」
「レン様、それってどういう加護なんですか? 殿下は精神防御の結界魔道具をかなりつけておられて、私の加護は完全に跳ね返されてしまい判りませんでした。本当はすこしでもレン様の役に立ちたくて、殿下の弱点でも判ればと探ってみたのですけど。」
そんな事考えていたんだ。
本当は人のしかも嫌な王侯貴族の心の中なんか見たくもないはずなのに、僕の為に頑張ってくれたんだ。
そう思ったら、シアがとっても可愛く愛おしく思えた。
僕は彼女を守らなきゃいけない。
本当の意味でそう思った瞬間だった。
「ありがとう、シア。僕の為に頑張ってくれたんだ本当にありがとう。」
僕はそう言ってシアの手に敬愛を込めてキスをする。
シアは顔を真っ赤にして先ほどまでの青ざめていた顔がうそのようににこやかになっていた。
さすがに格好つけすぎかな? どんどんそれが様になっていってる気がする。
少し自重しよう。
「殿下の加護は、自分が見つめた女性を虜にしてしまうのではないでしょうか? まあそれだけとは思いませんけど。」
僕の言葉を聞いて、今度は頬を膨らませ怒りの表情をするシア姫。
だけど、怒りというよりプーっと膨らます頬の仕種は可愛らしいと言った方があっている。
「なんて卑劣な! 私の心はレン様以外は入れないというのに! 馬鹿な男です!」
「あ、ありがとうございます。」
僕がお礼を言うと、自分の言った言葉が恥ずかしかったのか顔を真っ赤にして俯いてしまった。
う~ん、これほど可愛い女の子は他にいないかも?
「!!」
そんな事考えていたら、涙目になってカーナとリーシェンの視線が僕に突き刺さって来た。
ごめんなさい!!ここにも可愛い女性が二人いました!
カーナとリーシェンは頷くと今度はニッコリと微笑んでいた。
あれ?今の僕の心の叫びが聞こえたのか?
シアに限らず、女性って皆、心が読めるんじゃないのか?
読んでいただき有り難うございます。




