お披露目 5
投稿いたします。
ぜひ読んでやって下さい!
スバイメル帝国の皇子アヒム殿下
この方がシア姫の婚約者として名があがった人か。
それにしてもチャラいというか軽薄そうなイケメンにしか見えないんだけど、女性貴族からは黄色い声援が飛んできてるからいい男なんだろうか?
僕がそんな風に考えていると、リーシェンが後ろに近づいて僕の耳元に顔を寄せてきた。
「レン様、アヒム殿下はこの数ヶ月前から、ジルデバル辺境伯の招きでこのフォレスタール王国の魔法学院に留学されておられ、その学院での成績が優秀で女学生から絶大な人気だそうです。それ以外にもジルデバル辺境伯主催のパーティー等に必ず訪れ、その仕種や言葉の巧さで女性陣の心を掴んでしまうようです。」
なるほど。
そう言われれば綺麗な金髪に青い瞳が映える端正な顔立ちだとは思うんだけどね。
「リーシェン、アヒム殿下って格好良いと思う?」
僕がそんな事を聞いてみると、あからさまに嫌そうな顔をするリーシェン。
「虫酸が走ります。気持ち悪いです。女性の敵です。生理的に受け付けません!」
酷い言われようだな。
でも、否定はしないけどね。
それからアヒム殿下はゆっくりとシア姫と僕達がいる玉座の間へと近づきその間近まで来ると膝を下り王への礼をとる。
「フォレスタール王よ、この度はファルシア姫様のお披露目と御公務復帰をスバイメル帝国を代表して心から御祝い申し上げます。」
深々と頭を下げるアヒム殿下に、国王が玉座を立ち、前へと進む。
アヒム殿下の前まで来ると、精一杯胸を張り威厳を出そうとする国王。
「よくぞ参られた。アヒム殿下の祝辞、確かに頂戴いたした。それでは本人からもお礼の言葉をのべさせよう。」
そう言ってシア姫の方を振り向くと、手招きでこちらに来るようにと促す国王。
側にいる僕はシア姫の緊張感が判る。
今まで人を寄せずにおられた姫にとってこの場の事は、生涯でも最大の障壁なのだと僕も感じられた。
僕はシア姫の側に寄って小さく言葉を贈った。
「大丈夫です。どんな状態になろうと僕はシアの側に必ずいるから。」
シア姫は顔の向きを変えずに僕の言葉を聞き、ゆっくりと深呼吸をした。
そして椅子から立ち上がり、アヒム殿下の方へ数歩歩き殿下の前へと立った。
「アヒム殿下、この度は私のために参じていただき、祝辞のお言葉を頂戴しましたことお礼申し上げます。」
シア姫はゆっくりとカーテシーを決め堂々とアヒム殿下に対応した。
もちろん僕も側に寄り添い始終を見守っていたが、その時アヒム殿下が僕の方を一瞬見て笑った様な気がした。
多分僕との模擬戦を楽勝とでも思っているのかな?
「シア姫、さすがファルシア王国の至宝と言われる美しさですね。このアヒム、あなたの様との婚約のお話を一度反故にした帝国の上層部に怒りを感じずにはおられません。本当に申し訳ございませんでした。その上でわたくし個人といたしましてはもう一度チャンスを頂けるのであれば姫様と親密にさせていただきたく存じ上げます。」
突然アヒム殿下がシア姫に向かって手を指しだし誘うかのような仕種をみせる。
一瞬前に出るかとも思ったが、それ以上変な動きは無かったので取り合えず静観する事にした。
「ありがとうございます。当時は私にも体調面で不安な時期でありましたので、帝国の方々もそれを危惧されていたのだと思います。当時の事はお忘れいただき、これからは良き隣人としてお話できればと思います。」
シア姫もなかなか堂に入った物言いをされるじゃないか。
それでも心配になったのか僕の方に一瞬視線を向けられる。
それを僕が大丈夫と目で合図すると少しホッとした表情になってくれた。
「それでは、アヒム殿下、パーティーの方ゆっくりと楽しんで下さいね。」
「ファルシア姫! それだけですか? 何か私に感じませんか?」
シア姫が下がろうとした時突然アヒム殿下が話出してきた。
その様子は何か予定と違うというような驚きの顔だった。
「何かとおっしゃいますと?」
「いや、この僕にときめいたとか、もっと話したいとか、側にいてほしいとか思いませんでしたか?」
おい、何言ってるんだあの皇子。
いくら自分がモテるからと言って、すべての女性がそうなるはずないだろうに。
だが、その皇子はそれが不思議でならないとばかりに少し動揺しているようだ。
「馬鹿な、僕の魅了の眼差しが効かないだと?」
有り難うございました。




