お披露目 4
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「判っております。ただその息子が母親と同じ程、剣技が凄いとは限らないのではないですか? 私どもは、はっきり言ってそんな天才が2代にわたって世に生まれるなんて信じられないのですよ。もし、その技量が未熟なもので、万が一姫様に何かあった時にそれが露呈しても遅いのですぞ?」
まあ。言っていることは正論だな。
僕の強さなんて僕にも判らないもの。
だって身内以外と戦ったことなんか無いからね。
ブルディウス宰相は、少し考え込んでしまった。
どうするつもりなのか?
まさか、姫様専属近衛隊の就任を見直すつもりなんだろうか?
「判りました。確かにゴルード伯爵の言っておられる事も一理はありますが、どうすればその証明となるとお考えですか?」
「おお!判っていただけますか! それでは申しますが、その者が姫様を守る騎士として相応しいか、我等の前でその実力をお見せ願えませんかな?」
おお、そうきましたか。
ただ、あまりにも真っ当過ぎる内容にゴルード伯爵の考えが今ひとつ解りかねるな。
まあ、裏で糸を引いているのはジルデバル辺境伯だろう。
ゴルード伯爵はジルデバル辺境伯の一派だとリーシェンから聞いているからね。
「では、剣聖であるシスティーヌ殿にお相手をしていただきその技量を図るというのはどうでしょうか?」
ブルディウス宰相が母様と僕を戦わせてその技量を見せろと言われた。
ん~、勝てる気はしないけど、良い勝負すれば皆、納得してくれるのかな?
「それは面白いですな! でもそれでは駄目ですね。さすがに親子で模擬戦されても手加減されたら私どもには判断がつきませんからね。」
両手を横へ広げ大きく首を左右にふる伯爵。
いちいち動作が大きくて小芝居がかってるのがなんとも厭らしい。
「その役目、この私目に授けては貰えないだろうか?」
突然、謁見の間の入口付近から良く通る男の声が響き渡った。
その男は肩口まで伸びる金色の髪を揺らしながら、部屋の真ん中を堂々と、でも静かにまっすぐと僕たちがいる玉座の間の壇上へと向かって歩いてきた。
その場に居た貴族達もその堂々とした雰囲気の若者に気圧されたのか両脇へと退き、部屋の真ん中に王へと続く道が出来上がっていた。
その道をさも当たり前のように歩くのは、均整の取れた体格に端正な甘いマスクの青年だった。
「おお! お待ちしておりましたぞ殿下!」
殿下?
僕はふと、フォレスタールに王子とかおられたかな?と考えてしまった。
「さあ、こちらへ、アヒム殿下。」
そう手招きするのはジルデバル辺境伯だった。
アヒム殿下と言われる青年は優雅に部屋の中央を歩くが、その周りからは女性の悲鳴や溜息をついて回る。
その彼は彼で、その悲鳴や溜息のする方にわざわざ視線を投げて、時折ウインクなんかして応えている。
き、気持ち悪い!
シア姫も顔が青ざめてるし、カーナやリーシェンなんか鳥肌たてて身震いしてる。
その青年も精神耐性の魔道具を3つくらい着けてるから心を覗けないはずなのに姫が苦しそうにしてる。
それでも、謁見の間にいる貴族の女性からはいまだにキャーキャーと声援を送られていた。
「やあ、ジルデバル今日は楽しめそうかな?」
「はい、それはもう。」
その青年が口の端を上げ嫌らしく笑うジルデバルに声を掛けたあと、そのまま玉座の前まで近づきそこで起礼で王に向けて大きめにお辞儀をする青年。
「フォレスタール王国を統べる王と王族の皆様、お久しぶりでございます。アヒム・スバイメルでございます。ファルシア姫様の初公務のお披露目の儀にお招きありがとうございます。」
恭しく礼をするアヒム殿下。
その姿に場内の女性陣から感嘆の声がそこかしこから聞こえて来た。
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