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ファルシア姫 10

投稿いたします。

感想などお待ちしています。

「うん、そこまでは判るんだけど。」


「はい、それでレンティエンス様の心の奥底にも負の感情があるのではないかと不安になったんです。私は直ぐにレンティエンス様と手をとり、確認したんです。でも以前と何も変わりませんでした。私は安心すると共に、本当にそうなのか? もしかして手だけの接触ではレンティエンス様の心の奥底は判らないのでは、とも考えてしまい、なら密着する部分が多ければさらに深層の奥底を感じるのでは? 裸ならもっと判るのじゃないかと単純に思って、ご、ごめんなさい!」


テーブルにぶつかりそうな程、頭を勢いよく下げるファルシア姫様。

精神的に追い込まれて思わずとった行動と云うことなのかな?


「リーシェン、カーナ、それ以降はそういう事は無かったんだよね?」


「その時は、姫様の帰られる時刻を過ぎてもレン様の部屋から出られないので、覗いて見ましたら、お二人とも裸で寄り添って気持ち良さそうに寝ておられましたので、奥様と相談いたしまして、一晩そのままにさしてあげた以降は二人っきりになる事は無かったと思います。」

「姫様?」


僕は、リーシェンの言葉の中の一文を確認する為、姫様に問いただす。


「二人とも裸と言ってましたが?」


「は!はい! そのですね密着は双方何も障害物がない方が確実かと思いまして、その勝手ながらレンティエンス様の服も脱がさせていただきました。 キャッ。」


頬を赤らめて、嬉しそうにキャッとか言われてもねえ、まあ子供の時の話だからいいか?

今でも子供だけど。


「でも・・・・。」


姫様が、さっきまでの表情を強張らせ、少し目を落として話し出す。


「でも、レンティエンス様の心の中に、私は居ませんでした。」


その声はとても寂しそうだった。


「それは当然の事でした。それまで私はレンティエンス様が寝られてからそっと側に居させてもらうだけで安心出来ていたので、起きておられる時に会おうとは思ってませんでしたから。」


それはそうだ。

僕は今でも姫様と会っていたなんて記憶に全く無いのだから。


「でも、私の周囲の反応が過敏になるにつれ、私はレンティエンス様の側に居たいと思う気持ちがどんどん強くなって毎日の様に会いに行くようになっていたのです。ですから私にはレンティエンス様はかけがえのない存在として心の中にいっぱい存在されているのに、レンティエンス様の心の中には私はいませんでした。」


姫様の顔がどんどん暗く落ち込んで来ている。


「でも、もし会ってしまって私を変な女だとか、心を読む怖い女だとか思われたらどうしようと、怖かったんです。」

「ファルシア姫様はそれでも僕にこうして会いに来て下さったんですね?」


僕は優しく言葉をかける。

目を落とし、緊張感で強張る小さくなった体を必死に支え、それでも僕の前に来て下さった姫様の決意が感じられる。


「はい、私はあなたの心の中に存在したかったのです。このまま居ない事が続くなんて嫌だったのです!」


その言葉と共に姫様は僕の方をじっと見つめて来た。

覚悟を決めた表情だった。

僕はそれにちゃんと答える必要がある。

そう思ったんだ。


「ファルシア姫様、どうか僕の手を取っていただけませんか?」


僕は席を立ち、ファルシア姫様の座る椅子の横に佇むと、片膝をつき姫様に向かって手を差し伸べる。

僕を見下ろす形の姫様は驚いた表情をしていた。

そして少し目線を外し考える素振りを見せる。

暫くそのままの状態が続いたが、意を決した様に僕に目線を戻すと、僕の差し出された手をそっと包むように自分の手を乗せて来られた。

そして姫様は目を閉じじっと動かないでいる。

僕はそのまま心を落ち着かせじっと待つ。


「ああ、居た・・・。」


姫様の口から言葉が漏れた。

そして、僕の手に乗せたまま、大粒の涙を瞳から流し出し始めた。

僕はそれをじっと見つめるだけで何もしない。


「よ、良かったあ、私、私がちゃんとあなたの中に居ました! あの温かな私が好きな心に中にちゃんと私が居ました・・・・本当に、良かった。」


その言葉を聞いて僕はポケットからハンカチを取り出して姫様に差し出す。

それを受け取った姫様は、涙を拭う。


「レンティエンス様は、私が心の中に存在しても変わらずとても優しくて心の暖かい方のままでした。」


涙を拭った姫様の顔は物凄く明るい表情に変わってた。


ありがとうございました。

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