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ファルシア姫 7

投稿致します。

「大丈夫?ですか?」

「あうう~・・。」


自分の名前を噛んでしまってよっぽど恥ずかしかったんだろうな。

僕でも、こんな公の場で、自分の名前を噛んではっきり言えなかったら恥ずかしいよ。

しかもファルシア姫様は、加護の事もあって人とあまり関わらないように暮らして来られたらしいから、余計に恥ずかしいだろう。


「レン様、ここは何処か別の場所に移られた方が宜しいかと。」


リーシェンが僕の耳元で他の人には聞こえない程度の小さな声で、促してくれる。


「うん、判った。ありがとう、リーシェン。」

「い、いえ。出過ぎた真似をいたしました。」


顔を赤らめるリーシェン。そんな事で赤くならないで欲しいけど、ここはスルーしよう。


「ファルシア姫様、もし宜しければ、あちらのバルコニーの方にでも出てみませんか?」


僕はなるべく自然に、誘ってみる。

あまりぎこちないと姫様が警戒しそうだからね。


「まあ、レン君ったら、紳士ですね。良かったじゃないファルシア。念願のレン君とお話しができそうよ?」

「!!!・・・・・・」


うわ!さらに赤くなったぞ? それに念願って、まるで前から僕と話がしたかったみたいに、ってそうかそれが目的だったと母様が言ってたな。


「ファルシア姫様、宜しいでしょうか?」

「・・・・・・・・・・・・」


ファルシア姫は、無言のまま小さく何度もコクコクと頷く。

僕は、エスコートしようと立ち上がり右手を差し出す。

ファルシア姫は、僕の手を見つめゆっくりと自分の手を差し出そうとしたが、途中でその手は止まり、引っ込めてしまった。

ああ、これは僕が迂闊だった。


「レン君ごめんね。別にファルシアは悪気があるわけじゃないのよ。今でもこうしているだけで色々な人の感情を受けているの。ただそれを防ぐ為に修業も積んで来たのだし、それに魔装具による結界を最近ようやく手に入って使い始めたのだけど、それでも直接身体同士が触れるとそれとは関係なく感情が流れ込んでしまうらしいの。それを恐れているのよ。」


多分、そんな感じなのはさっきのファルシア姫様行動で何となく判った。


「すみません、姫様。私の不注意で不快な思いをさせました。」

「いえ! レンティエンス様は悪くありませんから!」


さっきまでのもどかしそうな言葉使いとは、異なってはっきりと言うファルシア姫様。


「ありがとうございます。では僕が先に歩きますので付いて来て下さいますか?」

「はい!」

「母様、いいですか?」

「ああ、二人で行っといで。私はお妃様とちょっと話をしてるからね。カーナ、リーシェン、二人の護衛を頼んだわよ。」


「「了解いたしました。」」


「ファルシア!頑張んなさい。周辺は近衛が警護してるから安心して行ってらっしゃい。」


お妃様の激励にファルシア姫様は、あうう~とか言いながらまた顔を赤くしている。

話をするだけなのだけど、頑張れと言うほど、姫様にはハードルが高いのだろうか?


取り合えず、周辺の貴族達が、ファルシア姫の方に注視してるのは判るし、こんな場所ではファルシア姫様も精神的にまいってしまうだろうから、この場を離れよう。

僕は、ファルシア姫様に目で、行きましょうかと合図を送ってから、バルコニーのある方へと歩き出す。

その僕の後ろを、ファルシア姫が続き、その後ろにカーナとリーシェンが続いた。

その後ろにも数人の姫様付きのメイドさんが続いた。護衛のメイドではなさそうだ。

僕は、ベランダへ出る金属製の枠にガラス板が嵌め込まれた扉をくぐり、ファルシア姫様もそれに続く。

すると、会場に残る貴族達から、安堵のため息が聞こえ、ヒソヒソと話出しはじめた。

ファルシア姫様がこの場から居なくなっただけでこれだけの反応をするのか。

僕は歩きながら、後ろを少し振り返る。

ファルシア姫様は相変わらず伏し目がちに歩いているけど、その表情には諦めた様な顔をされていた。

僕はこれは仕方ない事なのだろうか、と考えてしまう。

読んでいただきありがとうございます。

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