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ファルシア姫 5

投稿いたします。

その男性こそ、このフォレスタール王国の国王、ディルエ・ラル・フォレスタール陛下その人だ。

確かに、線の細そうな体つきに猫背気味の姿勢などを見ると、優しさは感じられるけど、威厳と云うか王様らしさが無い、どちらかと云うと普通のおじさんと、いった方がしっくりくる。


「これよりフォレスタール王から加護の啓示を受けた子等に祝辞を戴きます。」


司会の言葉に続き、王様が壇上に設けられた演説台の前に立ち、皆に祝辞をのべ始められる。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


長かった。ひたすら長かった。

それは、淡々と国の成り立ちから、先人の功績、これからの国の方針まで、7才の子供に語り掛けるのには、少し? いや聴くには、かなりしんどい話しをされていた。

兎に角、王様の祝辞が終わり祝宴が始まった。


「それでは只今より、王妃様とファルシア姫様が王家を代表して、皆様に直接お話しをされに回られますので暫くの間、そのままでいていただきますようお願い致します。」


「ファルシア姫様、だと?」

「私、初めて見るかも?」

「一体、どうしたことだ?」

「心の中を覗かれたくなんかないわよ!」


ファルシア姫様の名が出たとたんに、会場中がざわめき出した。

そんな中を、王妃様を先頭にして各貴族への挨拶が始まった。

僕はそれを目で追いかける。

貴族の代表が先ず、王妃様に挨拶をし、そのあと王妃様が今回の加護の啓示を受けた子供に声を掛けていた。

その後、ファルシア姫が前に出てその子供に声を掛けようとすると、その子の母親とかが腕を引き、姫様から子供を遠ざけるような動きがよく見れた。

姫様も、それを判っているようでそれ以上何かを言う事は無くお辞儀をするだけで終えていた。

僕は違和感を覚えながら見ていた。

その違和感は直ぐに判る。

姫様の周りに人がいない事を。

王妃様の周りには近衛の騎士が二人左右を固めるように警護し、その後ろにも戦闘メイドが二人追随していた。

だけど、姫様の横には誰もおらず、その後方に一人騎士が護衛についているだけだった。

確かに、姫様の前後に警護する者がいるので問題無いのだろうが、それでも明らかに王妃の護衛達の距離と、姫様との距離は違いすぎた。

あれでは、完全に孤立しているように見える。


「母様、姫様へのあれは配慮なんでしょうか?」


僕は母様に聞いてみた。


「そうね、あれは姫様が自ら望んでの事なのよ。去年までだったらこの祝賀会にも出席することは無かったわ。」


それで、他の貴族達は噂していたのか。


「でもね、今年は出てこられた。それはレン、あなたに会う為なのよ。」

「僕にですか?」

「そう、先にも話したように姫様には友達がいないわ。それは加護のせいでもあるけど、姫様は本当にお優しいかたで、人が争うことに物凄く心を痛めておられるの。そして自分の言葉一つで人が傷つき争いの種になることを悲しんでおられるの。」

「それは解りますが、この間も聞きましたが何故、僕なんです?」

「姫様が自ら御指名されたからよ。」


僕には良く判らなかった。

御指名って、確かに王妃の幼馴染みで元近衛騎士団長であった母、システィーヌの子供と云うことで僕の事を知っていてもおかしくないけど、話したいと思ってくれる根拠が判らない。


「僕と姫様って会った事がありましたですか?」

「そうね、あまり覚えていないでしょうけど、あなたが赤ん坊の頃、良く我が家に遊びに来られていたわ。 まああくまでも王妃様とのお忍び茶会をする時に一緒に連れて来ていたと云うのが正解かしら。」


そうか、僕が赤ん坊の頃なら殆ど面識が無いのと同じだな。


「でもね、なんどか我が家に遊びに来るうちに、姫様自ら加護の力の制御の為修業されると言い出してね、ここ2年間ほど、エルフの巫女クウェンディの所に行っておられたのよ。」

「そして今回この祝宴会は、その修業の成果を確認する場でもあるらしいのよ。」

「確認ですか?」

「そう、それもこれもみな、レンちゃんと話がしたいが為らしいから、ちゃんと話してあげなさいよ。もし成果が見られなかったら、一生引き篭るらしいわよ。」


え~、そんな覚悟で来られるなんて、プレッシャーを感じてしまうよ。

まあ、仕方ない。

成るように成れだ。


そんな風に母様と話し合っていたら、王妃様が僕達の方に向かって来るのが視界に入った。

読んでいただいてありがとうございます。

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