ファルシア姫 1
投稿いたします。
僕は今、王宮の中の一画、王族の方々が住まわれる居住区の一室にて、カーナとリーシェン、そして母様と待っていた。
何を?それは加護を受けた貴族の子供達を王様がこの王宮に招待し晩餐会を開いてくれると云うのでそれの開場を各控室で待っているところなんだ。
「それで、その姫様の加護の力をこの僕が何とかして、姫様の苦痛を少しでも取り除いてくれって言うんですね? 母様。」
「最初は、単に友達になってもらいたいだけだったんだけどね、レンの力なら何か出来るんじゃないかと。ほら、大神オーディ様の加護なら、レンちゃんも同じだしちょちょっと変えれないかなあ~なんて。」
「母様、いくらなんでも加護の名をどうにか出来るなんて到底無理です!」
「そうなの?」
「そうなんです! 実際、僕の加護の名を修正出来ないか色々試してみましたけど、びくともしませんでした。」
「そうなのね。」
しょんぼりとする母様見てると僕もどうにかしてあげたいとは思うんだけど、出来ないものは出来ないのです。
それにしてもどうしてそこまで母様はファルシア姫様の事に心痛めてるんだろうか?
「母様、お聞きしていいですか?」
「なあに? レンちゃん。」
「どうしてお母様はそこまでファルシア姫様の事を気にされてるんですか?」
母様は僕の問い掛けに直ぐ、答えてくれた。
「そりゃあ、幼なじみの子供だし、近衛師団にいたから、お生まれになってからもずっと側にいたからね、自分の娘みたいに思ってたもの。それに私によく懐いてくれてね、物凄くハードな体術や剣術にも泣きながら付いて来てくれて、可愛かったのよ。」
それって、本当に懐いていたんだろうか?
「一度、修業を兼ねてエルフの里へ旅に出た時なんて、」
「ちょ、ちょっと待って下さい! 母様。エルフの里って言われました?」
「ええ、そうよ。あそこには師匠もおられるし修業に行くには持って来いだからね。」
嬉しそうに話す母様だけど、エルフの里って辺境の森の最奥にあって、普通の人では絶対に辿り着けない秘境の里と言われてるはずだけど、そんなところに姫様を?
一体何歳の時の話なんだ?
「あの時はちょうどそうねレンより一つ下くらいの時かな? 魔獣や大型の肉食獣がたくさん襲って来てほんと良い修業だったわ。ファルシアなんか、泣いて叫ぶくらい一生懸命に私に着いて来てくれてね、物凄く私を慕ってくれてるんだって感動したもの。」
昔の事を思い出して感慨に耽る母様だけど、それって離されると死んでしまうから必死に付いていっただけじゃないのか?
母様、脳筋のところあるからな、優しいんだけど、こと体術や剣術の事になると一本ネジが外れるから。
「それがね、もともと人見知りが激しい子だったけど、加護の啓示を受けてからは、心を閉ざし誰とも会わなくなってね。私には時々会ってくれるんだけど、物凄く怖がってしまっていてまともに話す事も出来ないのよね。」
心配だと溜息をつきながら思い悩む母様だけど、それって母様のせいじゃないのか?
そんな恐怖体験してたら、当然かも。
「ねえ、カーナ、リーシェン、君達は母様に鍛えられて良かったと思ってる?」
「「え?! ・・・・・・・・・・・・・・・・はい。」」
今! 相当、間があったよね? 凄く考えたよね?
「とりあえず、了解はしましたが、どうなるかは解りませんよ?」
「大丈夫よ。レンちゃんならね。」
笑顔でウィンクする母様。
どこにそんな自信が持てる根拠があるのか判らないけど、期待されてるんだから頑張ってみますか。
コン、コン!
「失礼いたします。」
扉をノックする音が聞こえ、女性の声が聞こえた。
「はい、どうぞ。」
母様が答えると、扉が静かに開き、メイド姿の女性が一人立っていた。
「ブロスフォード家の皆様、お待たせ致しました。会場のご用意が整いましたので、お迎えに上がりました。」
そう告げるとお辞儀をするメイドの女性。彼女はこの王宮に仕えるメイドさんのようだ。
「解りました。それじゃあレン、行きましょうか。」
「はい、母様。カーナ、リーシェン行こうか。」
「「畏まりました、レン様。」」
案内役のメイドさんに連れられ、母様を先頭に僕が続き、メイドのリーシェンとカーナが僕の背後に従う。
赤い絨毯が続く廊下を歩いていると、左手には大きなガラス窓が傾きかけた日の光を浴び輝いていて、右側は金銀の細工がしてある柱や壁が続いていた。
こういうの、映画とかの世界だと思ってたけど、こうやって実際に自分で見て感じると頭だけで空想するのとでは、リアリティーが全然違う(当たり前なんだけど)と感じ、感動で胸が熱くなる。
特にこの夕焼けの空が今日は一段と美しかった。
「メイドさん、宜しいですか?」
母様が、前を歩くメイドさんに話しかけた。
「はい剣聖様、なんでございましょうか?」
「今日の出席は何人位になるのでしょう?」
「そうですね、ジルデバル辺境伯爵様、ボルドール侯爵様、ローティエンス伯爵様、ご家族他の御貴族様他、王都の大商人でこの度の加護の啓示を受けた家の者等で100名程になる予定です。」
げえ、あのジルデバル辺境伯もやっぱりいるのか。思い出しただけでも気持ち悪い。
今度はちゃんときっぱり付き纏うのは辞めてほしいと訴えよう!
すると、メイドはある大きな扉の前で立ち止まる。
「こちらが会場になりますのでご準備が宜しいでしょうか?」
その扉は大きいだけでなく面には動植物の繊細な表現が施され、金や銀の細工が美しい扉だった。
さすがに、王宮の扉だね。気合いの入り具合が全然違うみたい。
「レンちゃんもう一度言っておくけど、自分の加護の事は秘密ね。何も無いとは思うけど、何かあっても自分で処理しない事。出来ればカーナやリーシェンにトラブルは任せるつもりでお願い。」
「レン様、後ろは私が完璧にお守り致します。」
「私たちはレン様の盾になりますので、安心して下さい。」
母様から注意を受け、カーナとリーシェンは僕を守ってくれると力強く言ってくれる。
「ありがとう。僕も極力注意するから、よろしくね。」
とにかく僕と母様は特に問題ないと頷く。それを確認したメイドは、扉のハンドルに手を掛け手前へと開き始めた。
いよいよ社交界デビューだね。しっかり見極めてやる!
さあ!社交界というものがどういうものか、楽しんでみよう!
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