真対応って、神対応? 2
投稿いたします。
「まず、ここに呼んだ人は、全てレンちゃんの味方っていう事は知っておいてね。」
え? 僕は何を言っているのか直ぐには解らなかったけど、少し考えたら直ぐに理解出来た。
つまり、これから話す事は他の人にはあまり話さない方が良いということだろう。
「はい。」
「うん。じゃあレンちゃんに言い渡した加護の名、真の対応力、だけど本当は、神の対応力、が本当の名なんだよね。」
「え? しんって真じゃなくて、神のしんですか?」
「そう、つまりレンちゃんも、システィーヌと同じ神の名持ちという事になるわ。」
そうなんだ、神の名の加護を持つと云う事はそれだけで、尊敬と恐怖を与える存在と言われている。
母様を見ていれば解る。
はっきり言って剣技で母様に勝てる人、いや地上に生きる生物と言っていいかな、まずいない。
それだけ、神の名持ちは絶対的な存在なのだ。
と、いっても数の暴力で圧倒すれば勝てないわけではないけどね。
でも、それでも神の名持ちは、少ないとはいえ、いないわけじゃないし、別に隠す事はまずしないはずなんだけど?
「どうして、名を隠すのか不思議に思ってるわね?」
「え? ええ、そうです。」
何か全てお見通しって感じだな。さすが大神官クウェンディ様だね。
「ここから、よく聞いていてね。レン君の、神の対応力と云うのは、その名の通り、神の対応が出来ると云うこと、それも大神オーディ様の対応力をだよ。」
う~ん、そのままだね。
「よく解ってないって感じだね。」
「はい。」
「詳しく言うとだね、この世界の全ての理について対応出来ると云う事。つまり大神オーディ様の力を使える存在がレン君なんだよね。」
ちょっと、待て!! 今何て言われた? 神? オーディ様? つまり神様の力を使える? 僕が? う~~~~~~~ん、理解の範疇を超えてる、わけ解らんよお!
「レンちゃん大丈夫?」
僕が、あまりの話の内容に着いて行けないで、ぼーっとしていたせいか、クウェンディ様が心配になって声をかけてくれた。
「だ、大丈夫、かな?」
僕は、大きく深呼吸をして、自分を落ち着かせてみる。
うん、少し落ち着いたかな? うん大丈夫。
「ごめんなさい。クウェンディ様、とりあえず落ち着きました。」
「じゃあ、続けるわね。神対応、これって何に対応出来るかとか指定が無いのよ。」
「指定が無い? つまりどういう事でしょう?」
僕は何か胸騒ぎがするので慎重にゆっくりと尋ねた。
「それは、神が行使出来るすべての事象に対応出来るということ、制限が無いということよ。」
「例えば?」
「そうねえ、死んでしまった人間はともかく体を真っ二つに切られ死にかけた人間でも、死んでいないなら全回復させられるとか、ちょっとした時間の操作も出来るかもしれないわね。」
実際、近い現象は魔法でも再現出来るだろうけど、二つに別れた体をくっつけて回復させるなんて無理だし、時間なんてどんな大賢者だって操作なんて無理!
「それってもう人間じゃないですよね?」
「だから神の力で対応してしまうとは、そう云う事なんだよ。」
真剣な眼差しのクウェンディ様。
やっぱり本当の事なんだろうか?
「本当にそんな力を僕が授かったんでしょうか? 実感が無いので信じられません。」
「それは、そうでしょうね。ではシスティーヌ、ババ様、お願いします。」
僕が実感が無いと言うと、クウェンディ様は、母様とババ様を呼んで何かをさせようとしている。
はて?何をする気だ?
「では、お二人には、レンちゃんに対して本気で戦ってもらいます。」
「オッケー、この日が来るのどれだけ待った事か。レンちゃんが私の全てを受け止めてくれる日を!」
「ほ、ほ、ほ、レンが一体どれだけの修業していたか、楽しみにしておるぞ。」
「ちょっと待って下さい!」
「「「何?」」」
「何って!母様は、神速の英雄ですよ! ババ様は、剣技の神域ですよ! どちらも神持ちの加護ですよ!?その二人と戦うって何でですか?」
「「必要だから?」」
「二人でハモらないで下さい。」
「まあ、まあ、この二人ぐらいと対戦しないと、レンちゃんの力が、どれほどのものか判らないでしょ?」
クウェンディ様が当たり前の様に言ってるけど、今まで母様にまともに戦えた事が無かったのに、その上母様の師匠であるババ様までなんて考えれませんって!
「レンちゃん! つべこべ言わないの! 行くよ!!」
「わ! ま! 待って!! か・」
僕の制止の声も虚しく、母様が真っ正面から突っ込んで来る! 手は腰にある刀に掛け力を溜め込んでいる?突進力に抜刀を加えた、母様の得意技!
それに一拍置いて、ババ様も突っ込んで来た!
二人は僕の左右からそれぞれ、微妙な時間差で斬りかかってきた!
僕は条件反射で身構える。
・・・・・・・・・・あれ? おかしい!!
なんでまだ刀が僕に襲って来ない? どうしてだ!?
僕は、今までの母様との稽古の時に感じた感覚とあまりにも掛け離れたこの感覚に戸惑うが、とにかく対処しようと、まず母様の横一閃に抜刀された刀の腹目掛けて拳を叩き込み跳ね上げる!
そのままの流れで一度体を右足を軸に回り、ババ様の方に体を向ける。
腰を落とし、まだ抜かれていない刀目掛けて僕も突進する。
目の前まで来ていたばば様の体の横を半身の状態ですり抜けその時、ババ様の刀の柄を手に取り、僕が抜く。
その勢いのまま、今度はババ様を通りすぎた後もう一度左足を軸に回転し、母様とババ様に体を向け直し、身構えた。
「きゃ!!」
「な!?」
母様とババ様は悲鳴と驚きの声を上げていたが、今一体何が起こったのか判っていないようだ。
自分達が突進を開始し僕の間合いに入ったと思った瞬間、僕は冷静にそれを見ていることが出来た。
次の瞬間には、僕は母様の刀は大きく跳ね飛ばし、ババ様が抜刀しようとした刀を抜く前に僕が鞘事抜き取ってしまっていた。
「レンちゃんは!?」
母様とババ様は、見失った僕を探している。
僕は、ババ様の後方30メートル先まで移動していた。
二人は背筋に冷たいものを感じていた。
「これが、レンちゃん?」
「なんとも、驚きを通り越してこのわしが恐怖を感じたぞ。」
二人の声に、僕は意識を僕の中に戻す事が出来た。
今の一瞬で物凄い情報量が頭の中を駆け巡り、それを瞬時に判断、体が実行していたことに自分で驚いていた。
「予想以上ね。レンちゃん、これが対応力しかも神の力、つまり神対応がこの結果なの。解った?」
僕はこの結果にただただ、頷くだけだった。
でも、これがリーシェンやカーナにどういった影響を与えるというのだ?
「クウェンディ様、ちょっとまだ信じられませんけど、神対応については何となく実感しましたけど、それがリーシェンやカーナに影響を与えるというのはどういったことなのですか?」
僕は自分の事はさておいて、二人の事の方が気になった。
もしかして、知らない内に二人に迷惑を掛けていたのかも知れないと感じたからだ。
「レン君、それはね貴方が彼女達をとても大切に思っているからよ。」
「へ?」
あ、なんか間抜けな声が出てしまった。
「大切にって、どういう事ですか? そんなんで彼女達に何が起こるというのです!?」
僕はあまりに考えてもいなかった返答に困惑しつい口調が強くなってしまった。
「まあ、落ち着いて良く聞くのよ。」
「は、はい。」
僕は小さく深呼吸して自分を落ち着かせる。
「良い? 神様って自分の庇護下に置く者、もしくは愛した者を眷属として身内にし、その能力を分け与えるじゃない?」
「そうなんですか?」
「そうなの。そこから説明すると長くなるからそう思って。」
「はい!」
「で、レン君は、神の対応がほぼ出来る訳。つまりレン君が大切に思っている人を眷属にして、自分の能力を分け与えていると云う事だと私は思ってるんだけど?」
今、やっぱりもの凄い事を聞いた気がする。
「でも、僕の加護は今日聞いたばかりですよ?!」
「それは、もともと授かっている加護を私が確認してるだけ。基本加護は生まれ持って与えられているのだけど、その発動がレン君の歳頃が多いといいうだけ。発動の時期そのものは個人差があるから、レン君の場合、生まれて直ぐに発動していたんだと思うわ。」
そういえば、前世の記憶が戻る前から、僕はカーナとリーシェンは大好きだったと思う。
何故かは解らないけど、他のメイド達も好きだったけど、この二人は特別な感じは持っていたと思う。
「それじゃあ、僕は無意識のうちに、大好きだったカーナやリーシェンを僕の眷属にしてしまっていたって言うのですか?」
「そういう事だね。」
あっさりと肯定するクウェンディ様。
僕はなんて勝手な事をしたんだ。
カーナやリーシェンの承諾も無いのに彼女達の人生を変えてしまったかもしれない。
「あの、カーナ、リーシェン、その何て言っていいか、勝手に巻き込んでしまってごめんなさい。」
僕は二人にまず誤ろうと二人に向かって頭を下げるが、いっこうに反応が帰って来ない。
やっぱり僕の勝手が嫌だったのかな?
「レンちゃん、二人を良く見てごらんなさい。」
母様の声で僕は頭を上げた。
そこには顔を真っ赤にし瞳を潤ませながら、膝を付く二人がいた。
「レン様! 嬉しすぎて死んでもいいですか?」
「いや、良くないって。」
「私も、もう思い残す事はございません!」
「リーシェンもちょっと落ち着こう。」
何故か二人は、喜んでくれている。
良いのか?
「二人とも怒ってないの? 僕、無意識のうちに二人を勝手に眷属にしたみたいなんだよ? 将来の事だって制約が出るかもしれないんだよ?」
二人は何故か誇らしげに胸を張る。
「もとより! このカーナ、レン様に一生を捧げるつもりでしたので何の問題もありません!」
「そうです! この身も心もレン様に捧げる事が出来るのなら、これ以上の喜びはございません! あ、でも私みたいな、おばちゃんが嫌でしたら、せめて心だけでも。」
「いやいや! リーシェンのどこがおばちゃんなんだよ!」
「え、でも20代の大台にのってますよ?」
「二十歳素敵じゃない! リーシェンはずっと綺麗でいつもキリッとしていて格好良いって思ってたし、超美人だよ!」
「私はどうなのですか?!」
今度はカーナが突っ込んできた。
「カーナだって綺麗だし、活発で僕と年齢も屋敷の中では一番近いし、凄く綺麗なお姉ちゃんみたいだなって思ってたんだよ? とにかく二人は僕が赤ちゃんの頃からずっと大事に思ってる事は確かだからね!」
うん! 言いきった。
我ながら、ちゃんと二人に思っていることをちゃんと言えたぞ・・・・
「って! そうじゃ無いって! 僕は二人に謝る、」
「レンちゃん! 二人を見なさい! 貴方が告白みたいな事を言うから、嬉しすぎて気絶してるわよ。」
母様の言葉で我に帰った僕だったが気絶して倒れている二人に驚いて近づくと、締まりの無い笑顔の二人がそこにいた。
「ちゃんと介抱して上げなさいよ。」
母様がやれやれといった感じで息を吐き方をすぼめていた。
「これ、システィーヌよ、レンのこれも神対応か? こんな感じだと、お前さん孫がどれくらいの数できるか判らんぞ?」
「それは楽しみですね。」
「それは、わたしも同意見だ。」
何か母様とババ様、そしてクウェンディ様が怖いことを言っておられるのを聞いてしまった。
僕ってそんな事まで神対応したくはないんだけど。
自重しようと固く誓った。
読んでいただき有難うございました。




