加護の啓示7
投稿致しました。
宜しくお願いします。
「そ、それじゃあ、加護の啓示やっちゃいましょうか。」
なんかとっても軽い気がするんだけど、ようやく本題に入れるから突っ込まないでおこう。
ここまで長かったですから。
僕の額にクウェンディ様の手の平が当たると小声で呪文を唱えだした。
「汝に、神より賜る真名を告げ、心の記憶に刻み込まん。」
額の部分に小さな光のサークルが現れ、一瞬光の強さが上がったと思った瞬間、サークルは音もなく消えていった。
クウェンディ様は、僕の加護を確認しているようだ。少し他の人に比べて間があるような気がする。
あれ? 結構考えておられるような? 沈黙が少しの間、大聖堂に流れた。
「レン」
「はい!」
「あなたの加護を伝えます。」
「は、はい!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
あれ?
「あー、もう良い代替え案が見つからない! ええいもういいや!」
何か、クウェンディ様、小さな声で呟いている? 近くにいる僕とババ様にしか聞こえない程度だけど。
ババ様もその呟きが聞こえたので、クウェンディ様の方を見ている。
何か睨んでいるような。
「レン、あなたの加護は、真の対応力です! 真は、真実の真です。あくまでも真ですからね。」
「は、はい判っておりますが?」
「判ってもらえれば宜しいです!」
「はい、ありがとうございます。」
僕は、深々と頭を下げてお礼する。
どこか、力押しで終わらせようとしてる気がするけど、まあ気にしないでおこう。
「クウェンディ様!ご質問宜しいかな?!」
「な? なんでしょう?」
加護の啓示を全ての子供が終わったところで、ジルデバル辺境伯が声を上げた。
「我の不勉強さゆえ、真の対応力というものがよく解りませんので御教授願えませんかな?」
ジルデバル辺境伯は、にこやかにでも何か企んでいるような顔つきで問い掛ける。
その問題に、クウェンディ様は怪訝な表情を一瞬見せるが、直ぐに笑顔に戻る。
「ジルデバル辺境伯、お久しぶりですね。」
「は、このジルデバルの名を覚えていただいており、感謝いたします。それでどうなのですかな?」
うやうやしく右手を胸に当てお辞儀するジルデバル辺境伯に、鬱陶しそうな顔のクウェンディ様だった。
「ジルデバル様、加護についての詳細については後日、王国新報で各貴族、氏族の皆様には通達され、そこにどなたがどの様な加護でその内容についても通達されるはずですが?」
「はは、それはそうなのですが、王国でも屈指の騎士を輩出するブロスフォード家の嫡男であるレンティエンス殿の加護については、私ども興味がありますのでな少しでも早くお聞きしたいのですよ。そうですよね皆様方!」
下手な演技で周囲の貴族にアピールすると、他の貴族達が頷き始めだした。
「そうですな、王国を政治を預かる身としても、将来の英雄になるかもしれない若者の加護がどのようなものか早くに知りたいものですな!」
派閥としては、敵対関係のボルトール侯爵も何故か僕の加護を知りたがる。
う~ん何かわざとらしいね。
しかし、この二人の声に多くの貴族が賛同し始めていた。
これは話してもらった方が良いんじゃないかな?
「クウェンディ様、僕も知りたいですし構いませんので、皆様に教えて差し上げて下さい。」
僕がそう言うと、クウェンディ様が申し訳なさそうな顔で頷いてくれた。
「解りました。それではお答えしましょう。」
「真の対応力とは、その名の通りで、人との接し方とか会話を間違えることなく対応出来るというものです。あとは、他種族との会話とか接し方に間違いが無いといったところでしょうか。」
なるほど、コミュニケーション能力が高いといったところか。獣人族やエルフ族、ドワーフ族等の他種族との交渉などに有利に働くというのは便利かもしれない。
僕は加護の意味を聞いて、それなりに満足していた。
身体的能力の向上には向かない加護かもしれないけど、その辺は修練すればある程度の領域までは行けるだろうしね。さすがに母様みたいにはなれないだろうけど。
「左様ですか。それは面白い加護ですな。しかし、レンティエンス殿は、あのブロスフォード家の跡取りだというのに、武に関する加護で無いとは、この先大変でしょうな。ハハハ。」
「!!!」
ジルデバル辺境伯の言葉に、リーシェンとカーナが即座に反応し身構える。
僕が、馬鹿にされたと思って瞬時に反応したんだろうけど、こんな事くらいで身構えてたらこの先、大変だよ。
「カーナ、リーシェン、僕はこの程度大丈夫だから、冷静にね。」
「し、しかし、あからさまにレン様の事をけなされて黙っているわけには、」
僕はそれでも抗議しようとするカーナの唇に指を当てて言葉を制して前にでる。
「ジルデバル辺境伯様、誠にありがとうございます。この若輩者、ジルデバル辺境伯様のご忠告を胸に刻み、将来、このフォレスタール王国に貢献出来る人材となるよう心掛けてまいります。」
「そ、そうか良い心掛けだなレンティエンス殿。期待しておるよ。」
ジルデバル辺境伯は僕と云うより、母様に仕返しがしたかったのだろうけど僕の対応にそれ以上言い出せなくなってしまった。
これも対応力の成せる技かな?
こうして加護の啓示の儀式は終わった。
そして殆どの人は大聖堂から退出し、帰路に着く。しかし別室での平民の加護の啓示式は、まだ終わってないようで、時々歓声等が聞こえ漏れてきていた。
この中から将来有望な人も出てくるんだろうなと思い考えていると、カーナとリーシェンが僕の両脇に並んできた。
「レン様、先ほどは軽率な行動をしてしまい申し訳ありません。」
カーナとリーシェンが二人揃って頭を下げてきた。
「どうして謝るの? 僕の事を思っての行動でしょ? 有難うって気持ちはあっても謝って欲しいとは思ってないよ。」
僕は素直な気持ちを二人に伝えた。
「こら、レン、あんまり二人に優しすぎると大変な事になるわよ。」
「あ、母様、それでカーナやリーシェンがどうしたのですか?」
「二人を良く見てご覧なさい。」
僕は、良く判らず母様の言う通りに二人を見てみると、なぜか二人とも瞳をウルッとさせて僕を見つめてる。
「ちゃんと男として最後まで面倒みなさいよ。」
母様の言葉の意味が今ひとつ判らなかったけど、二人をこれからも大切にするのは当然だね。
「レン、それじゃあこれからお城に向かうけどその前に話しておきたい事があるから、ちょっと別室に行くわよ。」
母様のお話ってなんだろう?
「では、私達はその別室の前で警護いたします。」
カーナとリーシェンが、何か特別な内容だろうと察して部屋に入らない事を告げてくれる。
「カーナ、リーシェン、あなた達も入りなさい。但しこの先、レンと共に歩く事を少しでも出来ないと思っているのなら辞退しなさい。」
二人は母様の言葉に驚いていた。今の言葉で話の内容が相当、覚悟する必要があることを促しているし、その内容を知ったからと言って僕から離れる事を簡単に許さない事を突きつけられたからだ。
でも二人が驚いたのは一瞬だった。
「システィーヌ様、あまり私たちを見くびらないで下さい。」
「そうですよ。どんな事があってもレン様と離れる事は一生有りません! 問題にもなりませんよ。」
二人の真剣で真っ直ぐな答に、母様は微笑んでいるようだった。
ありがとう御座います。




