スバイメル帝国の闇 6
投稿いたしました。
是非読んでみて下さい。
「おば様、おじ様の様子はどうです?」
ルーシーがベット脇に座り、ローエンベルク将軍を看病している御婦人に小さな声で尋ねていた。
「おかげさまで、今は安定して寝ておられるますよ。気がついたら教えますね。」
物腰の柔らかそうな言葉で優しく言葉を返す御婦人。
ローエンベルク将軍の奥さんで、サリア様だ。
歳は33才らしいけど、とても品のある落ち着いた美人さんで55才の将軍と20才以上差の若い奥さんだ。
ご主人が一命を取り留めた事で、物凄く感謝されました。
特にアクアは上位精霊と云うこともあって、殆ど土下座状態で感謝され、それがとても恥ずかしくて、僕の背中に隠れてしまった程だ。
とにかく、ルーシーには、アクアも含めて人として接してと一応お願いしておいた。
だいたい僕は人をやめるつもりも無いし、神になりたいとも思ってない。
カーナやシア、リーシェンとアクアの皆で幸せに暮らしたいだけなんだから。
あ、フル姉もだよ。
それでも最初は拒まれたが、これから帝国に巣くう悪魔を出来たら退治しなけりゃいけないから僕達の情報は少ない方が良いのでと、理由をつけたら渋々了解してもらえた。
これからも加護の事やアクアが上位精霊だと云うのはなるべく秘密にする必要があるな。
「え~と、そのレン様、で宜しいのですか?」
「え? 良いよ? 本当なら様も要らないんだけど、それはリーシェンやカーナが怒るから仕方なしなんだけどね。」
僕の呼び方にまだぎこちないルーシーは、何度かこんな感じで確認して来るんだよね。
別に気にする様な事でもないのに。
「はあ、やっぱりレン様はリーシェンさんとカーナさん、なんですね?」
「ん? どういう事?」
「いいえ、いいです。気にしないで下さい。それでは隣の部屋でこれからの事をお話しますのでこちらへ。」
ルーシー、何か言いたかったのかな? 何だったんだろう?
少し疑問に思いながら、僕はルーシーの後を追い、隣の部屋へと入っていく。
将軍が寝ておられるのは、司教や大司教の高位の者が、神からの天啓や御言を聞く祭礼の部屋で一般人は入れない場所なのだそうだ。
その分、神々に近い神の恩恵を受ける神聖な場所なので、全体的に清らかな状態に保てる場所なのだそうだ。
その効果は将軍の状況通りで、病や傷を癒す力が充満していると言われていた。
そこで、今回毒素を植付けられたローエンベルク将軍の毒素の進行を遅らせる為と、この場所なら皇帝といえども簡単には押し入る事が出来ないので、わざわざこの場所を選んだそうだ。
僕が部屋に入ると、ルーシーのお母上、皇妃レティシア様が、椅子から立ち上がりお辞儀をされるので、両手を前に出してブンブン振ってそんな事しないで! と訴えかけるけど、ニッコリと微笑むだけで無言で立ったまま僕の次の言葉を待っておられる。
わざとだよね? これ以上言っても駄目だろうと諦めて、右手を前に出す。
それが合図になって、皇妃様とルーシーが部屋に儲けられた簡素な木製のテーブルに腰掛ける。
その状況に苦笑いの僕を、クスクスと顔を背けながらリーシェンが後ろの方で笑っているのが判って、なんとも恥ずかしさが倍増してしまう。
ともかく気を取り直して、僕は、アクアが座る横へと腰掛けた。
本当はリーシェンも座るように、皇妃様から言われたのだが、僕の護衛に差し支えると言って断固譲らなかったらしい。
警護と言えば、ルーシーの後ろにはラバスさんが、皇妃様の後ろは修道女のシシリアさんが付いている。
ただ、シシリアさんの僕を見る目がちょと変質者の域に達していそうなのでちょっと怖いです。
「まず、改めてお礼申し上げます。レンティエンス様、アクレリア様。」
皇妃が改めて頭を下げ、ルーシーもそれに習って一緒に頭を下げられる。
「いえ、僕は何もしてません。アクアの力のおかげですから。」
「いいえ、レンティエンス様が言って下さらなければ、アクレリア様は、兄ローエンベルクの治療はしていただけなかったでしょう。ですからお二人にお礼を申し上げるのです。」
まあ理屈でわね。
といってこれ以上話しても平行線なので、ここは素直にお礼を受ける事にした。
「解りました。ここは素直に受け入れさせていただきます。」
「それで、この状況を説明していただけるのですか?」
「はい、是非知っていただきその上でお力添えをお考え願えればと思っております。」
「解りました。ではお願いします。」
はい、と頷いて皇妃様が帝国の現状を簡潔に教えてくれた。
その話によると、現在帝国は改革派と保守派とで大きく意見が割れているようだ。
保守派の考えでは、もともと帝国は戦いの中で勝利を掴み続け今の領土を得た事を誇りに思う連中で、今の平和ぼけした世界を相手に侵略すべきと唱える連中らしい。
一方改革派の方は、軍事国家としてでは無く、この軍事力を世界の安寧の為に魔獣討伐や災害復旧等に各国連携して使用すべきと共存共栄を唱える者達らしい。
しかしこれは、あくまでも皇妃様の見解であり、他の人から確認する事も出来ないので信用するしかない。
でも、この皇妃様に裏表が有るとは思えないし、ルーシーを見てると人を騙そうとする様な子には見えないもの。
これはリーシェン達も同じ意見だった。
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