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僕の加護神対応は最強らしいので秘密にします。~僕は女の子じゃないから~   作者: ユウヒ シンジ
第3章 旅、エルフの里へ
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旅、エルフの里へ 16

投稿いたします。


「これはどういう事だ?!」


男性の怒鳴り声が響く。

そのあまりの迫力に、ゴルード伯爵は青ざめ額に汗を流していた。


「ジルデバル様、落ち着いて下され。これは王からの勅命ですので下手に断る訳にもいきませぬ。」

「その様な事は判っておる! どうしてレンダールの我が私邸に監査師団が向かったかと聞いておるのだ!」

「それが、判らないのです。あまりにも急な命令であったみたいで、その事を知っている者の方が少ないくらいですので、私共もつい先程知ったばかりでございます!」


眉間に青筋を立て、王都にあるジルデバル辺境伯の館の一室でそのジルデバルとゴルードが、怒りとも不安ともつかぬ顔を付き合わせて言い合っていた。


「とにかく早馬を出せ! レンダールの私邸にはスバイメルの密偵や情報の中継地としているのだ、その痕跡を直ちに移動させるよう通達するのだ!」

「しかし、監査師団は昨日未明に出発しておりますから間に合いますかどうか、」


ジルデバル辺境伯の命令とはいえ、実現可能かどうか判らないこの状況に素直に、了解とは言えなかった。

そんなゴルードの態度に、怒りは増すばかりのジルデバルだった。


くっそー! 一体何なんだ! 今までこう言った情報は事前に私のところに来ていたのに、どうして今回に限ってなんの情報もなかったんだ!

このままでは、わしとスバイメル帝国との密約の証拠を見つけ出されてしまうではないか!

ワルダークの別荘での魔工師の奴隷の件は、なんとか揉み消したが、これ以上疑われる要素を増やすのは絶対に避けねばならん。


「ゴルード伯爵、今回の監査団の責任者は誰なんだ?」

「それが・・・・」


歯切れの悪いゴルードに苛立ちを覚えるジルデバル。


「ええい! 誰だと言ってるのだ!」

「は、はい、シ、システィーヌ・ブロスフォード卿であります!」

「はああ? 何故あいつが出刃って来る!?」

「それが、今回のスバイメル帝国への魔工師流出の件等を重く見たブルディウス宰相や王家から徹底した調査を実施する為に、監査師団を刷新しその頭に、システィーヌ殿を復帰させ据えたようです。」


ゴルード伯爵の言葉に一瞬固まるジルデバル辺境伯。


「馬鹿な、それでは王家をブロスフォード家が私物化するようなものではないか!」

「これには、王妃殿下と宰相のブルディウスが大きく係わっているようです。」


苛立ちがのせいで、ソファーに座るジルデバル辺境伯の足は揺すられ、親指の爪を噛み砕かんと歯に力が入る。


「ブロスフォード家め、存外に大人しくしていると思っておったが、あの小僧を押し出して一気に王国を乗っとろうとしておるのか?」

「それについてですが、ブロスフォードの嫡男、レンティエンス騎士爵が、今回の魔工師救出の手柄により、子爵位に就くという話が出ており、その公表と共にファルシア姫との婚約を発表がされるという噂まであります。」


現状の知りうる事を述べるゴルード伯爵は、ジルデバル辺境伯の顔色を伺う。

その顔は、真っ赤となり目は血走り、怒り過ぎて頭の欠陥が切れてしまうのではと思える程だ。


「忌々しい! 剣聖め! 一気にわしらを追いやるつもりだな。そうはいかせんぞ! ゴルード伯爵! わしは一旦我が領地に戻る。こうなれば実力行使だ! 周辺の貴族や我が派の貴族をジルデバル領に集結させろ!」

「いけません! 今回の件でスバイメル帝国へのジルデバル様の心証がよろしくありません! 援軍の支援は望めないかと思います! そんな中で王国と争っても、向こうには剣聖と近衛師団が控えているのですよ? 勝ち目などありません!」


感情で判断が出来きなくなっていると思えたゴルード伯爵は、ジルデバル辺境伯に進言する。

しかし、ジルデバルはそれを聞き入れてくれるだけの余裕がなかった。


「構わん! もし王国軍が領内に進攻して来るならば、スバイメルとの国境戦へと誘導し、押し込んで否応でもスバイメル帝国との戦争をさせてやる。上手く行けばボルトーク候爵の軍事力も削ぎ落とせるやもしれん。」


ゴルード伯爵はジルデバル辺境伯の考えが余りにも甘いと感じていた。

そんな都合よく、あの剣聖システィーヌが動く訳が無いし、ボルトーク候爵こそ、そんな事に躍らされる人物で無いことを冷静に見れるゴルード伯爵は判っていたのだ。


「とにかく仕度を! 我が領地へ戻るぞ!」

「はっ!」


釈然としない面持ちではあるが、ジルデバル辺境伯がああ、仰る限りついて行くしかない返事をする。

そんなこの部屋だったが、突然風が部屋の中を通って行くのを、二人が同時に感じた。


「そんなに急いで戻られては困ります。これから国王陛下の勅命を受けてもらわなくてはならないのに。」


それは子供の声だった。

男の子とも女の子とも聞こえるその声は、二人にとって良く知り忌々しく思ってる者の子供の声だった。


「レンティエンス・ブロスフォード・・・」


彼はそこに居た。

バルコニーに面した大きな窓の前に、いつの間にか立っていた。


「貴様! 勝手にジルデバル様の屋敷に入り込むとは、なんと無礼な! 不法侵入で訴えますぞ!」


驚く表情のまま、その場に立ち尽くしてしまった、ジルデバルに代わりゴルード伯爵がレンに対して訴えるが、それを一切気にしないまま、少し微笑むがらレンは一礼する。


「これは、申し訳ありません。先程から何度もお屋敷前でジルデバル卿へのお取次ぎをお願いしておりましたが、いっこうになりませんでしたので、勝手に上がらせていただきました事、先ずはお詫びいたします。なにぶん急を有する事でしたので御無礼いたしました。」


淡々とでもはっきりとした口調で答えるレンに、ゴルード伯爵は何か威圧される感じを覚えていた。

読んでいただきありがとうございました!

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