旅の前に 21
投稿いたしました。
ちょっと読んでやって下さい。
カーナは僕の言葉を受けてバッと立ち上がり、僕にしがみついてきた。
「レン様! 何を私に優しく声を掛けてるんです! 早く何とかしないといけないじゃないですか!?」
「う、うんそうなんだけど、カーナが許してくれるか心配で。」
「そんな事! 私がレン様の言う事を否定するなんて事ないですよ! この状況を打破出来るなら私なんでもします!」
「そうお?」
「はい!」
「それじゃあ言うけど、アヒムの加護の影響下にあるカーナを元に戻す為には、さらにその上から同じ加護で上書きするしかないんだ。つまりカーナを僕の従順な下僕、つまり奴隷と同じ扱いで上書きする必要があるんだ。アヒムの魅惑の眼差しって加護は、本当に危ない加護だよ。」
カーナは不思議そうにしている。
あれ?何か変な事言ったかな?
「あの、それって何か問題あるんです?」
「え? だって奴隷だよ? 僕の奴隷って扱いになるんだよ? まあそれを言いふらす気はないけど。」
あ、何故かカーナ顔がにやけてるよ? 何故?
「カーナ?」
「え? いえ! 大丈夫です! レン様さあ! どうぞ!! やっちゃて下さい!」
何故か自分から進んで受けてるようだし、良しとしておこう?
「カーナ、じゃあするからね?」
「はい、来てください。」
少し緊張感を無くしてしまいそうな雰囲気だけど、僕は怯まず進めた。
「そうだ、この後の事を伝えとくね。」
「この後ですか?」
「ああ、アヒムを懲らしめる手順だよ。カーナにも演技してもらうからね。」
「はい! あいつはちょと許せませんから頑張ります!」
「うん、カーナにお願いするよ。叩きのめして、僕はちょと無理そうだから。」
「え?」
「行くよ!」
僕は、カーナの顔を両手で挟み固定して、瞳を覗きこんだ。
カーナの瞳の奥にある禍々しい光の明滅を直ぐに見つける事が出来た。
これか?
この複雑にどす黒い赤や紫色や色々な明滅する光を僕の色のイメージに書き換える。
すると、その色は次第に白と鮮やかな朱色に書き変わって行く。
僕はその明滅が安定したのを確認してから力を抜く。
「良し、これで良い。カーナ後は頼ん・だ・よ・・」
・・・・・・・・・・・・・
レン・さ・ま?
私は、何をしてたんだろう?
今、確かレン様と一緒にいて・・
目の前が突然、明かりが開けた様な感覚に襲われる。
ずっと暗い世界で悪夢を見ていた気がする。
そうだ、レン様に刀を向け、刺してしまう夢を見たんだ、。
あんな現実と変わらない感覚の夢なんて、今考えただけでも恐ろしくて血の気が引いてしまう。
あんな夢を見るなんて・・・
私は寝ぼけて霞んでいた頭が次第に明瞭になって行くのを感じながら嫌な夢から逃れられた事に安堵のため息をついた。
視界が晴れて行く。
あれ?
目の前に誰かいる?
物凄い近くに人がいる。
でも、この感じは直ぐに判る。
私は、この優しい笑顔が大好きだ。
私は、この人の為なら何でも出来る。
今の私の全てなんだ。
あれ?この頬の感じ、この人の手が触っている。
何で?
嬉しい、はずだよね?
じゃあ、なんでこんなにも悲しいの?
私は何か大事な事を忘れてる?
視界がはっきりし始めた。
私の目の前に大好きな彼の顔があった。
血にまみれ、それでも笑顔を私に向けている大好きな彼の顔が。
頬に伝わる手が冷たい。
私は、嫌でも現実に戻された。
これは、私がやったんだ。
私はレン様を!
ありがとうございました。
また来て下さい。




