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旅の前に 18

投稿いたしました。

なんと異世界ファンタジーの日間ランキングで200位前半になっておりました。

これも皆様がたくさん来ていただいて評価して頂いたおかげです。

ありがとうございます。

胸騒ぎを感じていた僕は、カーナの調査で判っていた部屋へと急いでいた。

こんな気持ちは初めてだ。

こんなにも、落ち着かず焦るなんて今まで無かった。

階段を駆け上がり、奥の部屋へと急ぐ。

程なくして扉の前に到着するが、リーシェンが裏手に回るまでは少し時間がかかる。


ここは少し待ってタイミングを合わせて駆け込むか?


そんな事を思っていたら、中の方で異様な雰囲気が発せられたのを感じ。それに対して僕の危険信号が鳴り響いた。


待っていたらまずい!


僕は感に任せ、扉を打ち開けその発生源に何も考えず突っ込んで行く。

そして僕は信じられ無いものを見てしまう。

怪我をしている初老の男性にカーナが斬り掛かろうとしていた。

僕は何も考えずにその剣撃を僕の刀で迎え止めた。


「ギンンン!!」


「ほおう、やっとの御登場か。」


カーナがこの怪我をしている男に斬り掛かっているのを咄嗟に受け止めたのだが、そのカーナの姿に僕は息をのんだ。

何も服を着ていない? それなのに何の感情も無い表情でいるカーナに違和感を感じた。

カーナにもアヒム殿下の加護の対策は話していたはずなのに、どうしてこうなった?

彼の雰囲気が王宮であった時と違う気がする? 

それが原因なのか?

いや! そんな事はどうでもいい!

カーナをこんな姿にさせ、関係の無い男を殺させようとするアヒム殿下が憎い!

そのアヒムをあまり注意せずに事に当たらせた僕の甘さが憎い!


「アヒム殿下? ですよね? あなたカーナに何をしたんだ?」


自分でも別人かと思う程の冷たい声が口から出たのに驚いた。


「何を? ですか? 見れば判るでしょう? この女は私の物になったんですよ。 レンティエンス・ブロスフォード君。」


アヒムの言葉に僕の中の何かが音をたててちぎれた気がする。

すると無意識に身体に力が入り身構えようとしている。

なんだ? この感覚? 自分が自分で無くなって行くような感じは?


「おっと。」


アヒムは声を出すと同時に数歩分後退し、カーナもそれに合わせアヒム殿下の横へと後退していった。


どうしてそいつに着いて行くの?

いや、それはあいつの加護のせいで・・・そうじゃ、ない! カーナは何時も僕の側に居てくれなきゃいけないんだ! 僕の横で何時も笑ってくれて、何時もどんな事でも何の気負いもなく相談できる僕にとって大切な絶対に必要な人なんだ! それをよくも奪ったな。こんな辱めまで受けさせた上に人殺しまでさせようなんて・・・・ゆるせない。


残されたレンは、刀の剣先をアヒムに向けながらゆっくりと立ち上がった。

部屋の中に静寂が訪れる。

アヒムの嫌味な笑みが腹立たしい。

無表情なのにカーナが悲しんでいる様に見える。

そう、僕はちゃんと見えている。

冷静だ。

冷静にアヒムを許す事が出来ない。


「殺す。」


「おいおい、怖いなあレンティエンス君。そんなに殺気立っていちゃあ、怖くて手元が狂ったらカーナに剣を刺してしまいそうだよ。」


「!!!?」


下腹部辺りにアヒムの剣先が突き当てられていたがほんの少し力を加えたのか、カーナの綺麗な肌から一筋の血が流れ出したのを見て僕は怒りに支配されそうになる。

けれど、その血が流れてもカーナの表情は変わらないのを見て、今僕が感情に任せて突っ込んでそれが最善になるのか不安に感じた。

アヒム殿下の魅了の眼差しは、確かに光の明滅による催眠効果によって人を洗脳するものだという事が判っている。

けど、その洗脳はアヒム殿下が死ねば消えるのかが判らない。

だから絶対に感情だけで動いてはいけないんだ。


「ん? レンティエンス君かかってこないのか? いやあ流石その歳で騎士爵を授かるだけの事はあるね。状況判断が素晴らしい!」


これでもかって感じの演技で嫌味を言うアヒム。


「君? 心配なんだろう? カーナに掛かってる僕の加護の力が、だろ?」


僕は答えずただ黙ってアヒムを睨みつけるだけにした。

それを肯定と思ったのか、鼻で笑い僕を見下すように言ってきた。


「教えてあげるよ。この加護はね? 一度掛けると私が解除するか、私と同じ、魅惑の眼差しの加護を持つ者が強制的に上書きするしか方法は無いのだよ。まあ、同じ加護を持つ者は今まで聞いたことが無いな。そして私を殺そうというなら、一生感情を取り戻す事が無いよう洗脳するからね。」


やはり予想通りか。

でも、それなら僕の神対応で何とかなるかも。

しかし問題は、カーナと視線を合わす必要があるんだが、あの生気の無い瞳の視線を掴むのは難しい。

出来るだけ間近で掛けないと。


「あ! そうそうレンティエンス君。先に忠告しておくよ?」


芝居がかった態度が鼻につく。


「もう一人君の従者がいたよね? 結構彼女も美人だったよな? 後ろの方で隠れて私に襲いかかる隙を伺っているなら早く出て来た方が良いよ? カーナに傷がいっぱい増えてしまうからね。」


僕もなるべく表情を変えずにいたけど、さすがにこの展開は驚いてしまった。

アヒム案外考えてやがる。


僕は無言のまま、首を縦に振るとアヒムの後方の窓に掛かるカーテンの後ろからリーシェンがゆっくりと現れた。

これからも頑張りますので、よろしくお願いします。また来て下さい。

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